藤本健二

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藤本 健二(ふじもと けんじ、1947年-)は、日本のジャーナリスト北朝鮮の最高指導者・金正日の元・専属料理人[1][2]。「藤本健二」は仮名ペンネームであり、本名は非公開。

プロフィール

1982年に板橋調理師会事務所の会長の紹介で初めて北朝鮮へ渡り、寿司屋で働いていた。招待所へ寿司を作りに出張した際に金正日と知り合い、1989年から金正日の専属料理人として仕えたという。藤本の証言から、藤本が単なる料理人としてのみ仕えたのではなく、正日および家族から信頼され、子供達から胸の内を発露される立場にさえあったことが伺える。1990年に朝鮮労働党員になり、同時に朴哲(パク・チョル)という朝鮮名が与えられ、正日から2人の王子たち(金正恩 - 当時7歳、金正哲 - 当時9歳)の遊び相手として指名されたという。なお金正男には北朝鮮で会ったことはないとも述べている。

北朝鮮在住時1989年に現地の民謡歌手・厳正女(オム・ジョンニョ)と結婚、1994年には、朝鮮労働党中央委員会秘書室員となっている。1990年代には度々、食材などの買い付けのため日本へ来たが、1996年に一度入国管理法違反で逮捕され、釈放後しばらく沖縄に滞在したことがあったという。1998年平壌から北京に買出しに行った際に日本の警視庁の部長に電話したことがばれ、1年6ヵ月軟禁状態におかれて、いつ強制収容所に送られるかという恐怖を味わわされたため、2001年に意を決して北朝鮮を脱出したとされる。金正日の私生活を知る数少ない人物とされ、テレビ出演の際には、必ずバンダナサングラスを付けている。これは北朝鮮の殺し屋から身を守るためとしている。

しかしながらなぜ金正日が、自身と家族の生殺与奪に関与可能で、かつトップシークレットとしたいであろう身内家族の情報を知りえる立場の料理人にわざわざ外国(それも仮想敵国)の出身者を採用したのかは不明である。この点について、彼の著書の解説者である菊池嘉晃は、「藤本氏は朝鮮語も何も知らないまま渡った。だからこそ、金総書記の料理人になれたともいえる。もし彼が最初から朝鮮語に堪能で北朝鮮の内情に関心を持っていたとすれば、それこそ「スパイ」と疑われて金総書記のそばになど近づけなかったろう。藤本氏が金総書記のそばに置かれたのは、素直で明るい性格に加え、彼が良い意味での“遊び人”であり、金総書記の大好きなバカラなどの賭け事はもちろん、さまざまなスポーツにも長け、気のおけない遊び相手になれたことが大きかったように思われる。藤本氏の身長が、(シークレットブーツを履いて)164-165cmとみられる金総書記よりわずかに低かった(162cm)のも幸いしたかもしれない」と述べている。

2003年に初めてマスコミに出て以来、その後の著作を含めて、金正日の後継者は三男の正恩になるとの見方を一貫して示してきた。

活動

2006年の北朝鮮の核実験を受けた制裁措置で、アメリカなどによる輸出禁止の贅沢品のリストの作成にアドバイスを与えたと報道された。

2009年頃にメディアが公開していた金正日の三男である金正恩(キム・ジョンウン)の10歳の頃の顔写真は藤本が提供したものである。韓国のメディアに無断で写真を使われて以来、世界各国のメディアが写真を無断使用しているため戸惑っているという[3]。なお、正恩の名を挙げる時は正恩王子(ジョンウン王子)と呼ぶことが多い。2009年6月24日「大川興業」のライブで、北朝鮮のネタでお笑いデビューした。この際にはいつものバンダナサングラスを外している。以降何度か大川興業主催のライブにゲスト出演している。

シドニー・モーニング・ヘラルドウィキリークスから入手し2011年2月に発表した東京発のアメリカ外交公電によれば、内閣情報調査室の“北朝鮮に関する最も優れた情報源”だった。2008年10月、時の内閣情報官・三谷秀史が、国務省情報調査局長・ランドール・フォートと会談した中で打ち明けたという[4]2011年現在、金一家の家族構成や各人のパーソナリティについての日本国政府の情報源は、事実上藤本の知識に頼る以外ない状態にある[5]

著作

論文

脚注・出典

  1. ^ 特集ワイド:元専属料理人が見た「将軍」と「大将」 「悩める指導者」の顔(毎日新聞)2011年12月20日
  2. ^ 複数の持病、薬5種類以上…金総書記の元料理人(読売新聞)2011年12月20日
  3. ^ 2009年6月10日放送の『情報ライブ ミヤネ屋』より
  4. ^ ネタ元は「金正日の料理人」=内調トップ、情報不足を米に告白-ウィキリークス 時事通信2011年2月21日
  5. ^ 『読売新聞』2011.2.22「ウィキリークス暴露・・・金総書記に関する情報源はスシ職人」