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「アンサイクロペディア」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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(相違点なし)

2013年8月9日 (金) 22:30時点における版

アンサイクロペディア(英語版)
アンサイクロペディアのロゴ画像
アンサイクロペディアのロゴ画像
URL
http://en.uncyclopedia.co/wiki/
使用ウィキ MediaWiki
分野 風刺的な観点
言語 67言語
項目数 30,125(2011年8月14日現在)
ライセンス クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 継承 2.0
利用料 無料
設立日 2005年1月
管理人 55名(2008年1月21日現在)
利用者数 72,858(2008年1月21日現在)
現状 記事増加中
テンプレートを表示
アンサイクロペディア(日本語版)
アンサイクロペディアのロゴ画像
アンサイクロペディアのロゴ画像
URL
http://ja.uncyclopedia.info/wiki/
使用ウィキ MediaWiki
分野 風刺的な観点
言語 複数言語
項目数 17,622(2013年7月15日現在)
ライセンス 表示 - 非営利 - 継承 2.5
利用料 無料
設立日 2005年1月5日
管理人 13名(2011年8月14日現在)
利用者数 13,705(2013年7月15日現在)
現状 記事増加中
テンプレートを表示

アンサイクロペディアUncyclopedia, "the content-free encyclopedia that anyone can edit,"八百科事典)とはウィキペディアパロディサイトである。“Uncyclopedia”という名称は否定を意味する接頭語un-”と百科事典を意味する英語“encyclopedia”を組み合わせたかばん語であり、あえて直訳すれば「非百科事典」の意味になる。略称は「アンサイ」「アンサイクロ」、頭文字をとって「UCP」とも呼ばれる。

概要

このサイトはジョナサン・ホアンと匿名の協力者らにより2005年1月に開始された。アンサイクロペディアの日本語版である「フリー誤報百科事典『バ科事典』」は2005年3月頃に開始された。なおタイトルの『バ科』は「馬鹿」に掛けたものであるが、2006年8月には「嘘八百」からとった『八百科事典』へ改称している。

アンサイクロペディアの非公式な目的はウィキ形式によるSPOVSatirical Point Of View風刺的な観点)を提供することにある。しかしながらこの目的はしばしば見失われ、あらゆるトピックにおいて必ずしも風刺的ではないユーモラスな記事が大量に作成されている。とはいえ、なんらかでのユーモアの存在は絶対条件となっており、記事が正確でもユーモアの存在がなければ、その記事は削除対象となる。また短いスタブ記事などは作ってはならないとされている。未完成な記事を書いておいて、誰かが修正してくれるのを待つ、といった方針はアンサイクロペディアにはない。新規記事投稿の段階で、ある程度完成された内容であることが望まれる。また想定できる限りのあらゆる種類のユーモアがアンサイクロペディアには収められており、同様にルールに縛られない反応が推奨されている。

ウィキペディアにおいてはその項目に対する事実・真実があることから明らかな誤り、事実誤認などは次の投稿者により補正・修正が行われるが、アンサイクロペディアはその投稿内容がパロディ・皮肉などであるため、良くも悪くも投稿者・読み手の主観によって成り立っており、善意のユーモア・悪意の投稿であるかの区別が読み手のスキルを問われるサイトである[1]

ヴァンダリズムすらも肯定的に捉えるオープンな性質にもかかわらず、アンサイクロペディアもまた他のウィキと同様に荒らし行為に悩まされている。例を挙げればページの白紙化、スパム広告の挿入、陰惨かつ無思慮な現実の情報の記入、反ユダヤ主義覇権主義人種差別同性愛者差別などの政治思想の宣伝活動などがある。日本語版アンサイクロペディアでも公式方針として極端な差別的投稿等は即時削除としている[2]

ただし、実際には差別的な内容の記事も多く含まれ、特に特定の著名人のページなどには、皮肉の度を越えた陰険な批判文なども多く存在するという認識も存在する。その性質上、そういった陰湿な記述を完全に淘汰することは難しいと言われるが、同時にアンサイクロペディアの編集方針そのものに疑問を投げかける声も多い。

