エクスフィニティ・シリーズ
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カテゴリ | ストックカー |
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国・地域 |
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開始年 | 1982年 |
チーム | 40 |
コンストラクター |
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ドライバーズ チャンピオン | ダニエル・スアレズ(2016年) |
チーム チャンピオン | ジョー・ギブス・レーシング(2016年) |
マニュファクチャラーズ チャンピオン | トヨタ(2016年) |
公式サイト | NASCAR.com |
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エクスフィニティ・シリーズ (Xfinity Series) は、NASCARが主催するストックカーレースのカテゴリー。モンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズの下位カテゴリー。カップシリーズにステップアップを目指すドライバーたちが競い合う。エクスフィニティ・シリーズはモンスターエナジー・カップシリーズと同じ開催地でその前日などに開催されたり独立開催もあり、ファンたちは両方のイベントを楽しむことができることが多い。またカップ戦ドライバーの参戦も多く、同じ週末に両レースを制覇してしまう猛者もいる。
そのためアメリカンモータースポーツにおける人気はNASCARカップ戦に次いで高く、視聴者数はインディカーやNHRAを遥かに凌ぐ[1]。
旧名称はバドワイザー・レイトモデル・スポーツマン・シリーズ(Budweiser Late Model Sportsman Series:1982~1983年)、ブッシュ・グランドナショナル・シリーズ またはブッシュ・シリーズ(Busch Grand National Series:1984~2003年) 、ネイションワイド・シリーズ(Nationwide Series:2004~2014年)。
目次
歴史[編集]
シリーズは1950年代にNASCARのショートトラック・ディビジョンから形成されたスポーツマン・ディビジョンが元である。それは1948年に創設されたモディファイド・シリーズ、ロードスター・シリーズ、1949年に創設されたストリクトリー・ストック・シリーズに次ぐ4番目のシリーズである。スポーツマン・ディビジョンで使用される車両は現行モデル車ではなく、より改造が行われたものであった。(モディファイド・シリーズで使用される車両程は改造されてはいない。)[2]1968年にはレイトモデル・スポーツマン・シリーズと改称され、間もなくデイトナ・インターナショナル・スピードウェイのようなより大きなサーキットで競われるようになった。ドライバーはより大きなサーキットで旧式なグランドナショナル(現在のスプリントカップ・シリーズ)用車両を使用したが、1982年のNASCAR・バドワイザー・レイトモデル・スポーツマン・シリーズからは旧式の小型車を使用するようになった。ショートトラック用車両は300立方インチの比較的小さなV型8気筒エンジンを搭載した。ドライバーたちはV型6気筒エンジンを搭載した現行モデル車を使用した。
現在のネイションワイド・シリーズは1982年に形成された。アンハイザー・ブッシュ社が新たに変更されたレイトモデル・スポーツマン・シリーズを、バドワイザー・ブランドでスポンサードした。シリーズは1984年にブッシュ・ブランドが冠されるようになり、1986年にはブッシュ・グランドナショナル・シリーズと改称された。
「グランドナショナル」の語は2003年にNASCARブランドのアイデンティティ確立の一環として取り外された。現在「グランドナショナル」は地方シリーズであるブッシュ・イースト・シリーズ(現・NASCAR K&N プロシリーズ・イースト)およびウィンストン・ウェスト・シリーズ(現・NASCAR K&N プロシリーズ・ウェスト)に使用される。2007年シリーズの後、アンハイザー・ブッシュはスポンサーを更新しないと発表した。2008年シーズンはネイションワイド・インシュアランス社がタイトルスポンサーとなり、シリーズはネイションワイド・シリーズと改称された[3]。
ネイションワイドによるスポンサーシップは7年間の契約であり、その期間はABC/ESPNとNASCARとの放送契約と一致している。スポンサーシップは2008年度、1,000万ドルで契約され、その後は年6%ずつ増加することとなっている[4]。直接のスポンサー料に加え、ネイションワイドはESPNでの広告料として400万ドルから500万ドルの追加契約を行った。
2014年9月にはNBCとNBCSNの親会社コムキャストのケーブルテレビ事業部門である「エクスフィニティ」がスポンサー契約を結んだ[5]。
