服装規定
服装規定(ふくそうきてい、英語:dress code)とは社会の中のさまざまな場所と機会、また行事や催し物、パーティなどの場面で当然、その場面でしかるべきとされる服装のことをいう。周囲への配慮から始まったエチケットである。行事によっては主催者側でフォーマル、インフォーマルなどと指定されることも少なくない。英語の表現をそのまま使ってドレスコードと表現されることもある。
こうした服装の規定は、個人の生活の中では冠婚葬祭において最も顕著に現れてくる。レストランで短パン、ノーネクタイを禁止するのもドレスコードの一種。クルーズ客船の中でも時間帯によって服装を選ぶ必要がある。また国のレベルでは国家元首や王、その関係者、首相、閣僚、大使、公使、軍人などその役職や格式により歓迎の儀礼や晩餐会などでもその都度の服装が細かく規定されている。
フォーマルウェア
結婚式
- 男子は必ずスーツを着用する。日本では、ネクタイは白が望ましい。海外では白や黒以外のネクタイが望ましい。
- ウェディングドレスの多くが白色であるため、それを引き立たせるために参列者は白色の服を着ない。
- 女性のアクセサリーは新婦を引き立たせるため、真珠など控えめが望ましい。
- 過度な露出をした服装は避ける。
葬儀
- 喪章を着用する。日本では黒ネクタイがその代用となる。
- ベールをかぶるのは特に近い親族の女子のみ。
- 海外の葬儀参列では、日本で一般的なブラックスーツを着用すると葬儀社員と間違われるので現地の衣服習慣に合わせる。通常はダークスーツで事足りる。
和服
- 男子は着流し(袴を穿かない状態)で正式な場に出てはならない。羽織或いは裃を着用すべき場もある。
- 未婚の女子は振り袖、既婚の女子は留袖を着用する。女子の羽織は略礼装になっても正礼装にならない。
- 葬儀・法要には、男子は黒染抜き五つ紋に羽織袴、女子は黒染め抜き五つ紋に黒帯(夏季は絽や紗)が正礼装、三回忌以降の法要では色喪服(藍、紫、グレー)の三つ紋、一つ紋、紋なしに黒帯の略礼装も。
帽子
- 神社仏閣の境内、飲食をする場、講演など知識を伝授する場、その他の結界においては脱帽する。女子にのみ着帽が許される場もある。
軍隊
- 戦闘服と勤務服たる軍服は明確に峻別される(勤務服の装備品を戦闘服に着けてはならない。逆に必要がないのに勤務服で武装してはならない。民間でも背広と作業服は着る場が違うのと同じ)。また、どちらを着用するかは部隊ごとに斉一(統制)が図られなければならない(指示は本営の通達を元に指揮官が行なう)。また特に勤務服は儀礼時にも着用する物であるので、少しでも着こなしが乱れる事は許されない。シャツやズボンのアイロン掛けも徹底する(“手が切れるような折り目を付けろ”と叩き込まれる)。
- 屋外では必ず着帽する。屋内ではできるだけ脱帽する。
- 着帽時と脱帽時では敬礼の動作が異なる(日本の場合、着帽時のみ挙手敬礼を行い、脱帽時は礼の動作を行う。また、挙手敬礼時は必ず右手である)。
- 営内では私服を着用してはならない(たまたま営内に入った民間人と区別するためである。ただし、運動着を着用する体力錬成時を除く)。逆に、営外で制服を着用する場合は軍隊を代表していると言う矜持を以て常に一般市民に接しなくてはならない(これは一般企業の場合も同様である。制服着用が目的に照らして不適切である場合、私服着用命令が下る事がある)。
- 所属の違う者が別の軍制服を着用する事は当然ながら規定違反である。また、除隊者が軍の制服を着用し、尚且つ階級章をつけていた場合は軽犯罪に問われる。
競馬場
馬主席、貴賓(来賓)席では、男性は背広・またはジャケット、ネクタイ、女性もそれに準じたジャケット・フォーマルなドレスの着用が義務付けられている。
またアスコット競馬場で行われるイギリス王室主催開催「ロイヤルアスコット」においての来賓席では厳格な服装規定がある。
- 男性はシルクハットにモーニングコート(黒・グレーのみ)・カッターシャツ・ネクタイ(ボウタイでないもの)、女性も帽子・フォーマルドレス(肩などが露出しないようにしてあるもの)を持参・着用することが義務付けられている(イギリス以外の諸外国から入場する場合は、その入場者本人自身の出身国の民族衣装での来場も認める)。
- 一般の観客も背広・またはジャケットの着用が基本であり、ジーンズやジャージといった比較的ラフな衣装では入場することができないことになっている。
入場規制
宗教施設や社交場、商業施設などへの「服装による入場規制」を「ドレスコード」と呼ぶケースもある。
1990年代、ディスコの入場時にドレスコードを応用した入場制限の方法がマスコミに取り上げられ話題になったこともあった。
詳細は「ドレスコード (ディスコ)」を参照