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サルビア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヒゴロモソウ(サルビア)
1. 花序(ニュージャージー州、10月)
分類
界 : 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : キク類 asterids
階級なし : シソ類 lamiids
目 : シソ目 Lamiales
科 : シソ科 Lamiaceae
亜科 : シソ亜科 Nepetoideae
連 : ハッカ連 Mentheae
亜連 : アキギリ亜連 Salvinae
属 : アキギリ属 Salvia
亜属 : Salvia subg. Calosphace
種 : ヒゴロモソウ S. splendens
学名
Salvia splendens Sellow ex Nees (1821)[1][2]
シノニム
  • Fenixanthes splendens (Sellow ex Nees) Raf. (1840)
  • Horminum splendens (Sellow ex Nees) M.Gómez (1897)
  • Jungia splendens (Sellow ex Nees) Soják (1983)
  • Salvia brasiliensis Spreng. (1824)
  • Salvia colorans Benth. (1833)
  • Salvia issanchou Anon. (1890)
  • Salvia splendens var. bruantii Gumbl. (1883)
  • Salvia splendens grandiflora Rob. (1899)
和名
ヒゴロモソウ[3](緋衣草[4])、サルビア[5][6][7](サルビヤ[6]、来路花[8])、サルビア・スプレンデンス[9][10]
英名
scarlet sage[11]

サルビア(英: salvia)とは、シソ科アキギリ属(学名: Salvia)に属する植物の総称[12][5][13]、またはそのうち花が美しく観賞用に栽培される種の総称[6][14]、さらに最狭義にはその一種であるヒゴロモソウ(緋衣草、スカーレットセージ、サルビア・スプレンデンス、英: scarlet sage、学名: Salvia splendens)のことである[13][5][6][15][7]。以下では最狭義のサルビア(ヒゴロモソウ)について解説する。広義のサルビアについてはアキギリ属を参照のこと。

サルビア(ヒゴロモソウ)は、本来は高さ1メートルほどになる亜低木から多年草であるが、温帯域では越冬できないため一年草となる。葉は対生し、4–8 × 2–6センチメートル、鋸歯があり、先端は尖る(図1)。日本で栽培されているものの花期は6–11月、茎頂に穂状の花序をつける(図1)。花はふつう鮮赤色だが(図1)、紫色、ピンク色、オレンジ色などの栽培品種もある。萼と花冠は同色。学名の種小名の splendens は、ラテン語で「強い光沢のある、光輝ある」を意味し、赤く輝きのある花色に由来する[13][11]。ブラジル南西部原産であり、19世紀にヨーロッパの園芸界に導入され、現在では世界中で広く栽培されている。

特徴

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自生地では高さ1メートル (m) ほどになる半低木から多年草であるが、温帯では越冬できないため一年草となる[1][2](図1, 2)。茎は分枝し、基本的に緑色から褐色であるが、しばしば赤色を帯び、また微小な毛で密に覆われている[2]。葉は対生し、葉柄は長さ1-3.5センチメートル (cm)、葉身は卵形から心形、4–8 × 2–6 cm、基部はくさび形から円形、葉縁には鋸歯があり、先端は鋭尖頭、軟毛に覆われ、表面は暗緑色、橙色の腺点があり、裏面は淡緑色[2](図1, 2)。

2a. 植物画
2b. 株

自生地では、花期は1–11月[2]、日本では6–11月[16]。長さ35–55ミリメートル (mm) ほどの花が2–6個集まって輪散花序を形成し、これが茎頂に6–30 mmの間隔で連なって長さ10–20 cmほどの総状の花序を形成する[2](図1–3)。花序軸は鮮紅色、毛で覆われる[2](図3b)。苞は卵形、約12 × 6 mm、萼と同色、毛で覆われ、早落性[2]。小苞はない[2]。花柄は長さ3–6 mm、軟毛がある[2]。萼は花冠と同色、鐘形、約20 × 10 mm、8脈(上唇の3脈が顕著)があり、脈上に軟毛があり、唇形、上唇は約8 mm、反り返り、先端は鋭尖形、下唇は約6 × 5 mm、約4 mmの深さで2裂し、裂片は鋭尖頭。果期には萼は肥大する[2](図2a, 3)。花冠は赤桃色(栽培品種では鮮赤色、紫色、ピンク色、オレンジ色などもある)、長さ35–55 mm、毛で覆われ、花筒は長さ26–27(–40) mmでわずかな膨らみがあり、唇形、上唇は9-10 mm、膨らみ、下唇は3裂し、中央裂片は約5 × 3 mm、側裂片は5 × 2 mmで反り返る[2](図2a, 3b)。雄蕊は2個、長さ約15 mm、葯隔が伸長して半葯が離れており、下部の不稔半葯は互いに合着しへら状。雌蕊は1個、花柱は長さ約35 mm、遠位側1/3は赤色の毛で覆われ、先端は花冠の外に突き出ており、柱頭は不均等に2裂する[2](図2a, 3b)。

