ショウガ科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ショウガ科 Zingiberaceae
ショウガ
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 単子葉類 Monocots
: ショウガ目 Zingiberales
: ショウガ科 Zingiberaceae
学名
Zingiberaceae Lindley
  • 本文参照

ショウガ科(ショウガか、学名: Zingiberaceae)は、およそ50のと総計およそ1600の既知[1]から成る被子植物である。ショウガ科植物は芳香のある多年生草本であり、塊茎状の匍匐根茎を持つ。の形は見かけ上はラン科の花にやや似る。熱帯アフリカ、アジア、アメリカ州の至るところに分布している。

ショウガ科の多くの種は重要な観賞植物香辛料薬用植物である。観賞植物となる属にはキフゲットウハナミョウガ属 Alpinia)、クルクマ・シャロームCurcuma alismatifolia)、グロッバ属 Globbaハナシャクシュ英語版シャクシュ属英語版 Hedychium)、バンウコン属英語版Kaempferia)、トーチジンジャー Etlingera elatiorレネアルミア属英語版Renealmia)、ショウガショウガ属英語版 Zingiber)が含まれる。香辛料には、ショウガ(ショウガ属)、ガランガル(タイショウガ、Alpinia galangaやその他の種)、ギニアショウガAframomum melegueta)、ミョウガZingiber mioga)、コロリマ英語版Aframomum corrorima)、ウコンウコン属 Curcuma)、カルダモンアモムム属 Amomumショウズク属 Elettaria)がある。

一般的特徴[編集]

ショウガ科は地下茎のよく発達した、面白い形の花を持つ単子葉植物の一群である。日本には種類がごく少ないが、熱帯を中心に多くの種がある。

植物体の姿はいずれもおおよそ似ていて、ショウガミョウガを思い起こせれば分かりやすい。いずれも地下に肥大する地下茎を持っている。そこから茎が地上に伸び、左右2列に多数の葉をつける。ただしこの茎は本当の茎ではなく、葉の基部である葉鞘が折り重なって丈夫になっただけのものなので偽茎と言われる。葉鞘とはいえ結構丈夫なもので、大きなものは高さ5mにもなる。ちなみにこの構造はバナナと同じである。

花はたいていは穂状につく。花序は偽茎の先端から出る(ゲットウなど)か、地下茎から別に茎を伸ばしてつける(ミョウガなど)。

果実は液果、または蒴果である。

花の構造[編集]

ショウガの花式図
ミョウガ

ショウガ科の植物の花は、かなり独特の姿をしている(左の花式図を参照)。雄蘂雌蘂が癒合して一つになっていること、それを受けるような唇型の花弁があることなどは少々ラン科の花にも似ている。しかし、構造的には全く異なるものである。

花には6枚の花被があり、外花被3枚、内花被3枚からなる。ラン科の花では、これを数えるのは難しくないが、ショウガ科の場合、普通には数えることはできない。まず外花被はそれぞれが癒合して筒状になっている。これが花の基部にある。内花被3枚は、基部は癒合して、先端は3つに分かれて花の上と左右下側に出る。ちょうどランの花の外花被のような配置である。残るのは唇形の花弁であるが、実はこれは花弁ではなく、雄蘂が花弁の形になったもの。

雄蘂は2列6個あるが外列3個のうち1個は消失、後の2個は唇弁の脇に付属片として残るのみ。内側3個のうち、下側2個は先述の通り唇弁になり、1個だけが機能をもつ雄蘂となる。この雄蘂は雌蘂と融合して一つになって唇弁の上に出て、先端に柱頭、その根元側下面に葯がつく。なお、花粉はラン科のように花粉塊にはならない。

利用[編集]

一般的には香辛料として利用されているものが多い。ショウガの地下茎やミョウガの花穂は薬味として利用される。ゲットウの葉は沖縄ではを包むのに用いられ、その香りを楽しむ。ちなみに種子を利用するカルダモンもこの科に属する。

最近では精力剤として重要視されているものがあり、タイを原産とするクロウコン(ブラックジンジャー)はその代表となっている。

一方で、ゲットウやハナシュクシャ(ホワイトジンジャー)はその花が大きくて美しいため、観賞用に栽培されており、ガジュツやウコンなどの地下茎は、漢方薬や染料などに用いられる。

分類[編集]

日本本土では野生種は関東以西にハナミョウガがある他は、すべてそれ以南にしか分布しない。ミョウガは時に自生状態で見られるが、古い時代の帰化種と考えられる。世界的に見れば、熱帯を中心に49属1500種がある。熱帯多雨林で、巨大な下草として繁茂している場合もある。

クラドグラム: ショウガ目 Zinfiberalesの系統発生[2]
ショウガ目 Zinfiberales
Zingiberineae
Zingiberariae

ショウガ科 Zingiberaceae

オオホザキアヤメ科 Costaceae

Cannariae

カンナ科 Cannaceae

クズウコン科 Marantaceae

Strelitziineae

ロウイア科 Lowiaceae

ゴクラクチョウカ科 Strelitziaceae

オウムバナ科 Heliconiaceae

バショウ科 Musaceae

下位分類[編集]

ウコン Curcuma longa
ショウズク Elettaria cardamomum
グロッバ属 Globbaの花序。
オオヤマショウガ英語版 Zingiber spectabileの栽培品種Beehive

代表的な種[編集]

日本産の種は以下の通り。

ショウガ科 Zingiberaceae

他に栽培されているものなどの有名種を以下に挙げる。

出典[編集]

参考文献[編集]

  • Sass, C; Iles, WJ; Barrett, CF; Smith, SY; Specht, CD (21 January 2016). “Revisiting the Zingiberales: using multiplexed exon capture to resolve ancient and recent phylogenetic splits in a charismatic plant lineage.”. PeerJ 4: e1584. doi:10.7717/peerj.1584. PMC 4727956. PMID 26819846. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4727956/. 

参考画像[編集]

関連項目[編集]