ガヘリス

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ガヘリス卿(Sir Gaheris)はアーサー王物語に登場する円卓の騎士の一人。オークニーのロット王の息子であり、アーサー王の甥にしてガウェイン卿の弟でもある。他の兄弟にアグラヴェイン卿、ガレス卿、父親違いの弟にモルドレッド卿がいる。

概要[編集]

騎士になる前はガウェイン卿の従者を勤めていた。その後も、大抵はガウェイン卿とともに登場することが多い。それなりに武勇に秀でていたようであるが、特にガヘリス卿が主人公として活躍する話はない。もっとも、ガウェイン卿の地位がかなり低いマロリー版ではガウェイン卿を貶める意図でか、トリスタン卿が「ガヘリス卿の方がガウェイン卿より優れた騎士だと感じた」(『アーサー王の死』9巻43章)[1]との発言をしている。また勇猛果敢の美丈夫であったが、特に自分から意思を表明するようなことはなく寡黙な性格だったとされている。

性格的には、かなり影の薄い人物だった。まず、母モルゴスと父ロト王の仇(ペリノア王)の息子ラモラック卿が恋人同士だったことに激怒し、母を殺害し(『アーサー王の死』第10巻第24章)、ガウェインが改心するまでそのためにガウェイン、アグラヴェイン、モードレッドに殺されそうになった。また、ガウェイン卿、アグラヴェイン卿、モードレッド卿とともにラモラック卿を討ち、惨殺した。

ただし、物語後半になってガウェイン卿の一族とランスロット卿の一族が対立するようになると、弟のガレス卿とともにガヘリス卿はランスロット派に属するようになる。もともと、ガヘリス卿はタークィン卿に監禁されているところをランスロット卿に救われているという過去があるので若干はランスロットに恩義があったのである。そこで、アグラヴェイン卿からランスロットとグィネヴィア不倫を暴き、ランスロット卿を失脚させようと提案された際、これをしっかりと拒絶している。

しかし、グィネヴィアを救出に来たランスロット卿によって故意ではないにしろ、殺害されてしまった(『アーサー王の死』20巻8章)。後々、ガレス卿の死についてはガウェイン卿、ランスロット卿ともに悲しみ、悲嘆にくれるのであるが、ランスロ=聖杯サイクルでは同時に死亡したガヘリス卿の名前はあまり述べられることがなかった。一方でアーサー王の死では、ガウェイン卿はガヘリス卿の死を非常に悼んでいる。

いくつかの著作で、彼はキャメロットの執行者として示され、270人の裏切り者が王冠に落ちた原因であり、彼自身の王(当時の資本刑)の前に味が疑われたと言われています アーサー王が彼に引き起こされる可能性のある損害を回避する方法として、サー・ガヘリスにロンゴミニアドを届けるというイベントが再確認された著作があります。 また彼の冒険では、彼は神々を魔法の生き物として殺すことができた聖なるパラディオの武器の持ち主を自分自身に見せます。

脚注[編集]

  1. ^ ちくま書房からでている井村君江訳『アーサー王物語』では9巻42章。