アンサイクロペディアの編集方針は非常に寛大であるが、管理者たちはアンサイクロペディアの主旨に反した投稿の削除と、荒らしや破壊的なユーザーの追放を試み続けていることが知られている[3]

なお、運営方針やライセンスの違いから基本的にはウィキペディアからの転記は即時削除の対象となる。またノートでの合意形成が得られないまま「誹謗中傷が多い」との理由での独断の記事の削除は荒らし行為となり、場合によっては投稿ブロックを受けることがある。

経緯

韓国語版ロゴ

アンサイクロペディアはウィキペディア内の「削除された悪ふざけとナンセンス」の保管所として、2005年1月にウィキペディアの一部として開始された(アンサイクロペディア内にはこれのパロディである「削除された事実と退屈な文章」が存在する)。しかしながらこの保管所はウィキペディア上でまったく宣伝されず、分類されたトピックによる風刺的な文章の投稿場所として成長した。いうなればウィキペディア版「悪魔の辞典」という性質を有している。

アンサイクロペディアは最初に置かれたホストサーバ以上に急速に巨大化し、2005年5月26日にアンサイクロペディアが(ウィキシティーズ(現:ウィキア)としてではないが)ウィキアのサーバに置かれると発表された[4]。その結果、アンサイクロペディアのライセンスとドメイン名はそのまま残された。

日本語版アンサイクロペディアの記事はクリエイティブ・コモンズの「表示 - 非営利 - 継承 2.5」のライセンス下に置かれている(フランス語版など一部言語版ではGFDLのライセンス下に置かれている)。他のWikicityのサイトと同様に、すべての記事データがオンラインで利用可能である。2007年12月の時点では英語版アンサイクロペディアには23000項目の記事が投稿されており、Wikiaのサーバに置かれた6番目に大きいwikiとなっている[5]。また月間5回以上投稿した利用者の数は、2005年3月以降常に1位となっている[6]。ロゴは「ソフィア」と名づけられた、ジグソーパズル模様と記号が書き込まれたポテトであり、ウィキペディアのロゴのパロディとなっている。ただし、韓国語版は釣りをする魚をロゴとして使用している。

データベースダウンロード

本家Wikipediaおよび姉妹プロジェクト同様、アンサイクロメディア財団からアンサイクロペディアのデータベースをダウンロードすることができる[7]。アンブックスやアンチューンズなどのプロジェクトはアンサイクロペディア内のサブプロジェクトとして含まれているため、各プロジェクトの記事も同時にダウンロードすることができる。

記事

以下の例で特に注記のないものは英語版と日本語版に共通する内容である。

アンサイクロペディアの記事はパロディを目的として現実に緩やかに基づいているが、多くの場合はフィクションである[8]。中には実際にあるがウィキペディアには書くことができない記事もある。とは言えパロディであるのは確かである。またアンサイクロペディアの趣旨に合致する、現実の世界での出来事をからかった風刺的な記事も多い。たとえば多くの記事で、マイクロソフトの役員スティーブ・バルマーがその記事の主題を抹殺すると誓ったと引用されているが、これはバルマーによるGoogle抹殺宣言のパロディである。同種のジョークの中には「ジョージ・ブッシュが興味を持たない物」がある。これはアメリカのヒップ・ホップ・ラッパー、カニエ・ウェストによる「ブッシュがいかに黒人に興味を持っていないか」という発言のパロディである。またレバノン沖地中海に存在するとしてウィキペディアに作成され、虚偽であるとして削除されるとウィキホリックたちによって直ちに再生され、管理者陣との間での編集合戦に発展した「ポルシェジア島」(Porchesia)に関する騒動の顛末も「ポルシェジアの虐殺」(The Porchesian Holocaust)として存在する。