3a. 花序
3b. 花序

分布

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ブラジル東南部原産であるが、世界中で栽培されており、また南米の他の地域、中米、インドなどに帰化している[1][2]。

人間との関わり

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アキギリ属の中には園芸用に利用されている種が多いが、その中で本種は最もよく知られ親しまれている種である[16]。本種は花期が長く、また萼と花冠が同色であるため花冠が落ちても色鮮やかな萼が残り、観賞用に有用である[11][13][17]。

本種は南米原産であり、17–18世紀にヨーロッパに導入されたとする説もあるが、一般的に1822年にヨーロッパに導入されたとされる[2][13]。イギリスでは19世紀のヴィクトリア時代になると、一般的な家庭でも花壇がつくられるようになり、外来の草花も盛んに植えられたが、その中でも本種は重要な種であった[13]。日本には1895年(明治28年)に導入された[13]。現在では世界中で観賞用に栽培されている[2](図4)。

4a. ブラジル
4b. インド
4c. ベトナム
4d. 鳥取県

栽培

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日当たりがよく、乾燥しないが水はけがよい場所を好む[11][16]。土質はあまり選ばないが、腐植質に富む肥沃なほぼ中性土が理想的であり、リン酸分の多い方が花つきがよくなる[11][16][17]。生育適温は15–25°Cであり、霜や凍結に弱く、日本では一年草扱いであるが、最低5°Cぐらいを保てば越冬できる[16]。夏は30°C以上でも生育するが、花つきは悪くなる[16]。気温が下がると花の色が冴える[13]。土が乾きはじめたら、水をたっぷりと与える[16]。根の張りが浅いため、夏に水が切れるとすぐに弱り、下部の葉が枯れ上がる[16][13]。生育が旺盛で開花期間が長いため、庭植え、鉢植えともに定期的に施肥する(月に1回、緩効性肥料を与えるか、月に3回ほど液体肥料を与える)[16]。肥料が切れると生育が止まり、花も咲かなくなる[16]。病害はほとんどないが、株元に水がたまると根腐れすることがある[16][17]。アブラムシ、ヨトウムシ、ハダニなどの害が起こることがある[16]。

おもに種子でふやすが、挿し芽でもふやせる[16]。発芽適温は20–25°Cほどであり、露地またはポットに種子(果実)をまき、好光性であるため覆土はごく薄くする[16][17]。発芽まで7–8日かかるため、乾燥しないように注意し、発芽後は徒長しないように日をよく当てる[16][17]。ポット苗も多く流通している[16]。

次々に腋芽を伸ばして花をつけるため、咲き終わった花穂は順次除いておく[16][17]。また、花が一段落した夏に半分くらいの高さに切り戻しておくと、秋に全体が形よく花が咲くようになる[16]。

栽培品種

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サルビアにはさまざまな栽培品種が作出されており、草丈が高く晩生の‘ボンファイヤー (Bonfire)’、中程度の高さの‘ホットジャズ (Hot Jazz)’、矮性の‘リトルタンゴ (Little Tango)’などがある[13][16]。またよく知られたものとして、「シズラー (Sizzler)」シリーズ、「フラメンコ (Flamenco)」シリーズ、「ビスタ (Vista)」シリーズなどがある[11][16]。花色は赤が最も一般的であるが、ピンク色、紫色、白色などの栽培品種もある[11][13](図5)。

5a. ‘あやのピーチ’(水戸市植物公園)
5b. 'Empire Purple'
5b. 'Empire Red'
5b. 'Vista Red'

シンボル

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日本では、サルビアは身近な観賞植物であり、さまざまな地方自治体において市の花などに選定されている(下記)。

