キマユペンギン

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キマユペンギン
キマユペンギン
キマユペンギン Eudyptes pachyrhynchus
保全状況評価[a 1]
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 VU.svg
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: ペンギン目 Sphenisciformes
: ペンギン科 Spheniscidae
: マカロニペンギン属 Eudyptes
: キマユペンギン E. pachyrhynchus
学名
Eudyptes pachyrhynchus
Gray, 1845
和名
キマユペンギン
フィヨルドランドペンギン[1][2]
英名
Fiordland penguin[3]
Fiordland crested penguin[3]
Fiordland Penguin distribution map.png
キマユペンギンの分布図(赤色が分布域)

キマユペンギンEudyptes pachyrhynchus)は、ペンギン目ペンギン科マカロニペンギン属に分類される鳥類。別名フィヨルドランドペンギンヴィクトリアペンギンニュージーランド固有の種[2]マオリ語ではタワキ(Tawaki)で、マオリ族の神様に由来する[2][4]学名の種小名pachyrhynchusは、「太い」を意味するπαχυ-(pachy-)と「くちばし」を意味するρύγχος(rhynchos)に由来する[5]

分布[編集]

ニュージーランド(南島およびスチュアート島周辺)[6]。ニュージーランド南島にあるフィヨルドランドは和名フィヨルドランドペンギンの由来となっている[1]

過去にニュージーランド北島の南岸にも繁殖していたことが化石から示唆されている[7]

形態[編集]

全長40-60センチメートル[6][a 1]。頭部から上面の羽衣は黒く、下面の羽衣は白い[6]。嘴基部から眼上部、後頭にかけて太く黄色い筋模様が入り、後部では垂れ下がる[6]。頬には白い筋模様が入る[6]

虹彩は褐色[6]。嘴は太くて短い[6]。後肢はピンク色[6]

スネアーズペンギンとよく似ているが、本種は嘴基部の周囲の皮膚が黒色[3]

生態[編集]

人間に対して警戒心が強い[1][3]

食性など[編集]

イカオキアミ、魚などを食べる[1][2]

2014年以降に行われた調査によると、採餌をする範囲は繁殖場所により大きく異なる。ヒナを育成しているとき、ウェスト・コースト地方の本種は20 - 40km沖で採餌を行うが、ミルフォード・サウンドの本種は巣の付近のフィヨルドで採餌を行う[7]

繁殖[編集]

繁殖形態は卵生。単独で営巣するか小規模な集団繁殖地(コロニー)を形成する[6]。ペアは長期間にわたって解消されない[6]。海岸の温帯雨林で岩の隙間や洞窟、木の根元などに2個の卵を産む[6]

繁殖期は7 - 12月[2][3]。オスは6月、メスはその後にコロニーに帰ってくる[2]。7 - 8月に約3 - 6日をおいて2つの卵を産む[2][3]。最初の卵より2番目の卵のほうが大きい[2]。抱卵は30 - 36日[2]。最初の頃は巣に留まり5 - 10日間オスとメスが分担して抱卵する[2]。その後、10 - 14日間ずつ交代で抱卵または採餌のためにコロニーを離れ海へ出かける[2][3]

9月以降に孵化し、たいていは2番目に生まれたヒナが育てられる[2]。一方、ミルフォード・サウンドでの調査では、2羽とも育てている事例が複数確認されている[7]

オスは最初の2 - 3週間、ヒナを保護し、メスは採餌に海へ出かけヒナに給餌を行う[2]。その後、近くにヒナがいれば、クレイシュが形成される[2]巣立ちは11中旬 - 12月上旬で、孵化して約75日後にあたる[2][3]

換羽[編集]

換羽は約3週間続き、その間に絶食を余儀なくされるため体重が半分まで減る[1][3][8]

人間との関係[編集]

生息地の破壊、人為的に移入されたイヌやネズミによる捕食などにより生息数は減少している[6]。特にオコジョが脅威となっている[3]

海洋では、漁業と獲物が競合している可能性がある[a 1]。また、漁網、特に建網やトロール網での混獲が脅威となっており、1年あたりの混獲率(2011年)は38 - 176羽と推定されている[3]。漁業のほかに、ニュージーランド南島ウェスト・コースト地方の掘削事業により原油が流出し海洋が汚染された場合の被害が懸念されている[9][a 1]

営巣中は人間の介入の影響を受けやすく、ニュージーランド自然保護局英語版はサウス・ウェストランドやフィヨルドランドでの観光業の増加を懸念している[10]

1984年における生息数は5,000-10,000ペア、1991-1993年における生息数は1,000ペア以下と推定されている[6]。IUCN(国際自然保護連合)の2017年度版レッドリストでの成鳥の個体数は約5,500 - 7,000羽と推定されている[a 1]

