カセンソウ

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カセンソウ
福島県会津地方 2007年7月
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク類 Asterids
: キク目 Asterales
: キク科 Asteraceae
亜科 : キク亜科 Asteroideae
: オグルマ属 Inula
: Inula salicina
変種 : カセンソウ I. s. var. asiatica
学名
Inula salicina L. var. asiatica Kitam.[1]
シノニム
  • Inula salicina auct. non L.[2]
  • Inula salicina L. subsp. asiatica (Kitam.) Kitag.[3]
  • Inula kitamurana Tatew.[4]
和名
カセンソウ(歌仙草)[5][6][7]

カセンソウ(歌仙草、学名:Inula salicina var. asiatica )は、キク科オグルマ属多年草[5][6][7][8]

特徴[編集]

は直立して分枝し、高さ60-80cmになり、細く硬く、やや密に毛が生える。地下茎を横に長く伸ばしてふえる。茎につくはやや密に互生し、中部の葉は長楕円状披針形で、長さ5-8cm、幅1-2cmになり、先端は鋭く基部は茎を抱き、縁にはまばらな鋸歯がある。葉質は洋紙質で薄いが硬く、葉の表面はざらつき、裏面は葉脈が隆起して目立つ[5][6][7][8]

花期は7-9月。茎の上部が分枝し、その先に頭状花序をふつう1個ずつつけ、上向きに開く。頭花は黄色で径3.5-4cm、縁につく雌性の舌状花は長さ約9mm、幅約2mmになり、先端に3歯があり、中央部には両性の筒状花が多数つき、筒部の先端は5裂する。舌状花、筒状花ともに結実する。総苞は長さ約1cm、径約2cmの半球形で、総苞片は4列に並び、すべてやや同じ長さ、外片は広披針形で先がとがり、中部以上の片は緑色で密に短毛が生え、その外側に苞葉がある。果実痩果で、長さ1.5mmの円柱形になり10肋があり、毛は無い。冠毛は長さ8mmになり、毛は多数あってざらつく[5][6][7][8]

開花時には、鱗片状の根出葉と茎の下部の葉は枯れて無くなっている。これは同属オグルマと同じ特性であり、同属のミズギクと異なる特性である[6][7][8]。また、同属の2種と比べて、舌状花の並びがやや乱れるのが特徴である[9]

分布と生育環境[編集]

日本では、北海道、本州、四国、九州に分布し、日当たりのよい山野の草原、湿った草原、水辺の草むら、湿地などに生育する[5][6][7][8][9]同属オグルマより乾いた場所に生える[5]。世界では、朝鮮半島中国大陸東北部、シベリアに分布する[7][8]

名前の由来[編集]

和名カセンソウは「歌仙草」であるが、牧野富太郎は「名の由来は不明」としている。また、種小名 salicina は「ヤナギのような」、変種名 asiatica は「アジアの」の意味[7]

分類[編集]

分類上の基本変種である、茎の毛が少ない var. salicina は、西シベリアからヨーロッパにかけて分布する[7]

また、カセンソウ var. asiatica を、基本変種 var. salicina と分けないで、Inula salicinaシノニムとする考えもある[10]

脚注[編集]

  1. ^ カセンソウ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ カセンソウ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ カセンソウ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  4. ^ カセンソウ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  5. ^ a b c d e f 『山溪カラー名鑑 日本の野草』p.20
  6. ^ a b c d e f 『山溪ハンディ図鑑1 野に咲く花』p.52
  7. ^ a b c d e f g h i 『新牧野日本植物圖鑑』p.758, p.1318, p.1345
  8. ^ a b c d e f 『日本の野生植物草本III合弁花類』pp.203-204
  9. ^ a b 『山溪名前図鑑 野草の名前 夏』p.87
  10. ^ Inula salicina, The Plant List.

参考文献[編集]