絨毯爆撃
絨毯爆撃(じゅうたんばくげき、Carpet bombing)とは、多数の無誘導爆弾を用いて地域一帯を爆撃することを指す。投下地域の人員・物的資源の完全破壊や心理的効果等を意図して行われる。絨毯爆撃という表現は、床に敷かれた絨毯のように、爆弾が一面を覆う印象から想起されたものである。戦略・戦術両方の目的で遂行される。
スペイン内戦下の1937年、ナチス・ドイツの「コンドル軍団」がスペインの都市、ゲルニカに対して行ったのが最初の事例とされる。また、第二次世界大戦末期にアメリカ軍が行った日本本土空襲では、日本国内で200以上の都市と223万戸の民家が被災した[1]。
概要
第二次世界大戦期にアメリカ合衆国とイギリスが大型爆撃機を用いたドイツや日本の都市に対する戦略爆撃の形容に用いられることが多い。同じく第二次世界大戦期に日本が行なった重慶爆撃も、後期には絨毯爆撃となった。ピカソの『ゲルニカ』は同名の都市への無差別絨毯爆撃に際し描かれたものとして著名である。
戦術目的の絨毯爆撃の例としては、1944年の北フランスで行われた連合国軍の「コブラ作戦」支援の爆撃や、アメリカのアフガニスタン侵攻におけるB-52による地上軍支援などがある。
初期には複数の航空機を使用した反復爆撃によってその真価を発揮した。現在では、作戦地域が小さければB-52に代表される戦略爆撃機単独でも同様な被害を与えうる。また、MLRS(多連装ロケットシステム)など一部の野戦火力も効果面で絨毯爆撃と似通う。
被害が無差別かつ広範にわたる絨毯爆撃には批判も多く、巡航ミサイルや誘導爆弾の発達した今日では精密爆撃に取って代わられつつある。
その他
- アップルにより開発されているウェブブラウザ、SafariのWindows版に「Safari Carpet Bomb(Safari絨毯爆撃)」と呼ばれる脆弱性が存在していた(バージョン3.1.2以降は修正されている[2])。デスクトップにユーザーの意図しないファイルが自動でダウンロードされ続けるというもので、悪用された場合デスクトップが絨毯爆撃を受けたがごとく破壊的に混乱することが呼称の由来とされる[3]。
脚注
- ^ 「日本再生の記憶と遺産1」 『日本経済新聞』 平成23年8月10日 社会面
- ^ ZDNet Japan - アップル、Windows版Safariをアップデート--「じゅうたん爆撃」問題を修正
- ^ ZDNet Japan - Windows用Safari「絨毯爆撃」の脆弱性実証コードが公開される