マッキンリー山

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マッキンリー山(デナリ)
Denali Mt McKinley.jpg
標高 6,168 m
所在地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アラスカ州
位置 北緯63度4分10秒
西経151度0分26秒
山系 アラスカ山脈
初登頂 ハドソン・スタックら(1913年
Project.svg プロジェクト 山
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マッキンリー山(Mount McKinley)は、アメリカ合衆国アラスカにある北アメリカ最高峰である。標高は6,168m(2012年の測量前は6,194m)[1]。 近年は先住民の名称であるデナリ (Denali)と呼ばれる事も多い。

名称[編集]

正式名称である「デナリ」は、先住民デナッイア族の言語であるデナッイア語で「偉大なもの」を意味する。

1897年、この山は、当時のアメリカ合衆国大統領ウィリアム・マッキンリーにちなみマッキンリー山と命名された。

1980年、アラスカ州法に基づき、山を含む周囲にデナリ国立公園が設置され、同時に、アラスカ地名局は山の呼称もデナリと改称した。ただし連邦地名局は、引き続きマッキンリー山という呼称を使っている。

現在、2つの呼称が混在しているが、アラスカ人はデナリの名を好む傾向があり、また連邦政府での呼称もデナリに変更しようとする運動も起こっている。その一方で、観光客などは山はマッキンリー、国立公園はデナリと呼び分けることもある。

特徴[編集]

マッキンリー山はエベレストよりも大きな山体比高を持つ。エベレストの標高はマッキンリー山より2700mも高いが、チベット高原からの比高は3700m程度に過ぎない。一方、マッキンリー山はふもとの平地の標高は600m程度であり、そこからの比高は5500mに達する。

高緯度にあるため、夏と冬の変化が大きい。夏は白夜になるが、冬は日照時間が非常に短くなる。日の出から日没までの時間は夏至では約22時間、冬至では4時間45分である[2]

マッキンリー山は極寒でも知られ、夏でも山頂の平均気温は-20程度となる[3][4]。冬には5700m地点に据えられた温度計の最低気温が日常的に-40℃を下回り[5]、1995年には-59.4℃を記録している[6]。1969年以前には、中腹の約4600m地点で最低気温−73.3℃(−100°F)を記録したこともある[7]

マッキンリーは高緯度に位置するため気温が低く、その影響でヒマラヤアンデスの同一標高よりも気圧が低い[8]。そのため登山者にとっては高山病の危険性が比較的高くなる。マッキンリー山頂と同一気圧になるヒマラヤの標高は、登山シーズンで比較するとマッキンリー山頂よりも約300~450m程高い[9]。気圧は夏よりも冬のほうが一段と低くなり、冬のマッキンリー山頂の気圧は夏のヒマラヤ7000m超に相当する[10]

冬にはジェット気流の影響からしばしば時速160km(秒速44m)の風が吹き下ろし、さらにデナリ・パスのような風が集まる地形ではベンチュリ効果によって風速が倍増することもある[11]

地形[編集]

マッキンリー山には2つの主要な頂がある。南峰は最高点であり、北峰は5934mの高さである。北峰は南峰との鞍部から402m上るため、独立峰とされることもある。5本の巨大な氷河が山から発している。ピータース氷河は北西に、マルドロー氷河は北東に流れる。マルドロー氷河の東隣にはトラレイカ氷河がある。ルース氷河は南東に、カヒルトナ氷河は南西に流れる。

山体は花崗岩で出来ている。太平洋プレートが北米プレートの下に潜り込み、北米プレートの大陸地殻を押し上げたものである。

登頂歴[編集]

マッキンリー山の「ハイ・キャンプ」

1903年、フレデリック・クックにより初登頂されたと報じられたが、1909年にクックに同行したエド・バレルにより否定された(ただしバレルは、北極点初到達でクックと争ったロバート・ピアリーにより大金で買収されていたことが分かっている)。

初登頂は、1913年6月7日の宣教師のハドソン・スタックウォルター・ハーパーハリー・カーステンスロバート・テータムの4名である。1947年には、バーバラ・ウォシュバーンが女性として初めて頂上に到達した。1951年にブラッドフォード・ウォシュバーン隊によって登頂されたウェストバットレスルートが現在最も一般的なルートとなっている。

登山シーズンは4月後半から7月中旬[12]。4月、5月は寒く、7月になると雪が緩むので、6月中に登る人が最も多い[12]。1990年以降、登山シーズンには毎年400人から800人ほどが登頂している[13]。2015年までに冬季登頂を果たしたのは10隊17人で、うち5人が単独[14][15]。冬のマッキンリーでは6人が死亡している[14]

脚注[編集]

  1. ^ 北米最高峰マッキンリー山、83フィート低かった 最新技術測量で”. CNN (2013年9月13日). 2013年9月13日閲覧。
  2. ^ Dee Molenaar. Mountain's Don't Care, But We Do. https://books.google.co.jp/books?id=NT-RAAAAQBAJ&pg=PT25&lpg=PT25#v=onepage&q&f=false. 
  3. ^ マキンリーの気象観測遠征 日本山岳会
  4. ^ Interesting Weather Statistics for US Mountain Summits summitpost.org
  5. ^ マッキンリーの5710mに設置された Weather Stationの観測データ
  6. ^ マキンリーの気象観測遠征 各年度 気象観測データ概要 日本山岳会
  7. ^ Christopher C. Burt『Extreme Weather』p.51(1969年のthe U.S. Army Natick Laboratoriesによる)
  8. ^ Pressure Altitude - A Guide for Climbers マッキンリーの気圧は、ふもと(海抜標高付近)では他の地域と同じくらいだが、標高が高くなるほど低緯度地域(ヒマラヤやアンデス)よりも気圧が低くなる。なお緯度による気圧変化の要因には、「遠心力による重力加速度変化」と「温度変化」があるが、遠心力の効果は温度変化に比べて無視できる。
  9. ^ Pressure Altitude - A Guide for Climbers Table 5. マッキンリーの登山シーズンを6月、ヒマラヤの登山シーズンを5月とした。
  10. ^ Pressure Altitude - A Guide for Climbers
  11. ^ Mountaineering in Denali National Park and Preserve (PDF)  (邦訳)デナリ国立公園・保護区での登山(PDF) Written by: Denali Mountaineering Staff and Medical Advisors
  12. ^ a b Denali (Mount McKinley) summitpost.org
  13. ^ Denali National Park and Preserveサイト内のClimbing Statistics and Weather Observations にある統計データ 「Annual climbing activity on Mt. McKinley, 1903 to 2014 (PDFファイル)
  14. ^ a b Lonnie Dupre Just Solo Summited Denali. That’s a Huge Deal. Outside Online 2015年1月14日
  15. ^ Explorer will attempt first solo January ascent of McKinley Alaska Disptch News 2010年12月29日 2010年までの登頂者リストあり
  16. ^ Kilian Jornet on Going Up and Down Denali in Less Than 12 Hrs. Next: Elbrus, Aconcagua National Geographic Adventure 2014年7月1日

関連項目[編集]