トゥルシー・ギャバード
トゥルシー・ギャバード Tulsi Gabbard | |
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生年月日 | 1981年4月12日(43歳) |
出生地 | アメリカ領サモア、レロアロア |
出身校 | ハワイパシフィック大学 |
所属政党 |
民主党( - 2022年) 無所属(2022年 - 現在) |
配偶者 |
エドゥアルド・タマヨ(2002-2006) アブラハムウィリアムズ(2015-) |
親族 |
マイク・ガバード(父) (ハワイ州上院議員) |
選挙区 | ハワイ州第2選挙区 |
当選回数 | 4回 |
在任期間 | 2013年1月3日 - 2021年1月3日 |
在任期間 | 2013年1月22日 - 2016年2月27日 |
ハワイ州下院議員 | |
選挙区 | 第43区 |
当選回数 | 1回 |
在任期間 | 2002年12月 - 2004年12月 |
ホノルル市議会議員 | |
当選回数 | 1回 |
在任期間 | 2011年1月2日 - 2012年8月16日 |
トゥルシー・ギャバード(Tulsi Gabbard、発音記号: /ˈtʌlsi ˈɡæbərd/、1981年4月12日 - )は、アメリカ合衆国の政治家。ハワイ第2区選出のアメリカ合衆国下院議員(4期)。2012年初当選、米国議会初のサモア系アメリカ人議員[1]であり、同時に米国議会初のヒンドゥー教徒[2]でもある。
2016年の大統領選挙では民主党全国委員会の副議長を辞し、バーニー・サンダースの支持を表明。2016年、就任前のドナルド・トランプが新政権発足に向けた人事選考で、ギャバードと面会し、外交・安全保障問題で意見交換したことで、閣僚入りが噂された。トランプ政権で首席戦略官兼上級顧問を務めたスティーブン・バノンはギャバードの政治手腕を高く買っており、彼女のファンであることを公言「全ての政策に関して彼女と仕事がしたい」と語った[3]。
2017年には事実確認のためとしてシリアに入国しバッシャール・アル=アサド大統領と会談したことでも注目を浴びる。
ワシントン・ポスト紙等複数メディアが2020年大統領選挙の有力女性候補11名の1人としてギャバードを紹介した[4]。
経歴
[編集]生い立ち
[編集]ギャバードは1981年4月12日、アメリカ領サモアのレロアロア(Leloaloa)に父マイク・ギャバード、母キャロル・ギャバードの娘、5人兄弟の4人目として生まれる。一家はギャバードが2歳のときハワイへと移住[5]。ヒンドゥー教徒の母キャロルの影響を受け[6]、幼少期からヒンドゥー教徒である。
ギャバードはフィリピンへ留学をした2年間を除き、高校までホームスクールでの教育を受けており[7]、2009年にハワイ・パシフィック大学(経営学)を卒業。
2002年には弱冠21歳でハワイ州議会下院議員に当選、当時全米で最年少の州議会議員として就任。2004年にはHawaii Army National Guardの一員としてイラクの戦闘地域に派兵、帰国後の2006年からダニエル・K・アカカ上院議員のスタッフとして勤務し、2008年からクウェートに志願派兵されている。
中東からの帰還後、2011年にホノルル市議会議員として選出され、翌2012年メイジー・ヒロノの上院鞍替えに伴い、空席となったハワイ2区よりアメリカ議会下院選挙に挑戦し当選、現在3期目。
政治活動
[編集]ハワイ州議会 下院議員 (2002年-2004年)
[編集]ギャバードはハワイ州史上最年少かつ、全米でも史上最年少の女性州議会議員として2002年に当選[8]。
任期中、クリーンエネルギーの推進を主たる政策として掲げ、再生可能エネルギーの推進などに努めた。
ホノルル市議会議員 (2011年-2012年)
[編集]2009年、中東への志願派兵から帰還後、ホノルル市長選に出馬したRod Tamの選挙区(第6区)から出馬を宣言し当選。その後米国下院議員選挙準備のため2012年8月に辞職している。
アメリカ合衆国下院議員(2013年-2020年)
[編集]2011年初旬、当時ハワイ第2区選出の下院議員であったメイジー・ヒロノが上院への鞍替えを表明したことを受け、ギャバードは同年5月に出馬を表明した。9月には民主党公認の候補としてノース・カロライナ州のシャーロットで開催された民主党全国大会に参加しスピーチを行う。11月の選挙では共和党候補者に大差をつけ(得票率81%)当選した。