もともとあるジョーク、の類をシリーズとして拡大化したものもある。たとえば「君は牛を二頭持っている。」や「DHMO」、「風が吹けば桶屋が儲かる」など。

特定の事物に対して固執する傾向も強い。代表的な例がオスカー・ワイルド[1]の偶像視であり、彼からの引用のパロディは頻繁に繰り返されているジョークであるほか、英語版には「オスカー・ワイルドの架空箴言集」、さらには「ワイルド・プロジェクト」という独立のプロジェクトが存在する(日本語版でもカテゴリリストのひとつに「オスカー・ワイルドイズム」が設けられている)。あるいは違法ドラッグの代替手段である「Kitten Huffing仔猫吸引)」は何度も繰り返されているジョークである。加えて日本語版においては「ひよこ陛下」というオリジナルキャラクター(正体はセガトイズが販売した夢ひよこという玩具である)を絶対視している。

さらに自己言及的なジョークも豊富である。例えば、英語版では「正しいWiki文法」の記事は文法ミスだらけであり、「ニヒリズム」の記事は空白になっており[9]、「落書き」の記事はそのページ自体が落書きだらけである。「モールス信号」の記事はモールス符号で記述されているほか、「再帰」の記事は自分自身へのリダイレクトとなっており、「たらいまわし」の記事では閲覧者はたらいまわしにされ、「冗語法」の記事は非常に冗漫である。日本語版の記事でも「正しいWiki文法」「モールス信号」「再帰」「冗語法」などが英語版から持ち込まれている他、「ニヒリズム」「落書き」などは英語版よりも徹底しており、「省略」は内容の大半が省略され、「無重力」は四方八方に文字が散乱し、「大笑い」は笑い声だけで文章が構成されており、「読みにくい文章」の記事ではありとあらゆる読みにくい日本語文章で説明が書かれている。ただし、現在はこれらの記事の増加のし過ぎにより、このようなネタの投稿を好まない雰囲気もある。

アンサイクロペディア内には姉妹サイトとしてウィクショナリーのパロディである「アンディクショナリー」やウィキニュースのパロディである「アンニュース」(日本語版では「バ科ニュース」)[10]ウィキブックスのパロディである「アンブックス」が存在する。その他にも英語版ではウィキクォートウィキバーシティのパロディも作られている。ただし、本家ウィキペディアと違ってプロジェクト単位でMediawikiを割り振っていないため厳密にはアンサイクロペディアの記事内における姉妹プロジェクトの運営となっている。そのため姉妹プロジェクトにおける記事を書くには記事名を「プロジェクト名:記事名」で作成しなければならない。

ウィキペディアそのものへの風刺と、徹底的なユーモアの追求

アンサイクロペディアにおいては、記事のユーモア性が乏しいと、「ユーモア欠落症」というスタブが貼られ、ユーモアのある記事に書き換えるよう働きかける流れがある。また、ウィキペディアのような、ユーモアのかけらもないまじめな記事になると、「腐った卵」などというスタブが貼られ、悪臭がしてどうしようもない(=役に立たない)と徹底的に批判される(ただし、後述するハンス・ウルリッヒ・ルーデルシモ・ヘイヘのようなケースはまた別である)。

また、ユーモアの一環として、とかくウィキペディアと比較されたり、ウィキペディアのユーザーを皮肉ることも多い。典型的なものとしては、ウィキペディアは頭の固い人間の集まりで「ユーモア欠落症」患者である、というものがある。また、ウィキペディアの管理人に対する管理ページ数とアンサイクロペディアのそれを比較し、アンサイクロペディアの方が管理人一人当たりの記事数が多いことを持ち出して、ウィキペディアの管理人よりも働いているといった数学をもとにした皮肉も行われている。

その他のテーマ

本来は風刺的な観点から記事が作成されていたが、ほかにも様々なユーモア表現の試みがなされている。以下の例で特に注記のない物は日本語版の記事である[11]

