オンライン小説

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オンライン小説(オンラインしょうせつ)とは、インターネットパソコン通信にて公開されている小説のこと。オンラインノベルオンノベネット小説ネットノベルウェブノベルウェブ小説とも呼ばれる。日本語の場合もほとんどが横書きとなっている。

オリジナル小説、二次創作がある。インディーズ作家の作品が大半を占め、通常は無料で閲覧することができる。2016年時点で、オンライン小説の書籍化は、ビジネスの上では日本の小説市場の中核になっている[1]

歴史[編集]

日本においては、1980年代半ばから草創期のパソコン通信アマチュア作家の作品が公開されるようになった。日本初のオンラインの連載小説と言われる作品は、神奈川県の小田原マイコンクラブが運営した草の根BBS「マイコンセンター」に連載された原田えりかの『シシャノミルユメ』と言われる[2]。草の根BBSや大手の商用パソコン通信サービスでは小説用のコーナーが設けられることが多く、アマチュア作家や作家志望者の活躍の場となった。

NECが運営する大手のパソコン通信サービスのPC-VANでは1986年に「アマチュアライターズクラブ」という同好の士が集まるSIG(Special Interest Group)と呼ばれるコーナーが設置。リレー小説やコンテスト、オンラインマガジンの試みが行なわれた。

1993年から1996年にかけては、朝日新聞社系のパソコン通信サービスのASAHIパソコンネット(現・ASAHIネット)が「パスカル短編文学新人賞」を主催。ASAHIネットは、筒井康隆俵万智らの有名作家の参加が売り物で、文芸に強いと言われた。「パスカル短編文学新人賞」は、パソコン通信で応募して、応募作はASAHIネットで全て無料で読める体裁だった。この賞からは後に芥川賞を受賞する川上弘美が生まれている。

1994年頃のパソコン通信ニフティサーブ内の小説フォーラム・SFフォーラム(電子掲示板)がオンライン小説(オンライン文芸)の主軸となっていた。

1990年代後半以降、パソコン通信が廃れてからは、アマチュア作家の活動の場は小説投稿サイトに移行した。また、自分のサイトを持っている場合には、小説検索サイトを利用することもある。しかし2007年時点では、かつてのパソコン通信のような中心となるようなサイトがないため、オンライン小説を検索するのには一苦労する場合があった。著作権の問題のある二次創作夢小説は、個人サイトは検索除けをしてインターネットの検索に表示されないようにしていたが、検索除け機能のないPixivが利用されるようになり、オープンになっていった。

自分のサイトで小説を連載するプロ作家もおり、純文学作家の大西巨人は長編小説『深淵』を連載し、のちに書籍化された。ファンタジー作家の寮美千子は神話的な作品『夢見る水の王国』をウェブ上に発表し、インタラクティブな形で読者と共に作品を作ろうとした。しかし読者はこのような試みになれていなかったため、反応が少なくうまくいかなかったという[3]

Twitterで小説を連載する試みもあり、アメリカのブラッドレー・ボンドとフィリップ・N・モーゼズがTwitterでサイバーパンク・ニンジャ活劇小説『ニンジャスレイヤー』を発表。日本語訳も2010年からTwitterで連載された[4][5]

小説家になろう(2004年に個人サイトとして開設、2010年に法人化)、E★エブリスタ(2010年開設、DeNAとNTTドコモが出資)などの小説プラットフォーム(小説投稿サイト)が登場して急成長した。これらに投稿された人気作の書籍化が2010年以降目立つようになり、アルファポリスKADOKAWAなどの出版社が参入。縮小する日本の出版市場の中で唯一の成長分野となり、書店での棚の専有面積を増やしている。サブカルチャージャーナリストの飯田一史の取材では、TSUTAYA系列の書店では、ウェブ小説の書籍化は文芸の売り上げの半分を占めている。従来のライトノベル同様、イラストを表紙にした作品が多く、テレビアニメ化、アニメ映画化、ドラマ化された作品もある。飯田一史は、ウェブ小説プラットフォームのムーブメントと又吉直樹の『火花』のヒットは表裏一体であり、出版社にもはや新人を発掘・育成する能力・体力がなく、紙の小説雑誌の影響力が低下していることが背景にあると指摘している。[1]

2016年時点では、小説家になろうの読者は20代から40代で、30代が多く、従来のライトノベルの読者よりも年齢層が高い。人気のジャンルはプラットフォームによって異なり、流行の移り変わりも早い。小説家になろうの書籍化作品は、2016年時点ではRPG風・中世異世界風のファンタジー世界に転生・召喚される作品や、MMORPG(オンラインゲーム)の世界に入ってしまう作品が多い。主人公は特別な能力を持っていたり、友情や恋愛に恵まれ、読者の「やり直し」願望を反映していると言われる。そのため、従来のファンタジーのように異世界で成長し元の世界に戻る「行きて帰りし物語」にはならず、主人公が元の世界に帰りたがることは少なく、帰る可能性もないことが多い。E★エブリスタではサバイバルホラーものや女性向け恋愛小説が多く、ケータイ小説の流れをくむプラットフォーム「野いちご」(スターツ出版)では、女子小中学生向けの恋愛ものやホラーが人気である。[1]

近似形態[編集]

インターネットにて有料公開されている小説は「オンライン出版」と呼ばれ、オンライン小説とは区別される。また、携帯電話から執筆・閲覧される「ケータイ小説」と呼ばれる形態もみられた。

参考文献[編集]

注釈[編集]

  1. ^ a b c 飯田一史 著 『ウェブ小説の衝撃─ネット発ヒットコンテンツのしくみ』 筑摩書房、2016年ISBN 978-4480864406
  2. ^ 『パソコン通信開拓者伝説―日本のネットワークを作った男たち』49頁。
  3. ^ 「寮美千子インタビュー 世界の本源に降りていく文学」『幻想文学58 特集 女性ファンタジスト2000』、幻想文学企画室 編集、アトリエOCTA、2000年
  4. ^ Twitter発の話題の米国サイバーパンク「ニンジャスレイヤー」 TRIGGER制作でアニメ化決定 アニメ!アニメ! 2014.4.11
  5. ^ Twitter 上 で電子書籍が読めるように?--ではあの「ニンジャスレイヤー」はどうなる インターネットコム 2014/07/02

関連項目[編集]