エクストラ EA-300

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エクストラ EA-300

エクストラ EA-300

エクストラ EA-300

エクストラ EA-300(Extra EA-300)もしくはエクストラ300は、ドイツエクストラが制作する曲技飛行飛行機。信頼性と高性能を両立し、現代の曲技飛行機を代表する機種のひとつとなっている。

概要[編集]

EA-300L

曲技飛行士ウォルター・エクストラの手によって1987年に設計され、翌年に初飛行した。機体はカーボンファイバーと鋼管フレーム製で、300馬力のレシプロエンジンを搭載し、荷重制限は+/-10G。単座型と複座型が存在し、レッドブル・エアレース・ワールドシリーズ用のモデルも存在する。

民間では多くの曲技飛行士が世界選手権で使用し、2013年から2017年まで連続優勝を果たしている。また曲技飛行の訓練用としても利用されている。軍用としてはヨルダン空軍ロイヤル・ヨルダニアン・ファルコンズチリ空軍アルコネス英語版などで曲技飛行隊に使用されている。

派生型[編集]

300
オリジナルの複座型[1]
EA-300S
300S
単座型。翼幅は 50 cm (20 in) 縮小され、より大きなエルロンが取り付けられている[2][1]
330SX
より広いコードラダー、より大きなエレベーター、 330 hp (250 kW) を生産するより強力なLycoming AEIO-580を備えた300Sのカスタム型。330SXの「より大きな尾」で販売された300Sもある。330SXは後に330SCに置き換えられた。
300SP
300Sのパフォーマンスバージョンである。重量が減り、330SXの尾が取り付けられた[3]。廃止され、330SCに置き換えられた。
300SHP
HP=High performance(高性能)を表す。Lycoming AEIO-580エンジンを搭載した300SPの未認証バージョンである。
300SR
レッドブル・エアレース・ワールドシリーズ用に特別に設計された高揚力翼を使用した改良型航空機である。2007年7月にデビューした。レッドブルエアレースでは2009年レッドブル・エアレース・ワールドシリーズ以降使用されていない。
EA-300L
EA-300Lの後部座席
300L
"L"は2人乗りバージョンを表す。AEIO-540で動力を与えられる2座席の航空機で、低い翼と短い胴体を備えている[1]。曲技飛行を始める際に教官が同乗する練習機として使用されており、最も多く生産されている。翼は胴体の底に取り付けられ、スパンは26フィートから24フィートに減少している。改良された補助翼は、300Lのロールレートを400度/秒に上げる。すべての300Lは、連邦航空局および欧州連合航空局の規制に基づいて完全に認定されている。
300LP
「P」はパフォーマンスを表す。300Lの軽量版で、競技会やエアショーのパフォーマンスを改善するために再設計されている。
EA-300SC(室屋義秀の機体)
330SC
「Lycoming AEIO-580」を搭載した単座型。300Sをさらに競技向けに特化し、ロール率の向上とロール停止の容易さを備えている。現在の世界選手権では主流となっている。
330LX
「Lycoming AEIO-580」を搭載した複座型。2014年レッドブル・エアレース・ワールドシリーズ以降、2017年までのチャレンジャークラスで使用される機種であり、レギュレーションに対応した電子飛行計器システムを搭載している。なお、チャレンジャークラスは2018年からはジブコ エッジ540 V2に変更となる[4]
330LT
「Lycoming AEIO-580」搭載の複座型。330LXをベースに電子飛行計器システムを搭載、ロールレートを縮小するなど、長距離飛行に適したセッティングとなっている。いる。
330LE
単座型。出力260kWのシーメンス製モーターを搭載した電動飛行機
2017年3月23日、ドイツのDinslaken Schwarze Heide飛行場で、3キロメートルの距離にわたって約340 km/h の最高速度に達し、電動飛行機の速度記録を樹立。また2017年3月24日には、世界で初めてグライダーを牽引した電動飛行機となった[5]

運用[編集]

民間[編集]

The Northern Lights
  • The Blades英語版民間エアロバティックチームは、4機のエクストラ 300LPのチームを使用して、イギリスのエアショーで展示する。また、パイロットのトレーニングと空中訓練のメンバーへの旅客便に使用する[6]
  • Chuck Colemanが所有していた300型は、バート・ルータンスペースシップワンおよびグローバルフライヤー(飛行試験中)のチェイス機英語版(同伴機)であった。
  • Patty Wagstaff英語版は、1980年代半ばから、エクストラ EA-300の 230、260の様々なモデルを、エアロバティック競技やエアショーに使用している[7]
  • カナダらの "Northern Lights Aerobatics"チーム(後の "Northern Lights Combat Air Support"で現在の "Lortie Aviation Inc.")は、1994年から2000年まで、5機のエクストラ EA300を飛ばした[8]
  • フィンランド航空学院英語版は、アップセットリカバリートレーニングのための1機の航空機を運用している。

軍用[編集]

 チリ
  • チリ空軍 - Escuadrilla de Alta Acrobacia(「Halcons」(アルコネス)と呼ばれるチリ空軍曲芸飛行隊)は、2003年から300Lを使用している。
フランスの旗 フランス
ヨルダンの旗 ヨルダン
マレーシアの旗 マレーシア

諸元 (EA-300L)[編集]

出典: Extra Aircraft's EA-300L page

諸元

  • 乗員: 1
  • 定員: 2
  • 全長: 6.95 m (22 ft 9.5 in)
  • 全高: 2.62 m (8 ft 7.25 in)
  • 翼幅: 7.39 m(24 ft 3 in)
  • 翼面積: 10.44 m2 (112.4 ft2
  • 翼型: symmetrical (no camber), zero incidence, zero dihedral/anhedral
  • 空虚重量: 682 kg (approx.) (1,500 lb (approx.))
  • 運用時重量: 952 kg (2095 lb)
  • 有効搭載量: 270 kg (595 lb)
  • 最大離陸重量: 952 kg (2095 lb)
  • 動力: ライカミング AEIO540-L1B5 水平対向6気筒エンジン MT Propeller composite propeller (3- or 4-blade)、224 kW (300 hp) × 1
  • 燃料搭載量: 199.5 l (52.7 U.S. gal)

性能

  • 超過禁止速度: 408 km/h (220 knot, 253 mph)
  • 巡航速度: 317 km/h (170 knot, 196 mph)
  • 失速速度: 102 km/h (55 knot, 63 mph)
  • 航続距離: 944 km with auxiliary fuel (510 海里, 586 statute mi)
  • 実用上昇限度: 4875 m (16,000 ft)
  • 上昇率: 975 m/min (3200 ft/min)
  • 馬力荷重(プロペラ): (5.9 lb/hp (typ. solo configuration))
  • ロールレート : 400 度/秒


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出典[編集]

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  1. ^ a b c Taylor 1999, p. 426.
  2. ^ Lambert 1993, p. 100.
  3. ^ Extra Aircraft (2009年). “EA-300SP”. 2008年7月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年1月3日閲覧。
  4. ^ Edges for Challengers and G-limit changes in 2018” (2017年12月5日). 2017年12月7日閲覧。
  5. ^ World-record electric motor for aircraft - Siemens Global Website - シーメンス
  6. ^ The Blades official website.
  7. ^ Biography – Patty Wagstaff”. pp. 1. 2009年2月28日閲覧。
  8. ^ http://www.sky-flash.com/Display_teams/Northern_Lights/index.html

外部リンク[編集]