疑問名

疑問名(ぎもんめい、nomen dubium、複数形:nomina dubia、ラテン語で「疑わしい名前」の意)は、国際動物命名規約において、どう適用するか不詳もしくは不明確な学名のことである。
動物学
[編集]疑問名の場合、ある標本がその学名の示す分類群に属するか同定することが不可能かもしれない。このような事例は元のホロタイプ、アイソタイプ、シンタイプ、パラタイプといったタイプシリーズの標本が失われた場合に発生することがあり、この場合にはネオタイプ(新基準標本)を選定することが可能である。

命名に用いられた標本が断片的であるか、あるいは同定に重要な部位を欠いている場合にも、その生物の名前は疑問名となる可能性がある。これは化石種によく見られる事例である。名前の安定性を維持するため、動物命名法国際審議会は新たなホロタイプまたはネオタイプの選定を許可している。
75.5.ネオタイプによる同定不能の担名タイプの置換.ある名義種階級群タクソンの分類学的同一性が存在する担名タイプからは決定できず(すなわちそれの学名が疑問名であり),そのことによって安定もしくは普遍性が脅かされていると考えられるときは,その存在している担名タイプを強権[条81]の下で破棄してネオタイプを指定するよう,審議会に要求することができる.[1][2]
例えば、1885年にリチャード・ライデッカーが命名したワニに似た主竜類 Parasuchus hislopi は吻部の一部に基づいて命名されたが、これは近縁な生物からパラスクスを区別するのに不十分であった。従って Parasuchus hislopi は疑問名とされた。完全な骨格を新たなタイプ標本にするべきであると2001年に古生物学者が提案し[3]、動物命名法国際審議会はこれを検討、2003年にオリジナルの模式標本をネオタイプに差し替えることに賛同した[4]。
細菌学
[編集]国際原核生物命名規約において、疑問目は審議会により廃棄名のリストに掲載されることがある。これらの語の意義は不確かである。同様の扱いを受ける可能性のある語の他のカテゴリー(規則56a)は以下の通りである[5]。
- nomina ambiguaは、複数の意味で使用されてきた。
- nomina confusaは、混合した文化に基づく。
- nomina perplexaは、紛らわしい類似した語。
- nomina periculosaは、生命や健康を脅かす事故や重大な経済的損失を招く恐れのある語。
植物学
[編集]国際藻類・菌類・植物命名規約においての「疑問名」は、その適用が混乱を招くようになった学名に対して非公式に用いられるものの、正式な用語ではない。この点では、シノニムである「nomen ambiguum」の方がより頻繁に用いられる[6]。このような学名は却下される可能性がある。
出典
[編集]- ↑ International Code of Zoological Nomenclature Archived 24 May 2009 at the Wayback Machine. (4th edition, 1999)
- ↑ 動物命名法国際審議会『国際動物命名規約』(pdf)(第4版追補)日本分類学会連合、2005年。ISBN 4-9902719-0-4。
- ↑ Case 3165, Bulletin of Zoological Nomenclature 58:1 Archived 2007-09-28 at the Wayback Machine., 30 March 2001.
- ↑ Opinion 2045, Bulletin of Zoological Nomenclature 60:2 Archived 2007-09-28 at the Wayback Machine., 30 June 2003.
- ↑ SP Lapage; PHA Sneath; EF Lessel et al., eds (1992). “Rules of Nomenclature with Recommendations”. International Code of Nomenclature of Bacteria: Bacteriological Code, 1990 Revision. ASM Press
- ↑ “Type Definitions”. Linnean Society. 2025年10月20日閲覧。