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アントラキノン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
9,10-アントラキノン[1]
物質名
識別情報
3D model (JSmol)
バイルシュタイン 390030
ChEBI
ChEMBL
ChemSpider
ECHA InfoCard 100.001.408 ウィキデータを編集
EC番号
  • 201-549-0
Gmelin参照 102870
KEGG
RTECS number
  • CB4725000
日化辞番号
  • J294A
UNII
国連/北米番号 3143
性質
C14H8O2
モル質量 208.216 g·mol−1
外観 黄色の固体
密度 1.438 g/cm3[1]
相対蒸気密度 7.16
融点 284.8 °C (544.6 °F; 558.0 K)[1]
沸点 377 °C (711 °F; 650 K)[1]
溶けない
危険性
労働安全衛生 (OHS/OSH):
主な危険性
発がん性物質
GHS表示:
経口・吸飲による有害性
Danger
H350
P201, P202, P281, P308+P313, P405, P501
引火点 185 °C (365 °F; 458 K)
関連する物質
関連物質 キノン
アントラセン
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
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アントラキノン (anthraquinone) は芳香族に属する有機化合物で、アントラセンの誘導体である。黄色から薄い灰色、もしくは緑がかった灰色をしており、結晶性の粉末である。IUPAC系統名アントラセン-9,10-ジオン anthracene-9,10-dione だが、別名として9,10-アントラセンジオンアントラジオンアントラセン-9,10-キノンなどがある。

アルコールには不溶であるが、ニトロベンゼンアニリンには可溶である。通常の条件下で、化学的に極めて安定である。

アロエセンナダイオウカスカラといった、ある種の植物に含まれている。また藻類昆虫などにも存在しており、着色の原因となっている物質である。天然のアントラキノン誘導体は下剤として働くものが多いとされている。また、生物に依らない生成方法で産出することもあり、鉱物としてはヘール石 (Hoelite) として登録されているが、産出は珍しい[3]

化学的性質

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いくつかの合成法が知られている。

アントラキノンの古典的な反応としてバリー・スコール合成 (Bally-Scholl synthesis) が知られている[4][5]。これはグリセロールとアントラキノンの反応によりベンズアントロンを生成するというものである[6]。この反応は硫酸の存在下でキノンが還元され(ケトン基の1つがメチレンになる)、次いでグリセロールが付加するというものである。

バリー・スコール合成

工業的な応用

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多くの天然色素はアントラキノン骨格を持っているため、アリザリンなどの色素の原料として用いられている。また製紙業でパルプ製造の蒸解液に添加し、木質パルプ化助剤としても用いられている[7][8]。また、鳥除けに用いられたりもする[9][10]

誘導体である2-エチルアントラキノンは工業的に過酸化水素を製造するために用いられている[11]

アントラキノン法による過酸化水素製造

脚注

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  1. 1 2 3 4 Haynes, William M., ed (2016). CRC Handbook of Chemistry and Physics (97th ed.). CRC Press. p. 3.28. ISBN 9781498754293
  2. International Union of Pure and Applied Chemistry (2014). Nomenclature of Organic Chemistry: IUPAC Recommendations and Preferred Names 2013. The Royal Society of Chemistry. pp. 724. doi:10.1039/9781849733069. ISBN 978-0-85404-182-4
  3. Hoelite mindat.org
  4. Bally, O. (1905). “Ueber eine neue Synthese in der Anthracenreihe und über neue Küpenfarbstoffe”. Ber. 38: 194-196. doi:10.1002/cber.19050380137.
  5. Bally, O.; Scholl, R. (1911). “Einwirkung von Glycerin und Schwefelsäure auf amidierte und auf stickstofffreie Verbindungen der Anthracen-Reihe: Benzanthron und seine Reduktionsprodukte, nebst Bemerkungen über Namenbildung und Ortsbezeichnung hochgegliederter Ringsysteme der Anthracen-Reihe”. Ber. 44: 1656. doi:10.1002/cber.19110440264.
  6. Macleod, L. C.; Allen, C. F. H. (1934). “Benzathrone”. Organic Syntheses (英語). 14: 4.{{cite journal2}}: CS1メンテナンス: 複数の名前/author (カテゴリ); Collective Volume, vol. 2, p. 62
  7. 植物バイオマス化学研究室”. web.tuat.ac.jp. 2025年11月17日閲覧。
  8. Ohi, Hiroshi. “木質パルプ化助剤としてのアントラキノンの機能と可能性”. JAPAN TAPPI JOURNAL 48 (4): 531–544. doi:10.2524/jtappij.48.531. ISSN 0022-815X.
  9. DeLiberto, Shelagh T.; Werner, Scott J. (2024-02-16). Brown, Peter. ed. “Applications of chemical bird repellents for crop and resource protection: a review and synthesis” (英語). Wildlife Research 51 (2). doi:10.1071/WR23062. ISSN 1035-3712.
  10. 食品安全関係情報詳細”. www.fsc.go.jp. 2025年11月17日閲覧。
  11. Campos‐Martin, Jose M.; Blanco‐Brieva, Gema; Fierro, Jose L. G. (2006-10-27). “Hydrogen Peroxide Synthesis: An Outlook beyond the Anthraquinone Process” (英語). Angewandte Chemie International Edition 45 (42): 6962–6984. doi:10.1002/anie.200503779. ISSN 1433-7851.

関連項目

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外部リンク

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