朴一
朴 一(パク イル、박일、1956年 - )は、大阪市立大学大学院経済学研究科教授(商学博士)。兵庫県尼崎市生まれの在日韓国人3世。在日コリアンや日韓・日朝関係に関する多数の著書がある。ラジオ番組を中心に、テレビ番組にも多数出演している。
略歴
- 1980年 同志社大学商学部卒業
- 1988年 同志社大学大学院商学研究科後期博士課程単位取得後に退学
- 1988年 立正大学経済学部講師
- 1990年 大阪市立大学経済学部講師
- 1992年 大阪市立大学経済学部助教授に就任
- 2000年 大阪市立大学経済学部教授に就任
- 2001年 大阪市立大学大学院経済学研究科教授に就任
- 2012年 韓国政府より国務総理表彰を褒章
発言・騒動
竹島問題について
- 2012年の8月10日に李明博大韓民国大統領が行った竹島上陸に端を発した大韓民国と日本国の外交衝突(韓国による天皇謝罪要求)では、任期終了を控えた李大統領のパフォーマンスであるため、日本は反論をせずに、韓国政府の行為を黙認するべきだとし[1]、「日本が国際司法裁判所に提訴しても勝ち目がないだろう」 と日本外務省OBが証言していたとし、竹島の領有権を主張せずに、両国の漁船が周辺水域で平等に操業できる仕組み作りを先に行うべきだと主張している[2]。
通名報道について
- 著書『在日コリアンってなんでんねん?』において、「在日韓国・朝鮮人が加害者となった犯罪行為は本名ではなく通名で報道するべき」と主張し、一方で芸能人やスポーツ選手などは、日本国籍取得者であろうとハーフであろうと在日コリアンであると主張している事に対して、元在日韓国人3世の帰化者・浅川晃広名古屋大学専任講師は『諸君!』2006年4月号で「彼は、『在日コリアンが、いろんな分野で活躍しているにもかかわらず、日本人には見え難い存在になっている』という。在日コリアンが日本名を使用することに不快感を表明しているのだから、『見えやすく』してくれた韓国名報道については、何の異論もないはずであろう。朴一によると、在日コリアン犯罪者を日本名で報道すべきとの理由は、『犯行と国籍とは無関係』であるからだという。芸能人、スポーツ選手についても、その能力は当然ながら、『出自、国籍とは無関係』であり、個々に芸能人またはスポーツ選手として活躍しているに過ぎない。すなわち、朴一の主張を要約すれば、芸能人、スポーツ選手など、世間から賞賛される有名人は、日本国籍取得者であろうとハーフであろうと在日コリアンであると強調し、一方で犯罪者については『出自とは無関係』として、その在日コリアンである事実すら隠蔽せよということなのである。プラス面は何倍にも強調し、マイナス面は隠蔽するという主張に過ぎない。これはあまりにも矛盾しているのではなかろうか。朴一は、彼の主張に対する抗議メールとして『ご都合主義だ』というものを紹介し、それを批判しているのだが、これを『ご都合主義』と呼ばずして一体何と呼ぶべきだろうか」と批判した。
- 1998年に日興證券への不正な利益供与の疑惑が浮上し、98年に都内のホテルで自殺した新井将敬衆議院議員について、「自らの犯罪と出自を結びつけて語ったのを聞いたときは不愉快だった。」と新井の夫人に対して語った[3]。
在日認定
詳細は「在日認定」を参照
- 朴一は、韓国人や在日コリアンなどが、日本の著名人を根拠なく在日コリアンやコリアン系の同胞であると主張する在日認定と呼ばれる行為をすることに抵抗感がなく、一例では、高倉健を在日コリアンとして紹介している[4]。(ちなみに、高倉健は、祖先は鎌倉時代の執権北条家に仕えた刈田式部大夫篤時と言われた北条篤時で、篤時の子孫が西国に移り、大内氏に仕えた後に北九州へ向かった。当地で北条の名を捨て「小松屋」の屋号で両替商を営み、後に筑前国藩主黒田家から名字帯刀を許されて小田姓を名乗るようになった[5]。江戸時代末期に『東路日記』を記した、筑前国の庄屋の内儀・小田宅子(おだいえこ)は先祖にあたる)
- 著書「僕たちのヒーローはみんな在日だった…芸能・スポーツ界のKパワー」では、1970年の芸能界について、『紅白歌合戦の常連組には、錦野旦、都はるみなどの在日であるとカミングアウトしていた人たちに加えて、後にカミングアウトすることになる和田アキ子、レコード大賞に輝いたこともある男性大物歌手であるF・A、グループサウンズ出身の人気男性歌手S・K、音大の声楽科出身で歌唱力に定評のあるY・S、新御三家と言われた男性歌手のS・Hなど、在日コリアンの歌手が出場者の四分の一近くを占めていた』と記している。なお、S・Kは沢田研二であると思われるが、沢田の本名の「澤田研二」の“澤”は帰化苗字に使用できない旧字体漢字である。また、沢田の著書「我が名は、ジュリー 」(中公文庫)には戸籍謄本のコピーが掲載されており、日本国籍であることが記されており、朴の主張は誤りである。
外国人参政権
- 「私たちの1票を武器に、在日コリアンの地位改善を要求できる。比例区なら在日から代表を送り込める力もある」と主張し、在日外国人への参政権付与を要求している。在日外国人への参政権付与に反対する意見に対しては「私たちがここにいる歴史性を日本の人に正しく理解してもらいたい」と反論している[6]。
