ピーターと狼

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ピーターと狼』(Петя и волк(ペーチャと狼))作品67は、セルゲイ・プロコフィエフが作曲した子供のための音楽作品で、このジャンルとしてはブリテンの「青少年のための管弦楽入門」と並ぶポピュラーな作品である。ナレーターと小編成のオーケストラのために書かれている。

1946年にはウォルト・ディズニー・カンパニーによってアニメーション映画化されている。

作曲の経緯[編集]

作品の詳細な経緯は不明な点が多い。しかしこの作品は1936年に作曲されており、当時モスクワで設立された中央児童劇場(Moscow Children's Music Theater)のナタ-リャ・サーツ英語版から着想を得たものと一説にいわれている。

彼女はこの際、「人間ばかりではなく、動物も登場する音楽物語は如何ですか。」という提案をして、プロコフィエフがそれに賛成する[1]

台本はロシアの民話を基にプロコフィエフ自身が書き、ナレーターつきの「子供のための交響的物語」として作曲された。初演は1936年5月2日にモスクワの児童劇場で行われた。

プロコフィエフが1933年に祖国に復帰して、より大衆とソヴィエト国家に受け入れやすい平易なスタイルを模索していた時期の作品である。音楽は新古典的な明解さが支配しており、また物語の情景にかなり忠実に付曲されている。

楽器編成[編集]

編成表
木管 金管
Fl. 1 Hr. 3 Timp. Vn.1
Ob. 1 Trp. 1 Tr-lo,T-no,P-tti,Cast.,T-ro,Gr.c. Vn.2
Cl. 1 Trb. 1 Va.
Fg. 1 Vc.
Cb.

演奏時間[編集]

約20~25分(台本の選択により大きく変動する)

物語の内容[編集]

ピオネールの少年ピーターは、森の牧場に建つお祖父さんの家に住んでいた。ある日ピーターは牧場に駈け出していくが、その際庭の戸を閉め忘れてしまい、庭で飼っていたアヒルは外の池で泳ぎ始める。アヒルは小鳥と言い争いを始める(「飛べない鳥なんているのかい?」―「泳げない鳥なんているのかい?」)。そこにピーターのペットの猫が忍び寄っていくが、ピーターが声を掛けたために小鳥は木の上に、アヒルは池の中央に逃げおおせる。

お祖父さんが現れ、ピーターが一人で庭の外に出たことを叱る(「狼が森から出てきたらどうするんだ?」)。ピーターは「僕のような男の子は狼なんて怖くないんだ」と反論するが、お祖父さんはピーターを家に連れ戻し、戸を閉めてしまう。するとすぐに、「大きな、灰色の狼」が森から姿を現す。猫は素早く木の上に駆け上がって難を逃れる。それに対してアヒルは慌てて池を出て逃げるものの、狼に追いつかれ、飲み込まれてしまう。

ピーターはロープを持ち出すと、庭の塀を上って小鳥に話しかけ、「作戦」を伝える。果たして小鳥が狼の鼻先を飛び回って攪乱している中、ピーターがロープの結び目で狼の尻尾を捕える。狼は逃れようともがくが、ピーターがロープのもう一方を木に結びつけたために、結び目は締まっていく一方である。

そこに狼を追ってきた数人の狩人が銃を持って登場する(彼らの足取りは木管楽器による行進曲風の音楽で表わされる)。ピーターは彼らに手伝いを求めると、動物園へと勝利のパレードに出発する(この作品の初演はメーデーの祝典の際に行われている)。行列の先頭はピーターで、それに狼を引く狩人、猫、文句をこぼし続けるお祖父さん(「狼を捕まえられなかったらどうなってたと思うんだ?」)、小鳥が続く。

物語の最後、ナレーターは「耳をすましてみて下さい。アヒルが狼のお腹の中で鳴いているのが聞こえるでしょう。狼は慌てていたので、アヒルを生きたまま丸呑みしてしまったのです」と語って終わる。

物語の登場人物[編集]

物語の登場人物(動物)はそれぞれがオーケストラの特定の楽器によって受け持たれ、オーケストラの楽器紹介の趣もある。()内は楽器。

またそれぞれには固有の主題が割り当てられ、ライトモティーフ風に扱われている。

アニメーション映画[編集]

1946年にウォルト・ディズニー・カンパニーの「メイク・マイン・ミュージック」の中の1作として製作され、子供にも内容が解りやすいようストーリーも大きく改変されており、狼以外の動物たちに名前が付き、ピーターの家で飼われているアヒルと猫も野生動物となっている。VHSでは「ファン・アンド・ファンシーフリー」で公開された「ボンゴ」を同時収録して、ブエナ・ビスタの「とっておきの物語」シリーズとして販売された。