2018年秋の中間選挙で15万票(77%)を獲得し圧勝、4期目の議席を獲得[9]。
2020年選挙へは出馬せず下院議員を降りた。
- 下院軍事委員会
- 下院外交委員会
- アジア・太平洋地域小委員会
- 中東・北アフリカ地域小委員会
- 米日議員コーカス
- 下院退役軍人コーカス
- 米国議会インド及びインド系アメリカ人コーカス(副代表)
- 米国議会LGBTコーカス
- 米国議会ミサイル防衛コーカス 等
トランプ政権との接触
[編集]2016年11月21日、ギャバードは民主党員としては2人目として就任前のドナルド・トランプおよび政権移行チームメンバーとトランプタワーで面会した。ギャバードはこの面会を「建設的で前向きな会合であった」と語り、トランプが共和党のネオコンによって強行的なシリア政策を取る前に自らトランプにブリーフするために面会要求を受け入れたと話した。
シリアへの渡航
[編集]2017年1月ギャバードはシリアのバシャール・アサド大統領と面会。ギャバードはこの渡航が下院倫理委員会の許可を得た上で実施され、AACCESS(Arab American Community Center for Economic and Social Services)によって資金が提供されたと発表。この視察にはAACCESSの会長の他1名も同行しており、同行者両名がシリア社会民族党のメンバーであることが解っているが、同会長はシリア社会民族党とAACCESSは関係のない別団体であると説明。
ギャバードはアサド大統領との面会やアサド政権シンパとされるシリア社会民族党のメンバーと視察を実施すること、また関係団体からの資金提供を受けている事を事前に下院倫理員会に報告していなかったとして批判され、後に旅費を同団体に返還している。
また出張後に下院倫理員会への必要な報告がなされておらず、視察後の2017年2月7日には一部メディアより規則違反があったと報道されたが、ギャバード事務所は期限内に報告をしているとしている。また、必要な書類に加え日程表などを含む別途添付資料が2月8日に提出されたとしている。
2020年大統領選出馬
[編集]大手メディア、ワシントンポストやニューヨーカー、ボストン・グローブ紙等が2020年の大統領選候補者の有力候補としてギャバードを紹介している。
ワシントンポスト紙では「下院議員から大統領選への出馬は厳しい道のりだが、彼女の年齢(報道当時35歳)ならばチャンスはある」と2020年での大統領選は厳しいとしつつもギャバードへの期待を寄せている。
2020年3月19日に民主党予備選挙からの撤退を表明し、ジョー・バイデン前副大統領への支持を表明した[11]。
2022年10月、元民主党米下院議員で2020年の大統領選では候補者にもなったトゥルシー・ギャバード(Tulsi Gabbard)が、11日に民主党から離党すると発表した。
《詳細》
ギャバード氏は2013年から21年までハワイ選出の下院議員として奉職し、2020年の大統領選では複数のメディアに「有力女性候補者」として報じられた人物。
ギャバード氏は次のように語り、「今日の民主党にはいられない」と離党を表明した。
「民主党は今では、臆病な"ウォークネス"(人種差別や格差是正などを声高に訴える人々を示す俗称)によって動かされる、戦争を挑発するエリート集団になってしまいました。ウォークネスはあらゆる問題を巡って反白人的人種差別を煽り、人種差別を強調することで我々を分断しています。我々の合衆国憲法に正式に記されているところの、神によって与えられた自由を積極的に傷つけ、信仰や霊性を持つ人々に敵対的であり、警察を悪者扱いし、法律を遵守するアメリカ国民を犠牲にして犯罪者を守り、『国境開放』を信奉し、政敵を追い詰めるために国家安全保障局を兵器化しています」
その上で、ギャバード氏は「とりわけ現在、彼らはかつてない核戦争の危機に我々を引き込んでいるのです」と指摘し、民主党の外交方針を批判した。
イラク戦争などへの従軍経験を持つギャバード氏は、ロシア―ウクライナ戦争へのスタンスを巡り、バイデン政権および民主党による対露強硬姿勢に対し異議の声を上げてきた。今年[いつ?]6月には、本誌7月号特集「国民を死滅に追いやるゼレンスキー大統領」で取材した元米陸軍中佐のダニエル・デイビス氏と共にフォーリン・ポリシー誌に寄稿した。
その中で、リアリスティックに考えればウクライナがロシアに勝利するということはあり得ず、米政府は停戦を推し進めるべきだと論じた(ダニエル氏のインタビューは「西側が支援するほどウクライナは領土を失う」に掲載)。