  • 自然科学数学の法則が疑似科学であると主張する。あるいは逆に間違った法則を証明する。たとえば「1=2」では1と2が等しいと主張する。
  • 架空の作品やアイデアの中の事物が、現実であると主張する。あるいは逆に現実の事物を架空のものと主張する。例としてぎなた読みから生まれた「アフガン航空相撲」などがある。
  • 記事の百科事典的な雰囲気の注釈批評による破壊。
  • 戦果が逆転したり、実際は行われていない戦争等。架空の国同士の戦争も含まれる。日本語版の例としては「第二次世界大戦」や「リアル第二次世界大戦」、「大東亜戦争」など。
  • あああああああああ!」などのナンセンスな一発ネタ的な記事がある。なお、これは英語版の「 AAAAAAAAA!」の翻訳版である(正しくは「エー・エー(以下7回繰り返し)!」。「あああ……」なら「Aaa…」でなければならない)。
  • ウィキペディアのパロディという点から、ウィキペディアでの編集合戦荒らしが起こる、あるいはウィキペディアに問題があるとそれを積極的に取り込もうとする。またウィキペディアで伏せられた事実があるとそれも記述される。日本語版では「hyde」に関係する記事がやたらと多く執筆されており、代表的なものとして「hydeの身長は156cm」などがある。その他「要出典」など。「司馬遷」のように、ウィキペディアの中国の漢代以前の記事のほとんどが司馬遷史記に依拠しており、出典が示されていない事を茶化した記事もある。
  • 嘘とユーモアを笑いのネタとしている記事が多いが、かならずしも嘘は必要とはされず、ユーモアがあって笑える内容であれば十分とされる。逆に嘘をついてもユーモアが無い記事は認められない。「ハンス・ウルリッヒ・ルーデル」のように「事実があまりに信じがたいので、嘘を書く事はできない」という体裁の記事もある。ただし「障害者」のように差別偏見のある記事も認められている。
  • このようにジョークの多いページでもあるが、逆にアンサイクロペディアの方がこちらより先に正しい事項を記している例も存在している。例えば、世界一の一覧において、世界一短い詩は草野心平の「冬眠」ということになっているのだが、2009年7月25日の版(こちら参照)までは大橋裸木の「陽へ病む」と記述されていた(もちろん誤りである)。しかし、アンサイクロペディアにおいては2008年8月の時点で既に「冬眠」が世界一短い詩と記述されていた。つまり、ウィキペディアの方が誤った事実を記していたという事になる。

ウィキペディアの模倣

アンサイクロペディアの様々な個所でウィキペディアの模倣が見られる。日本時間の2007年4月1日午前0時頃に、メインページがウィキペディアを参考にしたものに変わっている。また、メッセージを模倣するために、アンサイクロペディアではMediaWikiが使われている。そして、一般スタブテンプレートでは「この項目は執筆者がクラックをキメていた可能性もありますが、今はまだクソの山です。より愉快にして下さる協力者を求めています」というメッセージが表示される。これはウィキペディアのスタブメッセージである「この項目「(記事名)」は、調べものの参考にはなる可能性がありますが、まだ書きかけの項目です。加筆・訂正をしてくれる協力者を求めています。」 のパロディである。

更に、アンサイクロペディア上で使われている画像やその説明ページはアンサイクロメディア・コモンズに登録されており、これはロゴも含めて、ウィキメディア・コモンズを模倣したものとなっている。

また、2010年11月15日現在、ウィキペディア各ページの上部に、「ウィキペディア創設者 ジミー・ウェールズからのメッセージをお読みください」というバナーが表示されているが、これを模倣したバナーが、アンサイクロペディア各ページの上部にも登場した。いわく、「アンサイクロペディア創設者 オスカー・ワイルドからのメッセージをお読みください」。その内容も、アンサイクロペディア創設から現在に至るまでの様子を皮肉に表現し、最終的に寄付するように要求する。しかし、いざ寄付のページへ移動すると、適当にボタンを押すだけで寄付が終了するという、要するに寄付行為そのものもパロディ化させている。 なおウィキペディアのことをユーモア欠陥症患者と呼んでいる。 ウィキペディア、及びその姉妹プロジェクトでは2010年6月10日よりデフォルトのスキンを「ベクター」に変更した後も長らくアンサイクロペディアは「モノブック」であったが、2011年8月頃に「ベクター」スキンに変更された。また、2013年2月1日のウィキペディアのメインページ改定に合わせ、アンサイクロペディアもメインページを改定している。