物語の内容[編集]

真冬の山の中、空腹で獰猛になった狼が現れて問題となっていた。そんな中、山奥の森の家に住む少年のピーターはコルク銃を持って狼退治に向かおうとしていたが、ピーターを心配するお祖父さんに見つかって家に連れ戻され、コルク銃を取り挙げられてしまう。お祖父さんが熟睡している隙を突いてコルク銃を取り戻して家を出たピーターは、道中で出会った森に住む動物の友達の小鳥のサーシャ、アヒルのソニア、猫のイワンと共に狼退治に山の奥へと向かう。

夜も更けてきた頃になって、遂に狼と対峙したピーターたちだが、コルク銃が通じるわけもなく、一目散に逃げてしまう。しかし、その光景を見て笑い転げてしまったソニアが逃げ遅れ、狼に狙われたソニアは木の穴に逃げ込むも、穴に顔を入れた狼の口周りにはソニアの羽根が付いていた。

夜が明け始めた頃、木の上に避難したピーターたちはソニアの死を知って悲しむも、しぶとく狙ってくる狼を見て仇を討たんと一念発起したサーシャが果敢に狼に挑んでいく。小柄で素早く動くサーシャは狼を翻弄するも、調子に乗ってしまい背後にあった木に気づかず頭を打ってしまい目を回してしまう。目を回したサーシャに気を取られている狼の隙をついて木の上にいたピーターとイワンは狼の尻尾にロープを括りつけ反撃に転じるも大柄の狼の力に圧されて逆に窮地に立たされてしまう。これを見たサーシャは堪らず近くを通りかかった3人組の猟師に助けを求め、すぐさま駆けつけた猟師たちが見たものは木の枝に狼を縛り上げることに成功したピーターとイワンだった。

その後、町で狼を捕まえたピーターたちを祝福するパレードが開かれるが、そこにはサーシャの姿が無かった。一方のサーシャは狼に喰われたソニアのことを深く悲しんでいたが、知らぬ間にサーシャの後ろにいたソニアにびっくり。そう、ソニアは狼に羽根を齧られただけであって無事だったのだ。これに大喜びのサーシャはソニアにピーターが狼を捕まえたことを伝え、2人は急いで祝賀パレードを行っている町へと向かうのだった。(了)

登場人物[編集]

ここでは主に同作においての特徴や原作との違いを記述する。

ピーター
赤茶色とオレンジの防寒着に身を包み、赤い軍帽を被っている。髪の色は金髪で背丈は8~10才の外見となっている。
愛用する銃はコルクに紐が付いたオモチャ銃である。
サーシャ(サッシャ)
体毛がピンクと黒で描かれており、口周りの部分は赤い毛で覆われているが頭頂部には毛が無い。キツツキのように細長い嘴を持ち、真っ黒のロシア帽を被っている。忙しく動き回り、忘れん坊な性格だが、狼に単身挑みかかる勇敢な一面を持っている。
名前が日本語吹き替えによって異なっており、旧吹き替え版では「サッシャ」、新吹き替え版では「サーシャ」となっている。
ソニア(ソーニア)
体毛が緑と黒で描かれており、頭頂部に僅かながら髪があり、黒の頭巾状の帽子を被っている。非常にのんびりとした性格ではあるが弱虫でもある。原作では生きたまま狼に丸呑みにされるという悲惨な結末を迎えているが、アニメーション映画では羽根を数本齧られた程度で生還している。また、ピーターの家で飼われていると言う部分も変更されて、山に住む野生の動物となっている。
サーシャと同様、日本語吹き替えによって名前が異なっており、旧吹き替え版では「ソニア」、新吹き替え版では「ソーニア」となっており、新吹き替え版ではアヒルではなくカモとなっている。
イワン
オレンジの毛並みで手足と口周りが茶色に描かれている。イタズラ好きで原作にもあった小鳥(サーシャ)を狙う場面がある。ソニア同様にピーターの家のペットから山に住む野良猫に変更されている。
お祖父さん
大柄で大きく白い顎鬚をたたえている。ピーターから銃を取り挙げた後、熟睡中に銃を取り返されて以降は登場しない。
猟師
背が高く細身のミーシャ、太った身体で顎鬚が最も濃いヤーシャ(ヤッシャ)、ピーターよりも背が低く顎鬚が二股でオレンジ色のウラジミール(ウラダミール)の3人組となっており、所持する銃の銃口がラッパ状になっている。

脚注[編集]

  1. ^ "The Classic Collection" 第105号