ディック・トレイシー (アニメ)

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ディック・トレイシーThe Dick Tracy Show)はアメリカアニメーション作品。ユナイテッド・プロダクションズ・オブ・アメリカ製作。警察ものの短編ギャグアニメで、それぞれ個性豊かな刑事とギャングがドタバタ調の活劇を繰り広げる内容である。

概要[編集]

チェスター・グールドの人気コミック「ディック・トレイシー」をアニメ化したもの。1960年~61年放送。1962年には日本でも、NET(日本教育テレビ)(現:テレビ朝日)系列で6月から12月までの毎週土曜日18:15 - 18:45に「まんが探偵局 ディック・トレイシー」として放送され、90年頃にVHS、LDが発売された。1話5分程度で全130話。このアニメ版ではディック・トレイシーを除く全ての登場人物(一部ブルドッグを含む)がカートゥーン調(漫画風)で描かれ、ギャングたちの悪事を食い止めて逮捕する様子が面白おかしく描かれる。

作品は常に、警察署長から電話で事件捜査の指令を受けるディック・トレイシーの場面から始まる。次にトレイシーは、配下の警部らに腕時計型の通信機で連絡して出動させる。警部らも腕時計型通信機を持ち、指示を受けてギャングの根拠地や犯行現場に乗り込んで戦うが、その最中にトレイシーに捜査の進展状況の一報を入れる通信をするのが定番になっている。警部らは、「間もなく逮捕できる見込みです」と報告し、程なく悪人をやっつけ、そこへトレイシーが来て事件解決を確認、警部らの気の利いた締めの言葉で終了となる。

同じ製作スタジオのアニメ作品『近眼のマグー』との組み合わせエピソードも存在する[1]

他にも71年~73年に放送された、『アーチーでなくちゃ!』(The Archie Show)のキャラが進行役を務めるアニメコンプレックスまんがファニー』(Archie's TV Funnies。日本では74年4月~75年3月に東京12チャンネルで放送)の中の1本として放送された(声優は変更)。

登場人物[編集]

声は左から原語版/吹替えTV放送時/VHS版。

警察官たち[編集]

ディック・トレイシー(Dick Tracy)
声 - エヴァレット・スローン/若山弦蔵/竹中直人
主人公。署長の命を受けて、4名の部下のどれかに連絡をとり現場に向かわせる。冒頭で部下に連絡する時、中盤で刑事たちが連絡を取る時と、事件が解決した時に現場を見に来るのみの登場なので出番は少ない[2]。実質的に物語の中心となって活躍するのは、以下に記す4名の警察官である。
ジョー・ヤマダ警部(原語版ではジョー・ジツ[Jo Jitsu])
声 - ベニー・ルビン/八奈見乗児/千葉繁
大きな黒縁眼鏡と出っ歯が特徴。時にこうもり傘を持って出動する[3]。日系人で、時折「サヨナラ」など、日本語も話す。体は小さいがかなりの怪力を誇り、レスラー(悪人の一人)など自分の数倍の大きさの相手を片手で振り回し左右の地面に交互に叩き付けていた。八奈見乗児版ではその際「ごめんなさーい。」「許してねー。」「痛いでしょー?」等、事務的に声をかけていた。モデルはチャーリー・チャン警部[4]であるため若干中国人にも見える。ちなみに登場する時はドラの音が使われており、事件を解決して現場を去る時には、独特の抑揚を付けた「さよなーらー」という言葉を残す事もある。
ボヤキ警部(原語版ではヒープ・オケイロリー[Heap O`Calorie])
声 - ジョニー・クーンズ、ポール・フリース/今西正男/古川登志夫
丸く大きな鼻と小太りが特徴。やる気の無さそうな話し方をする。命令を受けてから浮浪者のニックに情報をもらいに行くが、ニックはしゃべらずボンゴを叩き、警部はその音で何を言っているかわかるらしい。
ゴーゴー・ゴメス警部(原語版ではマヌエル・ティフアナ・グアダラハーラ・タンピコ・ゴー・ゴー・ゴメス・ジュニア[Manuel Tijuana Guadalajara Tampico "Go-Go" Gomez, Jr.])
声 - メル・ブランク(パイロット版)、ポール・フリーズ/杉浦宏策/上田敏也
ルーニー・テューンズスピーディー・ゴンザレスのパロディであるメキシコ人キャラクター。浅黒い肌とちょび髭、ソンブレロをかぶってメキシコ風の服装をして、足が速い。会話の中にスペイン語を交える場合もある。
ブル巡査部長(原語版ではヘムロック・ホームズ[Hemlock Homes])
声 - ジェリー・ホースナー/滝口順平/滝口順平
他のキャラクターはみな人間だが、彼だけはブルドッグ。警察のヘルメットをかぶり、2本足で歩き、言葉をしゃべる。他の警部に比べよくドジを踏んだり、ピンチに追い込まれることが多い。ボケチャッタブルズ(The Retouchables)という5人の人間の部下を持つが、彼らは間の抜けた一面も見られ、出動命令があるとブル巡査部長を置き去りにして自分たちだけでパトカーに乗ってとび出し、それをブル部長が追いかけるといった場面もある。