日本語版の特徴

日本語版アンサイクロペディアは2009年6月22日で登録ユーザー数10000人を突破(うち管理者19人)で運営され、約13000以上項目の記事が存在している。

また、日本語版にはドメインが複数存在するが、それらのドメインの記事内容などは全て同じものである(ただしサーバごとに編集が反映されるまでのタイムラグが若干ある)。

記事のテーマ

英語版とは共通するテーマも多く存在し、「あああああああああ!」、「ニヒリズム」、「君は牛を二頭持っている。」、「1=2」など多くの他言語版アンサイクロペディアで受け入れられている記事は日本語版利用者にも広く受け入れられている。特に「ニヒリズム」は、記事に文字や画像が全くないアンサイクロペディアのユーモアの典型的な記事である。一方で、日本語版独自のユーモアも数多く投稿されている。例えば、盥回しの項目は、読んで字のごとく次々と「たらいまわし」「たらい回し」などと、開いても開いても「盥回し」の表記法が違うページを延々と循環させることで、言葉でなく身をもって意味を伝えるページであり、「風が吹けば桶屋が儲かる」などは日本の文化を利用しつつ、多くの利用者によって加筆されるジョークといえる。

英語版においてオスカー・ワイルドが崇拝されているのは前述の通りだが、加えて日本語版では織田信長足利義昭、「魔法陣グルグル」に登場する「ワンチン」なども偶像視している。

一時期話題になった一般人や犯罪者を扱った記事、公開されていない芸能人のプロフィールなどを扱った記事も存在する。このようなウィキペディアに書くと削除される記事は内輪ネタではあるが、アンサイクロペディア内のメタユーモアにまで昇華されている。ウィキペディアのマスコットであるウィキペたん記事女装した男性であるとされ、これを模倣した「アンサイクロペたん」はユーザーより数多く案が出たものの結局「正式な姿は決めず放置したほうがアンサイクロペディアらしい」というコンセンサスがとられている。

アニメや漫画、パソコンゲームなどに対して半分まじめに説明しながらも、(荒らしのような表現も含め)細部でユーモアを膨らませるようにした手法がよく使われている。このような記事はアクセス数も多く、「魔法少女リリカルなのは」の記事は、一時はメインページを大きく超えるアクセス数をカウントし[12]、内容も原作の『とらいあんぐるハート3 〜Sweet Songs Forever〜』はもちろん『エースコンバット5』(AC5)[13]の世界観も飲み込むなど、日本語版の名物ページとされている[14]

現実の世界での事象や現象に関する風刺・皮肉的な記事も多いが、そのような記事がたびたびブログ上で話題になることが多く、ブログのブックマーク数も総じて多くなる傾向にあるのは、記事がジョークの体制を採りながらも記事の核心部分に作りがない(いわば事象の本質を捉えている記事)ためであるといえる。

エクストリームスポーツも頻繁に使われるジョークである。アンサイクロペディア内では理系のエクストリームスポーツとして扱われる「栗まんじゅう問題」、企業や官庁の不祥事を皮肉った「エクストリーム・謝罪」のようにスポーツにすら当てはまらない記事も多数存在する。その多くは「エクストリーム+単語」という形式の題名で作られる事が多い。

屈強な男たちが○○をするスポーツ」は一見すると性的な内容に見て取れるが、実際は野球やサッカーなどの意味を持つ。

架空の国家や組織などは日本語版においてもよく使われるユーモアの手法である。「阪急王国」や「名古屋共和国」など実在の都道府県や企業を揶揄した記事、全く架空の設定で作られたでたらめな国家の記事などが挙げられる。ただし現在ではこれらの記事の乱立により、あまりこのような記事を好まない雰囲気となっている。

