イスラエルの大量破壊兵器

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イスラエルは、大量破壊兵器を所持していると国際社会から広く信じられている。また、核拡散防止条約に加盟しておらず[1]、その地位を認められていない核保有国4国のうちの一つである。アメリカ合衆国議会技術評価局(w:Office of Technology Assessment)の報告によると、非公式の生物兵器化学兵器の開発計画が存在するという[2] 。 しかし、イスラエルは、公式には核兵器および他の大量破壊兵器の保有を否定も肯定もしない立場を取っており、中東地域で唯一の核拡散防止条約(NPT)非加盟国である。

核兵器[編集]

アメリカの偵察衛星ヴェラ1979年プリンス・エドワード諸島沖で観測した二重閃光は、南アフリカ共和国とイスラエルが協力して行った核実験ではないかとの意見もある。アメリカによる調査委員会はこの推論を否定している。

現在公式には、イスラエルが保有する核兵器についての統計は存在しないが、60から400個の熱核兵器を所持していると信じられている。その水爆には、テラー・ウラム型のメガトン級の水爆が含まれていると考えられている[3][4][5]。また、核兵器運搬手段としては大陸間弾道ミサイルを所持しているとされる。しかし、核兵器の保有を認めれば敵対している周囲のアラブ国家が核武装をする可能性もあるために、イスラエル政府は核兵器の保有を肯定も否定もしない戦略を取り続けているとされている[6] 。2007年当時の国際原子力機関(IAEA)事務局長であったモハメド・エルバラダイは、イスラエルを核保有国と位置付けていた[7]

2013年9月20日、IAEAの年次総会はアラブ連盟がイスラエルに対し核拡散防止条約(NPT)への加盟などを求めていた決議案を欧米や日本の反対により否決した。イスラエルは事実上の核兵器保有国でありながら中東地域で唯一NPT非加盟国であり、核開発能力への懸念から周辺諸国をまとめるアラブ連盟がIAEAの査察受け入れなどを求めていた。[8]

化学兵器[編集]

イスラエルは、化学兵器禁止条約(Chemical Weapons Convention: CWC)に調印しているが批准(発効)はしていない。イスラエル生物研究機関(Israel Institute for Biological Research IIBR)において、化学兵器の開発研究があったとの疑惑がある[9]。また、1992年のエル・アル航空1862便墜落事故では、サリンの原料となるジメチルメチルホスフィン190リットルが墜落現場から発見された。しかしイスラエルの主張によると、これらの物質は毒物ではなく、防毒フィルターの試験のために使われるものであるという。それに加えて、この物質の輸送は何ら秘密ではなく、国際協定に従って積荷目録に記載されていたと主張している。この積荷は、アメリカ合衆国商務省の許可の下でアメリカ合衆国の化学プラントからIIBRに輸送される途中であった[10]

1993年に、アメリカ合衆国議会の技術評価局が発表した、大量破壊兵器の拡散に関するレポートによると、イスラエルは、非公式に、兵器として使用可能な量の化学兵器を所持しているとされている[2]エネルギー長官 であったビル・リチャードソンが1998年に語ったところによると、「イスラエルが長年、化学兵器と生物兵器の両方を製造しているのは疑いえない。それらの物質を所持しているのも疑いようがない。」[11]

生物兵器[編集]

イスラエル生物兵器禁止条約に調印していない。IIBRで化学兵器に対する解毒剤と、生物兵器に対するワクチンを研究していると考えられている[12]。現在のところ、イスラエルの生物兵器開発計画は知られていないものの、必要があればいつでも生物兵器開発と散布を行なうことができるのではないかという疑いがある[13]

脚注[編集]

  1. ^ Background Information, 2005 Review Conference of the Parties to the Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons”. United Nations. 2006年7月2日閲覧。
  2. ^ a b Proliferation of Weapons of Mass Destruction: Assessing the Risks, アメリカ合衆国議会 Office of Technology Assessment, (August 1993), OTA-ISC-559, http://www.princeton.edu/~ota/disk1/1993/9341/9341.PDF 2008年12月9日閲覧。 
  3. ^ [1]
  4. ^ Brower, Kenneth S., “A Propensity for Conflict: Potential Scenarios and Outcomes of War in the Middle East,” Jane's Intelligence Review, Special Report no. 14, (February 1997), 14-15.
  5. ^ Nuclear Weapons: Who Has What at a Glance”. Arms Control Association. 2007年5月30日閲覧。
  6. ^ Dawoud, Khaled (1999年12月2日). “Redefining the bomb”. Al-Ahram Weekly. http://weekly.ahram.org.eg/1999/458/intervw.htm 2006年7月2日閲覧。 
  7. ^ モハメド・エルバラダイ (2004年7月27日). “Transcript of the Director General's Interview with Al-Ahram News”. 国際原子力機関. 2007年6月3日閲覧。
  8. ^ “イスラエル核決議案を否決 IAEA総会、欧米が反対”. 産経新聞. (2013年9月20日). http://sankei.jp.msn.com/world/news/130920/mds13092022020005-n1.htm 2013年10月15日閲覧。 
  9. ^ Deconstructing the Chem-Bio Threat” (英語). 2009年12月7日閲覧。
  10. ^ “Israel says El Al crash chemical 'non-toxic'”. BBC. (1998年10月2日). http://web.archive.org/web/20030818042548/http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/185199.stm 2006年7月2日閲覧。 
  11. ^ Jeff Stein (1998年12月2日). “Debunking the "ethno-bomb"”. Salon.com. http://www.salon.com/news/1998/12/02news.html 2006年7月11日閲覧。 
  12. ^ Nes Ziyyona”. GlobalSecurity.org (2005年4月28日). 2007年2月11日閲覧。 “Israel is believed to have the capacity to produce chemical warfare agents, and probably has stocks of bombs, rockets, and artillery shells. Public reports that a mustard and nerve gas production facility was established in 1982 in the Dimona restricted area are apparently erroneous. Israel is also probably poised to rapidly produce biological weapons, though there are no public reports of currently active production effort or associated locations.…Israel's primary chemical and biological warfare facility is at Nes Ziyyona [Noss Ziona], near Tel Aviv. The Israeli Institute for Bio-Technology is believed to be the home of both offensive and defensive research.
  13. ^ Normark, Magnus; Anders Lindblad, Anders Norqvist, Björn Sandström, and Louise Waldenström (2005年12月). “Israel and WMD: Incentives and Capabilities (PDF)”. FOI. pp. pg. 38. 2007年2月11日閲覧。 “Israel does not stockpile or produce BW in large-scale today. However, we assess that Israel has a breakout capability for biological weapons and also CW, i.e. the knowledge needed to implement theoretical knowledge into the practical management of production and deployment of CBW. The knowledge base would be the one that was built during the 1950s and 1960s where today’s advanced research can be used to upgrade potential BW and CW agents and their behaviour in the environment. We have not found any conclusive evidence that show that Israel’s offensive programs still remain active today.

関連項目[編集]

外部リンク[編集]