悪人たち[編集]

このアニメ版では、敵はコンビで行動する。ごくまれに単独で登場する場合もある。

ジルバ(原語版ではストゥージ・ヴィラー[Stooge Viller])
声 - ジェリー・ホースナー/梶哲也/石森達幸
茶色のスーツ、帽子に煙菅をくわえたギャング。
マンボ(原語版ではマンブルズ[Manbles])
声 - ジューン・フォーリー/杉浦宏策/亀山助清
マンボの部下で金髪に黄色のスーツの男。つまりコンビでジルバとマンボと言うダンスの名前になっている。唇が歪んでおり何を言っているかわからないが、マンボは聞き取れているようである。原語版での声は女性のジューン・フォーリーが担当した。
ホシガキー(原語版ではプルーンフェイス[Pruneface])
声 - ベニー・ルビン/玉川良一/飯塚昭三
プルーンはスモモ又はそれを乾燥させたもの。名前通りしわだらけの顔をした男。冷静で、警部が陣地に乗り込んで来ても驚かず、警部を攻撃してみせる。本作ではボリバリーとコンビで行動するため、ボリバリーに「体を掻くのをやめろ」というのが癖になってしまっている。モデルはボリス・カーロフ。当時はドライフルーツではピンと来ないと思われたのか、干し柿をもじった日本語由来のキャラクター名であった。
ボリバリー(原語版ではイッチー[Itchy])
声 - ジェリー・ホースナー/大塚周夫/竹中直人
黒縁眼鏡にたらこ唇の男。常に体を掻いている。
フラッパー(原語版ではフラットトップ[Flattop])
声 - メル・ブランク、ポール・フリース/小宮山清/納谷六朗
頭頂部が平べったく、白い肌の男。主にロンパリーと行動する。モデルはピーター・ローレ
ロンパリー(原語版ではビービーアイズ[B.B.Eyes])
声 - ポール・フリース、ジェリー・ホースナー、メル・ブランク/大塚周夫/荒川太郎
目が吊り上っている以外はジルバに酷似しているが、目を大きく開き瞳をパチンコ玉のように転がす場面がある。「ロンパリ」という語は、斜視の俗称として用いられていた。モデルはエドワード・G・ロビンソン
コッペ(原語版ではザ・ブロウ[The Brow])
声 - ジェリー・ホースナー/小宮山清/加藤精三
葉巻をくわえ、頭頂部にしわがある男。モップを部下に持つ。日本語版の名称は、頭のしわがコッペパンを思わせるため。モデルはジェームズ・キャグニー
モップ(原語版ではウードルズ[Oodles])
声 - ジェリー・ホースナー/玉川良一/梅津秀行
体が青白く長髪で口しか見えない。日本語版の名前はその髪型から。
ダンディー(原語版ではスケッチ・パリー[Sketch Paree])
声 - ベニー・ルビン/梶哲也/緒方賢一
モーニング姿の正装で紳士風な外見であるが、顔つきは悪党。
レスラー(原語版ではザ・モール[The Mole])
声 - ジェリー・ホースナー/立壁和也/龍田直樹
ダンディーの部下。太めで背が低い。ダンディーが正装なのに対し彼は普段着のような格好で行動する。日本語版の名前はその体型から。
ペテン師ガンスモーク (Cheater Gunsmoke)
声 - 不明
顔を葉巻の煙で覆い隠した男。その煙は水をかぶろうが晴れることはない。彼は単独で行動する。

脚注[編集]

  1. ^ マグーが毎週様々な役を演じる30分のアニメが1960年代後期に『名優マグー』の邦題で放送された。マグーが『ロビンフッド』・『フランケンシュタイン』・『真夏の夜の夢』・『白雪姫』・『白鯨』その他世界の名作で主演や著名な脇役を演ずる設定の作品であり、その中に『ディック・トレイシー』もあった。ベテラン舞台俳優のマグーがトレイシーの依頼でギャングの幹部に扮し、ギャング団を誘い出すものの、正体を知られて危機に陥るが、無事トレイシーに救出されるという設定。本項で取り上げている『ディック・トレイシー』はギャグ作品であり、『名優マグー』で放送されたものは本格的なドラマの趣があって、登場する悪役は両作品とも同じであったが、前者では間抜けでユーモラスな、後者では冷酷非情なギャングとして描かれた。
  2. ^ 一度、ギャングたちがトレイシーの誘拐を実行した事があり、その際は出演時間が長かった。ギャング相手に銃撃戦を演じた場面もある。
  3. ^ 傘の布は丈夫な防弾用で、柄には銃が仕込んである。一度だけであるが、その傘を開いて敵の銃弾をはね返し、仕込んだ銃を発砲して相手を圧倒した。
  4. ^ アール・デア・ビガーズの小説に登場する中国系アメリカ人の警察官。ハワイのホノルル警察署に勤務し、難事件を解決する。
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