また、読み手を翻弄するような記事も多い。「お察しください」は全て内容を察するよう求められ、「ひらがな」の記事は平仮名のみで書いてあり(つまり「カタカナ」の記事はカタカナで、「漢字」は漢字で、「万葉仮名」は万葉仮名で書いてある)、「文字化け」は文字化けし(これはUTF-8のエンコードのままShift_JISで文字化けしたように見せかけてあるため、シフトJISに切り替えると一層酷い文字化けが起こる)、「QRコード」はQRコードだけが書いてある(実際にこのコードは携帯電話で読み取ることができる上、そのコードを読み取ると記事の本文が出現する)。さらに「リンク荒らし」のリンクはぐちゃぐちゃになっており、「高橋メソッド」の記事は高橋メソッドを使ったプレゼン風になっている。

オリジナルのテンプレート・バナー

また、日本語版アンサイクロペディアの特徴としては、記事の途中に自作のテンプレートを汎用できるのも特色である。たとえば、仮に事実だとしてもそれを公にすると諸問題が発生する場合、『検閲により削除』『自主規制』『禁則事項です』『DANGER』などのテンプレートを貼り付けることで、その部分を暈かすことができるほか、いかがわしい表現や性的な表現、暴力的な表現の場合は『放送コード』などのテンプレートでピー音や、ピストル音を表現できる。事実を述べたくない、または述べられない場合は『お察し下さい』というテンプレートが用いられることが多い。他にも参考書や問題集の要点をパロディ化した『テストに出るよ』(体裁は要出典と同じである)などがある。

このテンプレートより使い勝手は劣るが、よりパロディ、皮肉の色が強まったものとして自作バナーがある。このバナーの中には共産主義ナチズムなど社会イデオロギーを揶揄したものや、内容がひどい内容の場合は『この記事はクソです〜』『この記事は腐っています』『この記事はアートです』などといった自虐的なものまで存在し、そのほかアニメやゲームなどのネタを引用したものなども存在する。

また、語録というテンプレートも存在する。語録には歴史上の人物や実在の人物、架空の人物のものなどがあり、あたかもその人物がそれについて言及したかのような表現を醸し出すパロディセンスの強いものである。

ウィキメディアテンプレートの中には『海外安全情報 ウィキペディアの「(ウィキペディアの記事名)」周辺は治安が悪化しているため、渡航の延期をお勧めします。』や『海外安全情報 ウィキペディアの「(ウィキペディアの記事名)」周辺は、現在非常事態宣言が発令中です。渡航の中止をお願いします。』というのがあるが、これはウィキペディアに記載されている記事が前者が半保護、後者が保護されていることを知らせている。

サーバーの問題

日本語版アンサイクロペディアの存在するサーバーは他の言語版と同じサーバに置かれているので、ページを開くのに時間が掛かったり、エラーで開かなかったりすることが多く、それに対しての批判も多かった。非常にサーバーが不安定になった場合には、英語版アンサイクロペディアの利用者でありサーバー管理者のCarlbに一部の日本語版の管理者が不具合などを報告することもあった。現在のアンサイクロペディアでは多少改善されたようである。

またこれに対して日本語版アンサイクロペディアでは「重い」という記事で揶揄されている。

また、サーバーダウンのような問題すらユーモアのネタとして使うことすらある。2008年1月8日から12日にかけてアンサイクロペディアのサーバがダウンしていた時は、ダウンから復帰した直後に「記憶喪失 (アンサイクロペディア)」という記事が立てられ、「1月9日から12日にかけて当サイトで発生した大規模サーバーダウンについて」としてメインページの最上部にお知らせのようにリンクが張られていた。

2010年7月17日頃から、履歴の更新や投稿した記事の反映が大幅に遅れる不具合も発生している。また、ほとんどのユーザーがアクセスできない不具合も発生している。

管理

記事の管理に対しては管理者を中心として精力的に行われている。ただしユーモアを扱う以上、対象を存続させるべきかどうかを見極めるのは非常に難しく、最終的には会話ページでの多数決で決めることが多い。賛成者多数でも管理者は削除権を持っているが、その行使による削除の正当性から3度不信任動議が出された管理者もいる。