アメリカ国外の、カナダやメキシコでもロードレースを行うことがある。
使用車両[編集]
スプリントカップ車両との差異[編集]
カー・オブ・トゥモロー車両の導入に従い、ネイションワイド・シリーズの車両はスプリントカップ・シリーズ車両と大きく異なるようになった。主な違いとして、ホイールベースの短縮化(110インチから105インチ)、100ポンドの軽量化、ウィングの代わりにスポイラーを装着、非力なエンジンが挙げられる。以前にはスプリントカップのV8エンジンに代わってV6エンジンを使用するのと同様に、スプリントカップでは使用されない車両を使用することができた。
80年代前半、ゼネラルモーターズの参加チームは311立方インチ(5.096リットル)のエンジンを積む 1971-77年式GM・X-ボディのコンパクトカーからその使用車両を切り替えていき、後には1982-87年式GM・G-ボディを使用するようになった。フォード・モーター使用チームは一貫してフォード・サンダーバードを使用した。
1989年、NASCARはスプリントカップ・シリーズ車両同様の車体を使用するように規則を変更した。しかしながら搭載エンジンはV6のままであった。車両は徐々にスプリントカップ・シリーズ車両同様に変化していった。
性能諸元[編集]
- シャーシ: NASCAR規格に準じた鋼製パイプフレーム及びロールケージ
- 排気量: 5.8リットル(5,800cc、353.9Cu-in) OHV V型8気筒
- 変速機: 4速マニュアルトランスミッション
- 車両重量: 運転者を除く最低重量が3,200 lb (1,451 kg)以上、または運転者を含む最低重量が3,400 lb (1,542 kg)以上[6]。
- エンジン出力: 650–700 馬力 (485 kW –522 kW)、リストリクター装着時は 450 馬力 (335 kW)
- トルク: 700 N·m (520 ft·lb、71.38kg·m)
- 燃料: スノコ社供給の、98 オクタン E15 無鉛ガソリン
- 燃料容量: 18 US gal (68 L)
- 燃料装置: キャブレター
- 圧縮比: 12:1
- 吸気: 自然吸気
- キャブレター寸法: 390 立方フィート毎分 (184 リットル毎秒)、4バレル
- ホイールベース: 110 in (2,794 mm)
- ステアリング: ボール・ナット式パワーステアリング
- タイヤ: グッドイヤー製スリックタイヤ及びレインタイヤ
- 全長: 203.75 in (5,175 mm)
- 全高: 75 in (1,905 mm)
- 全幅: 51 in (1,295 mm)
- 安全装備: HANSデバイス、ウィランズ製6点式シートベルト
参戦メーカー・車両の変遷[編集]
バドワイザー・レイトモデル・スポーツマン・シリーズ (1982–1983)[編集]
- クライスラー
- ダッジ・チャレンジャー: 1982
- フォード
- フォード・フェアモント: 1982–1983
- ゼネラル・モーターズ
- シボレー・マリブ: 1982–1983
- オールズモビル・オメガ: 1982–1983
- ポンティアック・ヴェンチュラ: 1982–1983
ブッシュ・グランドナショナル・シリーズ (1984–2003)[編集]
- クライスラー
- ダッジ・イントレピッド: 2002–2003
- フォード
- フォード・フェアモント: 1984–1986
- フォード・サンダーバード: 1987–1997
- フォード・トーラス: 1998–2003
- マーキュリー・クーガー: 1984
- ゼネラル・モーターズ
- ビュイック・リーガル: 1985, 1988–1995 (1991年以降はビュイックの公式サポートが無くなる。)
- ビュイック・ルセイバー: 1986–1989
- シボレー・モンテカルロ: 1986–1988, 1995–2003
- シボレー・ノヴァ: 1984–1988
- シボレー・ルミナ: 1989–1995
- オールズモビル・オメガ: 1984–1987
- オールズモビル・デルタ88: 1986–1995 (1992年以降はオールズモビルの公式サポートが無くなる。)
- ポンティアック・ヴェンチュラ: 1984–1987
- ポンティアック・グランプリ: 1988–2003
ブッシュ・シリーズ (2004–2007)[編集]
- クライスラー
- ダッジ・イントレピッド: 2004
- ダッジ・チャージャー: 2005–2007
- フォード
- フォード・トーラス: 2004–2005
- フォード・フュージョン: 2006–2007
- ゼネラル・モーターズ
- ポンティアック・グランプリ: 2004
- シボレー・モンテカルロ: 2004–2005
- シボレー・モンテカルロSS: 2006–2008
- トヨタ
- トヨタ・カムリ: 2007
ネイションワイド・シリーズ (2008–2014)[編集]
- クライスラー
- ダッジ・チャージャー: 2008–2010
