ジョン・キーツ
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ジョン・キーツ John Keats | |
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![]() ウィリアム・ヒルトンによる肖像画(1822年頃) | |
誕生 |
1795年10月31日![]() |
死没 |
1821年2月23日 (25歳)![]() |
職業 | 詩人、外科医見習い、医学生 |
言語 | 英語 |
国籍 |
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文学活動 | ロマン主義 |
配偶者 | 結婚せず(婚約者フランシス・「ファニー」・ブローン) |
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ジョン・キーツ(John Keats、1795年10月31日 - 1821年2月23日)は、イギリスのロマン主義の詩人。
生涯[編集]
ロンドンのモーゲートにて馬丁の長男として生まれる。人生の初めの7年は幸せであったが、1804年、父を落馬事故による頭部骨折で亡くしたのが困難の始まりであった。母はまもなく再婚したが、再婚相手とはすぐに別れ、子供たちをつれてキーツの祖母と同居するようになる。1810年、母は結核で死去。祖母の計らいで外科助手として奉公に出される。1814年まで奉公を続けたが、親方との激しいやり取りの後、奉公を終えて地方病院の学生となることができた。このころ、詩作に傾倒しはじめる。
1817年の春、ジョンはワイト島へ1週間ほどの旅行に出かけた。同年、処女詩集『詩集』(Poems by John Keats)を出版した。1818年、スコットランドを旅行した時にファニー・ブローン(en:Fanny Brawne)と知り合い翌年婚約を交わす。同年、彼は4巻4千行にも及ぶ寓意叙事詩『エンディミオン』(Endymion)を出版したが、評論誌、雑誌から激しく批判される。気落ちした彼は、スコットランドとアイルランドへ旅行に出かけ、ブリテン島最高峰のベン・ネヴィス山頂に立った。このときの体験は彼を精神的に成長させたといわれている。旅行中、ジョン自身も結核の兆候を示したので、旅行を短縮して帰郷した。弟トムは1818年に彼の母と同じく結核により死去。
キーツはミルトン風無韻詩による哲学的叙情詩『ハイペリオン』(Hyperion)を書き出すが、未完に終わる。これをスタイルを変え改稿し『ハイペリオンの没落』(The Fall of Hyperion)として新たに書き始めたが、こちらも未完に終わる。
ジョンの病状も悪化し、医者の勧めでイギリスの冷たい空気をさけ、イタリアで療養することになった。イタリアでの住まいはローマのスペイン広場の近くであった。1819年には、『秋に寄せて』(To Autumn)、『ギリシャの古壺のオード』(Ode on a Grecian Urn)などの代表的オードが次々と発表された。しかし、病状は好転せず、彼はファニーとの結婚を諦める。友人たちの手厚い看護を受けながら、ジョンは1821年2月23日、25歳で死去。ローマの新教徒墓地に葬られる。彼の遺言により、墓石には「その名を水に書かれし者ここに眠る("Here lies one whose name was writ in water")」と彫られている。
著作[編集]
- この詩はレイミア(ラミアー)の異類婚姻譚。内容はロバート・バートン(en:Robert Burton (scholar))のThe Anatomy of Melancholy(『憂鬱の解剖学』)の第3部第2節第1条第1題の逸話とジョン・ランプリエールの『ギリシア・ローマ事典』(ジョン・ポッターの『ギリシア古俗』)による[2]。
- この詩中Part Ⅱの部分にアイザック・ニュートンのプリズムによるスペクトル発見に代表される科学、哲学の発展が文学の詩情を破壊した、と激しく非難する内容がある[3]。
- ちなみに、詩の作中の一節"Unweave a rainbow"(「(学問が)虹をばらばらにする」)は、リチャード・ドーキンスがUnweave the Rainbow(『虹の解体』)と自著の題名にした。ドーキンスは、この本でキーツに代表される文学者の科学に対する否定的見解に反駁して、科学の発展は宇宙に対する"センス・オブ・ワンダー"(驚嘆する精神)を生み、それこそが詩情の源泉となる、と説いている。
邦訳[編集]
- 『キイツ詩集』渡辺正知訳 聚英閣 泰西詩人叢書 1926
- 『キーツの手紙』中橋一夫訳 青木書店 1940
- 『感覚より思索へ キーツの手紙』川村泉訳 養徳社 1947
- 『愛について』中橋一夫訳 角川書店 1948
- 『エンディミオン』大和資雄訳 岩波文庫 1949
- 『キーツ書翰集』梅原義一訳編 弘文堂 1949
- 『キーツ書簡集』佐藤清選訳 岩波文庫 1952
- 『キーツ詩集』岡地嶺訳 文修堂 1965
- 『キーツ詩集』出口泰生訳 弥生書房 世界の詩 1966
- 『キーツ詩集』田村英之助訳編 思潮社古典選書 1968
- 『蛇女 譚詩 他2篇』今西信弥訳註 大阪教育図書 1968
- 『キーツの手紙』松浦暢訳 吾妻書房 1971
- 『キーツ全詩集』全3巻別巻1 出口保夫訳 白凰社 1974
- 『キーツ詩集』出口保夫訳 白凰社 青春の詩集 1975
- 『キーツ詩集 新訳』高島誠訳 弥生書房 世界の詩 1975
- 『オットー大帝 悲劇・全五幕』武田美代子訳 南雲堂 1977
- 『詩人の手紙』田村英之助訳 富山房百科文庫 1977
- 『キーツ詩集』岡地嶺訳 泰文堂 1979
- 『エンディミオン 物語詩』西山清訳 鳳書房 2003
- 『キーツ詩集 対訳』宮崎雄行編 岩波文庫 イギリス詩人選 2005
- 『キーツ詩集』中村健二訳 岩波文庫、2016
注[編集]
関連項目[編集]
- ネガティブ・ケイパビリティ - 不可解なものを受容する能力を謂うキーツの概念。
- キーツ (小惑星) - 彼に因んで命名された小惑星(4110)。
- ブライト・スター いちばん美しい恋の詩 - 伝記映画