管理者の選出は、初期においてはビューロクラットに一任されていたが、現在では自薦・他薦によるものとなっている。

外部からの評価と批判

アンサイクロペディア英語版の記事は、有名無名を問わずさまざまな新聞・雑誌等で取り上げられている。たとえば2005年には、空飛ぶスパゲッティ・モンスター教の記事がニューヨーク・タイムズ紙の「Pastafarianism」を扱ったコラムで紹介された。このコラムは台北タイムズなど他紙でも掲載された。さらにウィキのみならずウェブサイト一般を扱った記事においても、技術やウェブといった括りで紹介されている。ボストン・ヘラルドガーディアンがその例である。アンサイクロペディアの記事が取り上げられることがある一方で、単にアンサイクロペディアという名前が記載されるに過ぎない場合もある。たとえばジョン・シーゲンソーラー ウィキペディア経歴論争を取り上げた「The Register[15]」においても、アンサイクロペディアは名前だけが紹介された。また「PC Magazine[16]」でも未発掘のサイトベスト100に選出されている。

2006年、ニュージーランド・ヘラルドは、中等教育学校のひとつキングス・カレッジの校長を含む教育関係者の話として、「アンサイクロペディアとbebo[17]はサイバーいじめを助長する脅威だ」と紹介している。それによると、Epsom女子グラマースクールの学生の名前と携帯電話の番号が、本人の知らないところで下劣なメッセージとともにアンサイクロペディアに書き込まれた。

2007年6月には、湖水地方の記事が評議員や観光会社の経営者から「不快」だと評され、同時に彼らはより厳しい規制を求めた。この一件はイギリスの地方紙North-West Evening Mailにも取り上げられたが、アンサイクロペディアの方針は結局変わらなかった。これと似た事件が2007年11月にも発生しており、北アイルランドを扱った記事が地元政治家のJames McCarryによって「恥さらし」と批判され、さらに彼は問題の記述を除去させると宣言した。なおこの北アイルランドの一件では、地元評議員のConor Maskeyや「Portadown News[18]」編集長のNewton Emersonが、もっとリラックスしてウェブサイトと接するべきだとMcCarryの姿勢に反論している。

2008年4月には、「『緊急地震速報』誤作動影響 玉突き事故発生で死者5人 – 首都高」では、記事のノートページエフエム東京(TOKYO FM)の社員が記事を削除するように、抗議したこともある。

日本語版は個人のブログなどに取り上げられる程度だったが、2007年9月には日経トレンディネットにリア充の記事が引用される[19]など、徐々に知名度が上がっている。

2011年6月には、UnNews日本語版に「ツイッター日本語版、7月から全面有料化」という記事を掲載。記事の掲載は21日であったが、5日経過した26日にこの記事がネタとしてツイッターで拡散する内に本当のニュースと誤認されて騒動となり、公式アカウントがこれを否定するコメントを投稿する事態に至った[20]。なお、この際にツイートした人物がアンサイクロペディアを「悪質なデマサイト」と呼んだことに呼応して、アンサイクロペディア日本語版では「悪質なデマサイト」という記事が作成された。

プロジェクト

各言語版アンサイクロペディア
ar: العربية بيضيپيديا
ca: Català Valenciclopèdia
cs: Česky Necyklopedie
da: Dansk Spademanns Leksikon
de: Deutsch Uncyclopedia.de
el: Ελληνικά Ανεγκυκλοπαίδεια
en: English Uncyclopedia
es: Español Inciclopedia
fa: فارسی نانشنامه
fi: Suomi Hikipedia
fr: Français Désencyclopédie
he: עברית איןציקלופדיה
hu: Magyar Unciklopédia
it: Italiano Nonciclopedia
ja: 日本語 アンサイクロペディア
ko: 한국어 백괴사전[21]
la: Latina Necyclopædia
nl: Nederlands Onziclopedie
no: Norsk Ikkepedia
pl: Polski Nonsensopedia
pt: Português Desciclopédia
ru: Русский Абсурдопедия
sv: Svenska Psyklopedin
th: ภาษาไทย ไร้สาระนุกรม
tr: Türkçe Yansiklopedi
zh-tw: 中文(正體) 偽基百科
zh: 中文(简体) 伪基百科
アンサイクロペディア関連項目
meta: UnMeta アンサイクロメディア財団(Uncyclomedia Foundation)
info: Babel Project アンサイクロペディア一覧表