- ダッジ・チャレンジャー: 2010–2014 (2012年以降はダッジの公式サポートが無くなる。)
- フォード
- フォード・フュージョン: 2008–2010
- フォード・マスタング: 2010–2014
- ゼネラル・モーターズ
- シボレー・モンテカルロSS: 2008–2009
- シボレー・インパラSS: 2008–2009
- シボレー・インパラ: 2010–2012
- シボレー・カマロ: 2013–2014
- トヨタ
- トヨタ・カムリ: 2008–2014
エクスフィニティ・シリーズ (2015–現在)[編集]
- FCA US (クライスラー)
- ダッジ・チャレンジャー: 2015–2016 (公式サポート無し)
- フォード
- フォード・マスタング: 2015–現在
- ゼネラル・モーターズ
- シボレー・カマロ: 2015–現在
- トヨタ
- トヨタ・カムリ: 2015–現在
歴代チャンピオン[編集]
年 | ドライバー | オーナー | チーム | No | メーカー | St | Ws | TT | P | Pts | Gap |
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1982 | Jack Ingram | 11 | ポンティアック | 29 | 7 | 24 | 1 | 4495 | 47 | ||
1983 | Sam Ard | Howard Thomas | 00 | オールズモビル | 35 | 10 | 30 | 10 | 5454 | 84 | |
1984 | 28 | 8 | 26 | 7 | 4552 | 426 | |||||
1985 | Jack Ingram (2) | 11 | ポンティアック | 27 | 5 | 22 | 2 | 4106 | 29 | ||
1986 | Larry Pearson | David Pearson | Pearson Racing | 21 | 31 | 1 | 24 | 1 | 4514 | 7 | |
1987 | シボレー | 27 | 6 | 20 | 3 | 3959 | 394 | ||||
1988 | Tommy Ellis | John Jackson | 99 | ビュイック | 30 | 3 | 20 | 5 | 4281 | 295 | |
1989 | Rob Moroso | Dick Moroso | Moroso Racing | 25 | オールズモビル | 29 | 4 | 16 | 7 | 4001 | 55 |
1990 | Chuck Bown | Hubert Hensley | 63 | ポンティアック(3) | 31 | 6 | 18 | 4 | 4372 | 200 | |
1991 | Bobby Labonte | Labonte Motorsports | 44 | オールズモビル (3) | 31 | 2 | 21 | 2 | 4264 | 74 | |
1992 | Joe Nemechek | NEMCO Motorsports | 87 | シボレー | 31 | 2 | 18 | 1 | 4275 | 3 | |
1993 | Steve Grissom | Wayne Grissom | Grissom Racing Enterprises | 31 | 28 | 2 | 18 | 0 | 3846 | 253 | |
1994 | David Green | Bobby Labonte | Labonte Motorsports (2) | 44 | 28 | 1 | 14 | 9 | 3725 | 46 | |
1995 | Johnny Benson, Jr. | Bill Baumgardner | BACE Motorsports | 74 | 26 | 2 | 19 | 0 | 3688 | 404 | |
1996 | Randy LaJoie | 26 | 5 | 20 | 2 | 3714 | 29 | ||||
1997 | 30 | 5 | 21 | 2 | 4381 | 266 | |||||
1998 | デイル・アーンハート・ジュニア | デイル・アーンハート | デイル・アーンハート・インク | 3 | 31 | 7 | 22 | 3 | 4469 | 48 | |
1999 | デイル・アーンハート・ジュニア(2) | デイル・アーンハート(2) | デイル・アーンハート・インク(2) | 3 | 32 | 6 | 22 | 3 | 4647 | 280 | |
2000 | Jeff Green | Greg Pollex | ppc Racing | 10 | 32 | 6 | 27 | 7 | 5005 | 616 | |
2001 | ケヴィン・ハーヴィック | リチャード・チルドレス | リチャード・チルドレス・レーシング | 2 | 33 | 5 | 24 | 4 | 4813 | 124 | |