二重国籍
- 2010年に韓国の国籍法が改正され、二重国籍の取得が可能になったことを契機に、日本も在日韓国人に対して二重国籍を認めるべきだと主張している。二重国籍を許容すれば、在日韓国人の参政権問題も解決し、両国をつなぐ大切な資産となる在日同胞全体を包容できると述べている[7]。このような朴一の姿勢について、金美齢は「『日本の国籍は取りたくないけど、日本の政治には干渉したい』というのはフェアじゃない。」と非難している[8]。
在日特権を許さない市民の会
在日特権を許さない市民の会の活動については、「韓国人へのヘイトスピーチは、長い目で見れば、外国人に対する日本への投資環境を悪化させ、経済にも悪影響を及ぼす。安倍首相が景気を良くしようとしているが、現実に株価を押し上げているのは外国人投資家だ。不満のはけ口を外国人に求めるのは自分で自分の首を締めるようなもの。」と批判し、「日本も経済改革を本気で進めたいなら、ヘイトスピーチを処罰するなど人種差別を規制する立法を検討する時期にきている。」と主張している[9]。
朝鮮学校無償化問題
朝鮮学校の高等学校等就学支援金対象除外に反対する「無償化連絡会大阪」の賛同人を務めている[10]。
出演番組
- たかじんのそこまで言って委員会(読売テレビ)
- たけしのTVタックル(テレビ朝日)
- サンデージャポン(TBS)
- みのもんたのサタデーずばっと(TBS)
- かんさい情報ネットten.(読売テレビ)
- たかじんNOマネー〜人生は金時なり〜(テレビ大阪)
ほか
著書
- 『韓国NIES化の苦悩 - 経済開発と民主化のジレンマ』 同文舘出版、1992年
- 『“在日”という生き方 - 差異と平等のジレンマ』講談社選書メチエ、1999年
- 『「在日コリアン」ってなんでんねん?』講談社+α新書、2005年
- 『朝鮮半島を見る眼 - 「親日と反日」「親米と反米」の構図』藤原書店、2005年
- 『僕たちのヒーローはみんな在日だった』講談社 2011 のち+α文庫
- 『日本人と韓国人「タテマエ」と「ホンネ」 「韓流知日」を阻むもの』講談社 2012
- 『越境する在日コリアン 日韓の狭間で生きる人々』明石書店 2014
共著
- 『アジアNIEs 転換期の韓国・台湾・香港・シンガポール』平川均共編 世界思想社 1994
- 『日本で「外国人」として暮らすこと』寺島ジェーン・ターナー,八重沢勇一共著 岩崎書店 1998
- 『転換期のアジア経済を学ぶ人のために』西口章雄共編 世界思想社 2000
- 『変貌する韓国経済』編 世界思想社 2004
- 太田修ほか共著『『マンガ嫌韓流』のここがデタラメ』コモンズ、2006年
- 『在日コリアンの経済活動 移住労働者、起業家の過去・現在・未来』李洙任編著 河明生,木村健二,田中宏,中村尚司共著 不二出版 2012
- 李成市、鄭早苗、姜徳相、姜在彦、朴一、高橋哲哉、水野直樹、西野瑠美子、俵義文 『心ある日本の方々に 中学校『歴史教科書』の採択に際し、今知ってほしいこと - 共に考えましょう、子どもたちの未来のために』 在日本大韓民国民団文教局
- 翻訳
- ジェイムス・V・ジェスダーソン『エスニシティと経済 マレーシアにおける国家・華人資本・多国籍企業』監訳 クレイン 2003
脚注
- ^ 週プレNEWS 2012年08月28日 [1]
- ^ 2013.5.29 民団新聞
- ^ 民団新聞 2011-11-16 [2]
- ^ 講演記録日本籍朝鮮人をめぐる諸問題「『えっ、高倉健が在日?』あの人は日本人の代名詞みたいな人ですよね。高倉健と聞いたら日本人というイメージがあるんですが、もし高倉健が在日朝鮮人だとしたら、おそらくHタイプでしょう。私は本当かどうか知りませんよ。そういう噂はどこからとなく流れてきますよね。私も昔、大学へ入ったとき、『アラン・ドロンは在日朝鮮人よ』と先輩から聞きましたが。そういうのって好きですから、どこまでホンマかウソかわからないですが、そこら辺はあまり突っ込まないようにしましょう」
- ^ JJサニー千葉『千葉流 サムライへの道』ぶんか社、2010年、154 - 171頁頁。ISBN 4821142694 {{ISBN2}}のパラメータエラー: 無効なISBNです。。
- ^ "国政参政権は本国でというのが世界の潮流。在日韓国人が日本にいる歴史性を理解してもらいたい」大阪市立大・朴教授" 毎日新聞 2009年7月5日[3][リンク切れ]
- ^ 統合ニュース 2011/02/02[4]
- ^ 『VOICE』(毎日放送)2010年9月8日放送「代表選と外国人参政権」[5][リンク切れ]
- ^ 民団新聞 2013-03-20 [6]
- ^ [7]
外部リンク
- 大阪市立大学 大学院経済学研究科・経済学部 - 教員プロフィール
- 朴一物語 - まきずし大作戦 - 朴一物語(前半)
- 朴一物語 - まきずし大作戦 - 朴一物語(後半)