注釈

  1. ^ 面白さを理解するには、読み手に相応の知識が求められるような記事もある。たとえば朱元璋は伏字だらけになっているが、朱元璋文字の獄を行ったことを知らなければ、その面白さが分からない。
  2. ^ 悪意や害意で記事を作らない
  3. ^ とくに短い記事の投稿が非常に多いという問題がある。How To Be Funny And Not Just Stupidによれば、1日に約300の記事が作成され、そのうち290の記事が削除されるという。
  4. ^ [ttp://www.wikicities.com/wiki/Uncyclopedia_joins_Wikia ウィキシティーズによる発表(英語)]
  5. ^ Wikiaのランキング[リンク切れ]による(2007年12月現在)。2006年12月の時点ですでに約2万項目を有し、当時その規模は3位であった。
  6. ^ Wikiaのランキング[リンク切れ]による(2007年11月現在)。
  7. ^ アンサイクロメディア・ダウンロードページ(Index of/)
  8. ^ とは言え事実とまったく無関係の記事を好まない傾向もある。英語版では、まったくの虚偽記事はたとえユーモラスであっても削除される傾向にある。
  9. ^ ただしメニューバーなどに文字表記が残る。
  10. ^ 実際に起きた事件を皮肉をこめて書いているものであるが、中には架空の事件もある。
  11. ^ 現在(2010年2月現在)はこれらのネタの多くが使い古された状態にあり、新しいジャンルの開拓が望まれる。
  12. ^ 2007年8月26日時点で、メインページが131,246回だったのに対し、「魔法少女リリカルなのは」は169,340回と、4万近い差をつけていた。2008年1月2日時点でも第1位こそメインページ(2,175,688回)に譲ったものの、純粋な記事としては依然第1位(259,530回)を保っていた。2010年1月11日現在は471,896回と第5位(純粋な記事としては第4位)となっている。なお同日現在の純粋な記事としての第1位は「ハンス・ウルリッヒ・ルーデル」(784,937回)である。
  13. ^ 『魔法少女リリカルなのはA's』とAC5に「ベルカ」という地名が存在する偶然から生じたジョーク。
  14. ^ 同記事は、アーサー・C・クラーク第3法則のパロディで始まる。これはウィキペディア日本語版の「魔法少女リリカルなのは」の記事にクラークの第3法則が引用されているためで、アンサイクロペディアがウィキペディアのパロディである事を端的に示していると言える。
  15. ^ 技術に関する話題を扱うイギリスのウェブサイト。1994年に前身のChip Connectionが立ち上げられ、1998年にThe Registerとなった。詳しくはen:The Registerを参照のこと。
  16. ^ アメリカのZiff-Davisが発行するコンピュータ雑誌。1982年に前身のPC誌が発刊され、1986年にPC Magazineとなった。くわしくはen:PC Magazineを参照のこと。
  17. ^ オンラインSNSのひとつ。詳しくはen:Beboを参照のこと。
  18. ^ 北アイルランドの政治や文化を風刺的観点で扱ったオンライン新聞。政治評論家のNewton Emersonにより執筆されている。詳しくはen:Portadown Newsを参照のこと。
  19. ^ 佐藤信正 (2007年9月3日). “ネットと現実、どっちが楽しい? 「リア充」の先にある新しい友達関係 - 日経トレンディネット”. 日経BP社. 2008年5月18日閲覧。
  20. ^ ITMediaニュース (2011年6月27日). “「Twitter有料化」ネタが“デマ”になるまで Twitter公式アカウントが否定する騒ぎに”. アイティメディア社. 2011年6月28日閲覧。
  21. ^ サーバはアンサイクロメディア財団のサーバーではなく独自のサーバーを使用している。

関連項目

外部リンク