ダッソー ファルコン

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ファルコン 20

ダッソー ファルコンは、フランスダッソー社が生産・販売しているビジネスジェット機。

概要[編集]

ダッソーは主に軍用機の開発・生産を行っているメーカーであり、民間機の経験は少なかった。1950年代から軍用機開発の経験を活かし、民間ビジネスジェット機の開発を開始した。こうして最初に開発されたのが双発ビジネスジェット機ファルコン 20で、1963年に初飛行し、同機に惚れ込んだチャールズ・リンドバーグがコンサルタントを務めていたパンアメリカン航空から大量受注された。ファルコン 20の成功を受け、1970年にはやや小規模なサイズのファルコン 10、1976年にはエンジンを三発にし大型化したファルコン 50も開発され、世界を代表するビジネスジェットシリーズの1つとなった。

現在に至るまでのシリーズ類型生産数は1,000機を超えており、日本航空の訓練機やソニーの社用機などの民間のビジネス機としてのみならず、フランス海軍アメリカ沿岸警備隊海上保安庁などの軍・政府機関でも用いられている。

ラインナップとしては、大企業あるいは政府機関向けの販売を狙った大型上級機だけで構成されており、販売機数を稼げる小型機をラインナップしていないのが特徴である。また、多くのビジネスジェット機が双発機となる中、現在でも洋上飛行時の三発エンジンの優位性を認めており、双発と三発の両モデルを提供している。

シリーズ[編集]

ファルコン 50

初期のモデルであるファルコン10/20/50シリーズは既に製造販売を終了している。

型式 就航 製造終了 乗客定員 航続距離 エンジン基数 特徴
ファルコン10/100 1970 1989 8 1,920 nm 双発 ファルコン20の小型化、後期100呼称
ファルコン20/200 1963 1988 12 1,810 nm 双発 ファルコン シリーズ原型、後期200呼称
ファルコン30/40 1973 1975 30 1,150 nm 双発 ファルコン20の大型化、米国向け40呼称
ファルコン50 1976 2008 10 3,220 nm 3発 ファルコン シリーズ初3発エンジン
ファルコン900 1984 19 4,750 nm 3発 ファルコン50の大型化
ファルコン2000 1993 19 4,150 nm 双発 ファルコン 20/200の後継としてファルコン 900を双発化
ファルコン5X 2017(計画中止) 16 5,200 nm 双発 スネクマ社の新エンジンシルバークレスト技術的遅延により凍結
ファルコン6X 2021 16 5,500 nm 双発 ファルコン5Xの中止を受け客室居住性、航続距離若干拡張型、エンジンPW800選択
ファルコン7X 2005 12 5,950 nm 3発 ファルコン50/900の3発機後継機、設計CAD及び飛行制御FBW全面採用機
ファルコン8X 2016 19 6,450 nm 3発 7Xの発展超長距離型
ダッソー ファルコン 10X 2025(予定) (不明) 7,500 nm 双発 ファルコン シリーズ初ロールスロイス製Pearl 10Xエンジン搭載予定

ダッソー・ファルコン・サービス[編集]

1967年設立。ダッソー・アビエーションが製造するダッソー ファルコンを使用し、フランスのパリ近郊ル・ブルジェ空港を拠点に欧州、中東、アフリカ方面にビジネスジェットチャーターサービスを展開する「ビジネスジェット・オペレーター」

  • 保有機
    Falcon 900B:3機
    Falcon 900EX:3機
    Falcon 7X:3機

2017年4月18日に日本航空が同社と提携し、JALの定期便(東京=パリ間)と同社チャーターサービスを組合せた「JAL FALCONビジネスジェットサービス」の販売を5月1日より開始する事を発表[2]

脚注[編集]

  1. ^ Stephen Pope. (December 14, 2017), "Dassault Cancels Falcon 5X Program", Flying Magazine. (2017年12月19日閲覧).
  2. ^ 「JAL FALCONビジネスジェットサービス」の販売を開始

関連項目[編集]

  • セレブリティ
  • F-16 - 当初F-16も「ファルコン」と名付けられる予定であったが、本機が既に「ファルコン」の商標を獲得していたため「ファイティングファルコン」となった経緯がある。

外部リンク[編集]