保護[編集]

ニュージーランド[編集]

NZTCS英語版により本種はThreatenedのNationally Vulnerableに分類されている[10][11]。NZTCSは、国内で絶滅する危険性にしたがって種の保全状況を評価するシステムである。ThreatenedはExtinct(絶滅)の1つ手前のステータスでNationally Vulnerableは中期的に絶滅する危険に直面している種に指定される[11]

自然保護局は、2012年から2017年にかけてフィヨルドランドペンギン回復戦略(英:Fiordland penguin Recovery Strategy)を実施しており、各地の個体数の監視、島のバイオセキュリティ英語版の導入、外来種のコントロールによる効果の調査が含まれている[a 1]

2016年、政府は2050年までに外来種のいない国にするという目標を発表し、本種以外にとっても脅威となっている外来種の根絶に取り組んでいる[12]

その他[編集]

アメリカでは2010年絶滅の危機に瀕する種の保存に関する法律(英:Endangered Species Act of 1973、略称:ESA)により保護の対象になった[13]

関連書籍[編集]

  • Tui de Roy、Mark Jones、Julie Cornthwaite『新しい、美しいペンギン図鑑』、上田一生監修、裏地良子、熊丸三枝子、秋山絵里菜訳、エクスナレッジ、2014年、ISBN 9784767818801
  • David Salomon『ペンギン・ペディア』、出原速夫・菱沼裕子訳、河出書房新社、2013年、ISBN 9784309252841

脚注[編集]

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  1. ^ a b c d e David Salomon「フィヨルドランドペンギン/Fiordland Penguin」出原速夫・菱沼裕子訳『ペンギン・ペディア』、河出書房新社、2013年、191 - 201頁。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o Tui de Roy、Mark Jones、Julie Cornthwaite 「フィヨルドランドペンギン Eudyptes pachyrhynchus」上田一生監修、裏地良子、熊丸三枝子、秋山絵里菜訳『新しい、美しいペンギン図鑑』、エクスナレッジ、2014年、232 - 233頁。
  3. ^ a b c d e f g h i j k Ellenberg, U. 2013 [updated 2017]. Fiordland crested penguin. In Miskelly, C.M. (ed.)New Zealand Birds Online.2018年4月21日閲覧(英語)
  4. ^ Alex Dale (2017年6月1日). “もっとも絶滅リスクの高いペンギンはどの種でしょうか?”. バードライフ・インターナショナル東京. 2018年4月21日閲覧。
  5. ^ Liddell, Henry George; Robert Scott (1980). A Greek-English Lexicon(Abridged Edition). United Kingdom: Oxford University Press. ISBN 0-19-910207-4. (英語)
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ8 太平洋、インド洋』、講談社、2001年、59、173頁。
  7. ^ a b c Basic Facts About Tawaki (Fiordland penguin) (PDF)”. the Tawaki Project. 2018年4月21日閲覧。(英語)
  8. ^ Tui de Roy、Mark Jones、Julie Cornthwaite 「驚くべきペンギンの事実」上田一生監修、裏地良子、熊丸三枝子、秋山絵里菜訳『新しい、美しいペンギン図鑑』、エクスナレッジ、2014年、200 - 203頁。
  9. ^ The Penguin”. the Tawaki Project. 2018年4月21日閲覧。(英語)
  10. ^ a b Fiordland crested penguin/tawaki”. Department of Conservation. 2018年4月21日閲覧。(英語)
  11. ^ a b Conservation status of plants and animals”. Department of Conservation. 2018年4月21日閲覧。(英語)
  12. ^ Mike Britton (2016年9月5日). “ニュージーランドが2050年には外来種のいない国に?”. バードライフ・インターナショナル東京. 2018年4月21日閲覧。
  13. ^ “Determination of Threatened Status for Five Penguin Species;The yellow-eyed penguin (Megadyptes antipodes), white-flippered penguin (Eudyptula minor albosignata), Fiordland crested penguin (Eudyptes pachyrhynchus), Humboldt penguin (Spheniscus humboldti), and erect-crested penguin (Eudyptes sclateri)” (pdf). Federal Register 75 (148): 45497–45527. (2010-08-03). https://www.gpo.gov/fdsys/pkg/FR-2010-08-03/pdf/2010-18884.pdf#page=1 2018年4月21日閲覧。. (英語)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

データベース・オンライン百科事典
画像・動画
その他
  1. ^ a b c d e f BirdLife International (2016年). "Eudyptes pachyrhynchus ". IUCN Red List of Threatened Species. Version 2017.3. International Union for Conservation of Nature. 2018年4月21日閲覧.  (英語)