2002 | グレッグ・ビッフル | ジャック・ラウシュ | ラウシュ・レーシング | 60 | フォード | 34 | 4 | 25 | 5 | 4924 | 280 |
2003 | ブライアン・ヴィッカーズ | リック・ヘンドリック | ヘンドリック・モータースポーツ | 5 | シボレー | 34 | 3 | 21 | 1 | 4637 | 14 |
2004 | マーティン・トゥーレックス・ジュニア | デイル・アーンハート・ジュニア | デイル・アーンハート・インク(3) | 8 | 34 | 6 | 26 | 7 | 5173 | 230 | |
2005 | マーティン・トゥーレックス・ジュニア(2) | デイル・アーンハート・ジュニア(2) | デイル・アーンハート・インク(4) | 35 | 6 | 22 | 3 | 4937 | 68 | ||
2006 | ケヴィン・ハーヴィック (2) | リチャード・チルドレス(2) | リチャード・チルドレス・レーシング(2) | 21 | 35 | 9 | 32 | 1 | 5648 | 824 | |
29 | |||||||||||
ケヴィン・ハーヴィック | ケヴィン・ハーヴィック・インコーポレート | 33 | |||||||||
2007 | カール・エドワーズ | ジャック・ラウシュ(2) | ラウシュ・フェンウェイ・レーシング | 60 | フォード | 35 | 4 | 21 | 0 | 4805 | 618 |
2008 | クリント・ボウヤー | リチャード・チルドレス(3) | リチャード・チルドレス・レーシング(3) | 2 | シボレー | 35 | 1 | 29 | 0 | 5132 | 21 |
2009 | カイル・ブッシュ | ジョー・ギブス | ジョー・ギブス・レーシング | 18 | トヨタ | 35 | 9 | 30 | 3 | 5682 | 210 |
2010 | ブラッド・ケセロウスキー | ロジャー・ペンスキー | ペンスキー・レーシング | 22 | ダッジ | 35 | 6 | 29 | 5 | 5639 | 445 |
2011 | リッキー・ステンハウス・ジュニア | ジャック・ラウシュ(3) | ラウシュ・フェンウェイ・レーシング(2) | 6 | フォード | 34 | 2 | 26 | 3 | 1,222 | 45 |
2012 | リッキー・ステンハウス・ジュニア(2) | ジャック・ラウシュ(4) | ラウシュ・フェンウェイ・レーシング(3) | 6 | フォード | 33 | 6 | 26 | 4 | 1,251 | 23 |
2013 | オースティン・ディロン | リチャード・チルドレス(4) | リチャード・チルドレス・レーシング(4) | 3 | シボレー | 33 | 0 | 22 | 7 | 1,180 | 3 |
2014 | チェイス・エリオット | デイル・アーンハート・ジュニア(3) | JRモータースポーツ | 9 | シボレー (5) | 33 | 3 | 26 | 2 | 1,213 | 42 |
2015 | クリス・ブッシャー | ジャック・ラウシュ(5) | ラウシュ・フェンウェイ・レーシング(4) | 60 | フォード (4) | 33 | 2 | 20 | 0 | 1190 | 15 |
2016 | ダニエル・スアレス | ジョー・ギブス(2) | ジョー・ギブス・レーシング(2) | 19 | トヨタ(2) | 33 | 3 | 27 | 2 | 4040 | 2 |
2017 | ウィリアム・バイロン | デイル・アーンハート・ジュニア(4) | JRモータースポーツ(2) | 9 | シボレー | 33 | 4 | 22 | 2 | 4034 | 5 |
参照[編集]
- ^ Ratings Roundup: IndyCar, F1, NHRA
- ^ The Busch Series dilemma
- ^ Nationwide Insurance to be sponsor of No. 2 Series
- ^ NASCAR Scene, October 11, 2007, Vol. XXXI - No. 24, p32
- ^ Mickle, Tripp (2014年8月28日). “Comcast, NASCAR To Announce 10-Year Deal Next Week For Xfinity To Title No. 2 Series”. スポーツ・ビジネス・ジャーナル 2014年9月1日閲覧。
- ^ ドライバーの体重が200 lb (91 kg)以上の場合は前者が適用され、それ以下の場合は後者の規定が適用される事で、多様な人種や年齢層が参加するステップアップカテゴリーとしての公平性を担保している。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
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