ディアトリマ

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ディアトリマ
生息年代: 新生代古第三紀暁新世 - 始新世
56–45 Ma
Diatryma.jpg
地質時代
新生代古第三紀暁新世 - 始新世
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: (本文参照)
: ガストルニス科 Gastornithidae
: Diatryma Cope, 1876

ディアトリマDiatryma)は、新生代暁新世から始新世にかけて繁栄した恐鳥類の一種。地上走行性の巨大な鳥で、祖先の小型獣脚類恐竜)と酷似した生態を確立した。

形態[編集]

体高2メートルに達し、体重は200キログラム以上、最大で500キログラムほどになったと推定される。巨大な頭部が特徴で、頭骨の長さは40センチメートル以上。強力なくちばしを持っていた。翼は退化して縮小し、過大な体重と相まって空を飛ぶことはできなかったが、強大な脚で地上を走行した。

生態[編集]

恐竜絶滅の頃すでに一部の鳥類は直ちに恐竜のニッチを引き継ぎ得る状況にあり、恐竜絶滅後間もなく一部の鳥類は恐鳥類として地上へと進出し、ディアトリマが出現した。哺乳類は、新生代初期にはその大部分が小型で原始的なものであったため、ディアトリマは当時の陸上生態系の頂点にあった。

ディアトリマは北アメリカ、ヨーロッパ(当時、両大陸の北部は繋がっていた)から化石が発見されているが、その他の地域でも巨大な走行性肉食鳥類がいたことがわかっている(現在の中央アジアにあったツルガイ海峡Turgai Sea)でヨーロッパから隔てていたアジア大陸では、生存していた化石証拠が無い)。彼らは新生代初期の食物連鎖の上位にあったが、肉歯目ヒエノドン(Hyaenodon ヒアエノドンとも呼ばれる)などの肉食哺乳類が進化すると、生存競争に敗れ勢力を失い絶滅した。祖先の鳥は空を飛ぶために前肢を翼に進化させ、軽量化のために牙をなくしたのだが、ディアトリマが地上で生活するようになっても前肢と牙は戻らなかった。そのため、前足や牙をもつ肉食哺乳類との生存競争は不利だったと考えられる。ヒエノドン類に卵を食べられたり、小規模とはいえ群れをなしてディアトリマを攻撃した可能性もある。

食性について[編集]

ディアトリマの食性は長年の間議論が続いている。以前の多くの書籍では、ディアトリマはヒラコテリウムなどを襲うハンターとして描かれていた。しかし、脚の構造は素早い獲物を狩る事に向いておらず、もし肉食性だったのであれば待ち伏せ型の狩りや群れでの狩りをしていたのだろうと推測される。現生の大型走行鳥であるダチョウヒクイドリエミューはいずれも植物食または雑食であり、頭部は小さく、くちばしも鋭くないが、ディアトリマは現生のあらゆる走鳥類より頭が大きく、筋肉の構造により嘴を閉める力は相当強かったと見られる。そのため一部の科学者は伝統的な肉食性のディアトリマの生態を支持している。

一方で最近有力になってきている説としてディアトリマが植物食性であったというものがある。ディアトリマの嘴は同時代の肉食鳥類に比べ鉤状に曲がっておらず、足の爪も鋭くなかったということが主な証拠であるといわれる。また、Thomas Tutken氏による骨内のカルシウムの同位体の研究によれば、ディアトリマの骨は肉食動物よりも植物食動物に近い構成を持っていた。

分類[編集]

ガストルニスの想像図

近年、北米産のディアトリマは1855年に命名された欧州産のガストルニスGastornis)とシノニムであり、新参異名であるディアトリマ(Diatryma)は無効名である、とする説が出されている。

ディアトリマの所属は未確定であり、近年までツル目とする説が一般的であったが、21世紀以降の研究ではキジカモ類に含まれるとする説が有力となってきた。また、独立目として、ガストルニス目(Gastornithiformes)もしくはディアトリマ目(Diatrymiformes)を立てる説がある。

については、本稿はガストルニス科としているが、ガストルニスとディアトリマが科でも別だと考える場合、ディアトリマ科に入れられることもある。

脚注[編集]

参考文献[編集]

関連項目[編集]