脚注

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出典

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  1. 1 2 3 “Salvia splendens”. Plants of the World Online. Royal Botanical Gardens Kew. 2026年8月10日閲覧。
  2. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 WFO (2026年). “Salvia splendens Sellow ex Nees”. World Flora Online. 2026年8月10日閲覧。
  3. ↑ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Salvia splendens Sellow ex Roem. et Schult.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2026年8月10日閲覧。
  4. ↑ 川添和義、小池佑果、栗本慎一郎、磯田進. “タンジン”. 日本薬学会. 2026年8月10日閲覧。
  5. 1 2 3 「サルビア」『デジタル大辞泉』。コトバンクより2026年8月10日閲覧。
  6. 1 2 3 4 「サルビア」『精選版 日本国語大辞典』。コトバンクより2026年8月10日閲覧。
  7. 1 2 「サルビア」『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』。コトバンクより2026年8月10日閲覧。
  8. ↑ “植物”. 難読漢字学園. 2020年3月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年3月29日閲覧。
  9. ↑ 主婦の友社, ed (2016). “サルビア”. はじめての花づくり. 主婦の友社. p. 74. ISBN 9784074156528
  10. ↑ 金田初代 (2003). “サルビア”. 花の事典. 西東社. p. 178. ISBN 9784791611874
  11. 1 2 3 4 5 6 7 “Salvia splendens”. North Carolina Extension Gardener Plant Toolbox. 2026年8月10日閲覧。
  12. ↑ 「サルビア」『日本大百科全書(ニッポニカ)』。コトバンクより2026年8月10日閲覧。
  13. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 西村悟郎 (2008). “恵泉花の文化史(5):サルビア”. 恵泉女学園大学園芸文化研究所報告:園芸文化 (恵泉女学園大学園芸文化研究所) 5: 98-109.
  14. ↑ 「サルビア」『百科事典マイペディア』。コトバンクより2026年8月10日閲覧。
  15. ↑ 「サルビア」『改訂新版 世界大百科事典』。コトバンクより2026年8月10日閲覧。
  16. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 サルビア - みんなの趣味の園芸
  17. 1 2 3 4 5 6 “サルビアの育て方・栽培方法”. サカタのタネ 園芸通信. サカタのタネ. 2026年8月10日閲覧。
  18. ↑ “サルビアの花”. 大潟村. 2026年8月10日閲覧。
  19. ↑ “市の木・市の花”. 桐生市. 2026年8月10日閲覧。
  20. ↑ “市の木・花”. 2026年8月10日閲覧。
  21. ↑ “太田市のあらまし”. 太田市. 2026年8月10日閲覧。
  22. ↑ “藤岡市の概要”. 藤岡市. 2026年8月10日閲覧。
  23. ↑ “大泉町の木・町の花”. 大泉町. 2026年8月10日閲覧。
  24. ↑ “上里町の概要”. 上里町. 2026年8月10日閲覧。
  25. ↑ “市の花・市の木”. 富里市. 2026年8月10日閲覧。
  26. ↑ “市の木・市の花・市の鳥”. 町田市. 2026年8月10日閲覧。
  27. ↑ “鶴見区のあらまし”. 横浜市鶴見区. 2026年8月10日閲覧。
  28. ↑ “市の鳥・市の木・市の花”. 燕市. 2026年8月10日閲覧。
  29. ↑ “金沢市の「市の木」、「市の花」は何ですか”. 金沢市. 2026年8月10日閲覧。
  30. ↑ “市のシンボル(市章、市の花・木)”. 岐阜市. 2026年8月10日閲覧。
  31. ↑ “町の概要”. 坂祝町. 2026年8月10日閲覧。
  32. ↑ “'25 安城の統計 62”. 安城市. 2026年8月10日閲覧。
  33. ↑ “市章、市の木、花、鳥”. 四日市市. 2026年8月10日閲覧。
  34. ↑ “区の花・区の木”. 神戸市長田区. 2026年8月10日閲覧。
  35. ↑ “三木市の概要”. 三木市. 2026年8月10日閲覧。
  36. ↑ “市の紹介”. 加西市. 2026年8月10日閲覧。
  37. ↑ “福崎町の紹介”. 福崎町. 2026年8月10日閲覧。
  38. ↑ “市章・市花・市木”. 宇部市. 2026年8月10日閲覧。
  39. ↑ “市の木・花木・花”. 防府市. 2026年8月10日閲覧。
  40. ↑ “宝の島 笠戸島”. 下松市. 2026年8月10日閲覧。
  41. ↑ “市章、市旗、市の木、市の花、市民憲章”. 柳井市. 2026年8月10日閲覧。
  42. ↑ “市の木・市の花”. 周南市. 2026年8月10日閲覧。
  43. ↑ “町のシンボル(町章・町の花・町の木)”. 東みよし町. 2026年8月10日閲覧。
  44. ↑ “市の木、市の花”. 筑紫野市. 2026年8月10日閲覧。
  45. ↑ “上峰町の紹介”. 上峰町. 2026年8月10日閲覧。
  46. ↑ “市の概要”. 臼杵市. 2026年8月10日閲覧。
  47. ↑ “町の木 町の花木 町の花 町の鳥”. 門川町. 2026年8月10日閲覧。

外部リンク

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