ハマボウフウ
ハマボウフウ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Glehnia littoralis F.Schmidt ex Miq. (1867) [3][4] | ||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||||||||
Phellopterus littoralis [5] | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
ハマボウフウ | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
American Silvertop[6][7] |
ハマボウフウ(浜防風、学名:Glehnia littoralis)とは、被子植物のセリ科ハマボウフウ属の一種。 海岸の砂地に自生する海岸性の多年草。 山菜として食用にするほか、漢方薬・民間療法薬として利用される。八百屋防風と呼ばれることもある[8]。名称の由来は中国産の防風と根の効用が似ており、浜辺に自生することからであり、海岸防風林とは関係がない。
形態[編集]
葉は1-2回3出複葉で、小葉は楕円形。葉の表面にはクチクラ層が発達しており、肉厚でつやがある。花期以外は葉はあまり高く伸びず、丈が低い。根はゴボウに似て非常に長く、地中深く伸びる。これらの特徴は海浜植物に共通のものである。花期は5-7月ごろで、南方ほど早い。花茎は立ち上がり、大きいものは50cmを越えることもあるが、より背の低いことが多い。白色の毛が多数生える。花序は肉質・白色で、カリフラワーに似る。種子の側面には6-7本のひだがある。
分布[編集]
海岸地帯に自生し、カムチャツカ半島以南、日本では北海道から南西諸島にかけて分布。
かつては各地の海岸で知られていたが、海浜の侵食(河川護岸・川砂採取などによる砂の供給量減少が原因と見られている)等で、近年自生地が著しく減少している。福島県ではレッドデータブックに記載されている(福島県における評価は絶滅危惧II類)。原因としては、海岸線が開発されて分布できなくなった、食用・薬用として採取し尽された、などが考えられる。後者については、民間療法薬としてもてはやされ、糖尿病に効果があるなど、様々な俗説が広まってしまい、乱獲に拍車をかけている可能性がある。
利用[編集]
食用[編集]
食用としては、新芽が、酢味噌和え(ほんの軽く茹でるのみ)、天麩羅、生食、主に刺身のつま等に利用されてきた[* 1]。基本的には野草だが、野菜として認識している人もいるほどで、人々にとっては馴染み深い植物であるようだ。食用とするために海岸などで栽培される。また、畑での栽培も可能であり、島根県松江市の大根島などで生産されている[10]。
薬用[編集]
ハマボウフウの根は、漢方では「北沙参」と呼ばれ、去痰、解熱、鎮咳薬などとして利用される[11]。 日本では、生薬の一種、防風の代用品として利用される。効能は防風と同じか、それより劣るとされている。ハマボウフウの根や根茎などにはクマリン配糖体が含まれ、発汗、解熱、鎮痛などに用いられる。また、民間療法では婦人病の薬とされるうえ、最近では糖尿病に効能を示すともいわれている。しかし、糖尿病については俗説の域をでておらず、効能があるかは定かでない。
ギャラリー[編集]
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
- ^ 米倉浩司 『高等植物分類表』(重版)北隆館、2010年。ISBN 978-4-8326-0838-2。
- ^ 大場秀章(編著) 『植物分類表』(第2刷)アボック社、2010年。ISBN 978-4-900358-61-4。
- ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Glehnia littoralis F.Schmidt ex Miq.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2012年8月12日閲覧。
- ^ "'Glehnia littoralis F. Schmidt ex Miq.". Tropicos. Missouri Botanical Garden. 1700797. 2012年8月12日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Phellopterus littoralis Benth.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2012年8月12日閲覧。
- ^ Glehnia littoralis in Encyclopedia of Life
- ^ Glehnia littoralis F. Schmidt ex Miq. in ITIS
- ^ やおやぼうふう【八百屋防風】の意味 - 国語辞書 - goo辞書(デジタル大辞泉)
- ^ “ハマボウフウ(浜防風)”. NPO法人ゆい. 2012年9月8日閲覧。
- ^ “つながるコラム「絆」 vol.22 松江市・大根島のハマボウフウ|JAしまね”. ja-shimane.jp. 2022年11月11日閲覧。
- ^ 江蘇新医学院 編 (1977). 中葯大辞典. 上海: 上海科学技術出版社. pp. 644
参考文献[編集]
- 中西弘樹 『海から来た植物:黒潮が運んだ花たち』八坂書房、2008年。
- 『山野草写真大百花』 3 低地・海岸の花、月刊さつき研究社、1988年。