外交方針への批判に加え、ギャバード氏は「離党する主な理由」の一つとして、民主党が信仰を持つ人々への尊重を失っていることも強調した。
「今日の民主党は『宗教の自由』は『宗教からの自由』を意味しないということを忘れています。私たちの政府は、全アメリカ国民の神との深い個人的な関係を尊重しなければなりません。そして国家による報復や処罰、検閲や差別を恐れることなく、自らの信仰を表現し実践するという我々の自由を尊重しなければなりません」
「あなたが神を信じるか否かはここでは重要ではありません。重要なのは、公共生活のあらゆる面から神の存在を消し去ろうとし、神を崇拝することを選んだ人々を敵視するような政党はいかなるものであれ、憲法に謳われている、神から与えられた不可侵の権利を守るために信頼することができず、したがって、政権を担うべきではないということです」
ギャバード氏の離党は注目を集め、メディアに大きく取り上げられている。
主張・政策
[編集]環太平洋パートナーシップ(TPP)
[編集]ギャバードはTPPに強く反対する立場を明確にしており、デラウロ下院議員と共に反対運動を主催。TPPの交渉が秘密裏に行われていることや、この協定がウォールストリートや多国籍企業などの一部国民に利益をもたらすものであり地道に働くアメリカ国民がないがしろにされていると批判した。また、TPPの環境問題への配慮が十分でなく、地球温暖化や環境汚染にもつながるとの見解を示し、自らの政治生命をかけてTPPに反対すると表明した。
米印関係
[編集]インドとの関係強化を重要視しており、過去に何度もモディ首相の功績を評価する発言をしている。
脚注
[編集]- ^ “Faleomavaega congratulates Tulsi Gabbard as first Samoan woman elected to the U.S. Congress | Samoa News” (英語). www.samoanews.com. 2018年4月6日閲覧。
- ^ “Hindu-American Tulsi Gabbard wins Democratic primary in Hawaii”. The Economic Times. (2012年8月12日) 2018年4月6日閲覧。
- ^ Swanson, Ian (2016年11月21日). “Bannon set up Trump-Gabbard meeting” (英語). TheHill 2018年4月6日閲覧。
- ^ Cillizza, Chris (2017年1月9日). “11 Democratic women who could run for president in 2020, ranked” (英語). Washington Post. ISSN 0190-8286 2018年4月6日閲覧。
- ^ “About Mike Gabbard | www.mikegabbard.com”. www.mikegabbard.com. 2018年4月6日閲覧。
- ^ Mendoza, Jim. “The Gabbards: Raising Hawaii's next political star (Part 1)” (英語) 2018年4月6日閲覧。
- ^ “Tulsi Gabbard’s Run for Congress Carries with it Many Hindu Hearts | Indo American News”. www.indoamerican-news.com. 2018年4月6日閲覧。
- ^ “12 Fascinating People Who Are Heading To Congress Next Year”. Business Insider 2018年4月6日閲覧。
- ^ Golshan, Tara (2018年11月19日). “Live results: Hawaii midterm elections”. Vox.com 2018年11月20日閲覧。
- ^ “Committees and Caucuses” (英語). Congresswoman Tulsi Gabbard. (2012年12月13日) 2018年4月10日閲覧。
- ^ “米民主ギャバード氏、指名争いから撤退 バイデン氏支持を表明”. ロイター. (2020年3月20日) 2020年4月9日閲覧。
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