磯田道史
磯田 道史(いそだ みちふみ、 1970年12月24日 - )は、日本の歴史学者(日本近世・近代史・日本社会経済史)。国際日本文化研究センター准教授。
略歴
岡山市出身。岡山市立御野小学校、岡山市立岡北中学校、岡山大安寺高等学校、京都府立大学中退、慶應義塾大学文学部史学科卒業。2002年同大学院文学研究科博士課程修了、「近世大名家臣団の社会構造」で博士(史学)。指導教授は田代和生。ほか速水融に学ぶ。2004年茨城大学人文学部助教授、2007年准教授。2008年~2011年国際日本文化研究センター客員准教授。2007年-2009年読売新聞読書委員。永青文庫評議員。2012年東京歯科大学客員准教授。2012年静岡文化芸術大学文化政策学部准教授、2014年同大学教授を経て、2016年より現職。毎日新聞書評委員。
2003年の著作『武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新』で第2回新潮ドキュメント賞、2010年には森田芳光監督によって『武士の家計簿』として映画化された。2010年、「専門分野である歴史を視聴者にわかりやすく解説し、放送文化の向上と地域活性化に貢献した」として第15回NHK地域放送文化賞。2015年、『天災から日本史を読みなおす』で第63回日本エッセイスト・クラブ賞。
逸話
大学時代に古道具の露天市で保守系政治家・斎藤隆夫の「第七十五帝国議会去感」と書かれた色紙を偶然みつけ、時流に抗して正論を演説し、帝国議会を追われた斎藤が「百年青史の上を看ることを請う」と記しているのを「読んで涙が出てきた。斎藤は『百年後の歴史の上』をみて国を誤らぬよう命がけで自説を述べたのだ。自分は歴史家の卵だ。自分がきちんと歴史を書かねば正しいことをして不遇に終わった人物は犬死にになる、と思った」と語っている(2009年8月28日・読売新聞「古今をちこち」)。
歴史時代の地震津波を研究する「歴史地震研究会」の会員でもある。「今後も、この島国ではしばらく地震が続くかもしれない。私も何かしなくてはいけない」(2011年5月7日・産経新聞「地震記録から見た震災」)。
先祖は岡山鴨方藩の重臣である。五代前の祖先は池田侯の師・磯田郡次兵衛由道で甥にあたる東京歯科大学創立者・高山紀斎に儒学を教えた(「高山紀齋の生涯」東京歯科大学同窓会報第398号より)。東京歯科大学客員教授でもある。
単著
- 『武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新』(新潮新書、2003年)
- 2010年に『武士の家計簿』のタイトルで映画化。
- 『近世大名家臣団の社会構造』(東京大学出版会、2003年)
- 『殿様の通信簿』(朝日新聞社、2006年、のち新潮文庫)
- 『江戸の備忘録』(朝日新聞出版、2008年、のち文春文庫)
- 『龍馬史』(文藝春秋、2010年、のち文春文庫)
- 『日本人の叡智』(新潮新書、2011年、朝日新聞土曜版連載「この人その言葉」を新書化)
- 『さかのぼり日本史 6 江戸 "天下泰平"の礎』(NHK出版、2012年)
- 『歴史の愉しみ方-忍者・合戦・幕末史に学ぶ』(中公新書、2012年)
- 『無私の日本人』(文藝春秋、2012年、のち文春文庫)
- 『歴史の読み解き方 江戸期日本の危機管理に学ぶ』(朝日新書、2013年)
- 『天災から日本史を読みなおす』(中公新書、2015年)
記事
- 磯田道史の「古今をちこち」読売新聞 第二水曜日朝刊 文化面
- 磯田道史の「備える歴史学」朝日新聞 土曜版be
出演
- 知るを楽しむ・歴史に好奇心「拝見・武士の家計簿」(NHK教育、2006年7月)
- 直伝 和の極意「古地図で巡る龍馬の旅」(NHK教育、2010年4月 - 5月)
- 安住紳一郎の日曜天国(TBSラジオ、2008年10月12日・2009年8月30日・2010年10月24日・2011年10月23日・2012年10月21日・2014年12月7日、2015年11月7日)
- 爆笑問題のニッポンの教養(NHK総合、2010年12月14日)
- 第15回菜の花忌シンポジウム、司馬遼太郎記念館(NHK教育、2011年4月16日)
- さかのぼり日本史 江戸「天下泰平」の礎 全4回(NHK Eテレ、2011年10月4日・11日・18日・25日)
- ラスト・ニンジャ〜古文書発掘ミステリー[3](NHK総合、2011年10月28日)
- BS歴史館(NHK BSプレミアム、2011年 - 2014年)
- 視点・論点(NHK総合テレビ、2012年9月21日、2015年2月9日)
- ぴったんこカン・カン(映画『武士の家計簿』で主演を務めた堺雅人と共演)(TBSテレビ、2012年10月12日)
- 英雄たちの選択(NHK BSプレミアム、2013年5月30日)司会
- 文化講演会「萩の英雄たちの選択」(NHKラジオ第二、2016年1月31日)講演
脚注
- ^ “阿部サダヲ、“庶民の味方”で時代劇初主演 妻夫木聡と兄弟役”. ORICON STYLE (2015年7月4日). 2015年8月3日閲覧。
- ^ “東日本放送、松竹と初タッグ 中村義洋監督メガホンで「穀田屋十三郎」を映画化”. 映画.com (2015年4月6日). 2015年4月6日閲覧。
- ^ ラストニンジャ 古文書発掘ミステリー - NHK名作選(動画・静止画) NHKアーカイブス