旋回窓
旋回窓(せんかいまど)は、船舶や鉄道車両などのフロントウインドシールド(主に操縦席前面窓)の表面に付着した水滴や雪などを振り飛ばし、乗員の視界を確保するための装置。
概要
ウインドシールドには円形の穴が開いており、それよりやや径の大きい円形の金属枠で同心に取り付けられた円形の窓を、比較的高い回転数で回転させる構造である。窓の回転にはモーターや圧縮空気が使われ、発生した遠心力で雨水や雪を振り飛ばす。家庭用洗濯機の脱水機構と原理は同じである。
船舶では、海がしけた際に大量の水が窓にかかる場合があり、往復動作のワイパーではその水量に対処できないが、旋回窓であれば連続して視界が確保できることから、特に広範に普及している。乾くと白くなって視界を妨げる塩分が残りにくいメリットもある(ワイパーではウインドウウォッシャー用に大量の清水が必要)。
自動車ではロータリー式除雪車、鉄道車両では雪かき車などに採用例が見られる。ワイパーでは除雪作業中に連続して降りかかる雪煙の払拭が間に合わず、低温下では雪の飛沫がウインドシールド表面に凍結し、湿潤な雪では雪が窓枠に溜まり、ワイパー払拭範囲が狭められ、ワイパーアームやモーターにも無理な力がかかるなど、適していない。
北海道の鉄道車両では、これ以外に、蒸気機関車やディーゼル機関車にも装備されており、少数ではあるが炭鉱鉄道の気動車にも装着例がある。
旋回窓自体とモーターを支持する中央の桟(さん = 枠)は、ほとんどが縦位置(天地方向)であるが、札幌市電のササラ電車や旧羽幌炭礦鉄道の車両のように、水平位置で取り付けられている例もある。
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室内側から見た船舶用旋回窓。
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除雪中のササラ電車。
旋回窓への雪の付着は見られない
関連項目
外部リンク
- 鉄道博物館公式サイト - 展示物として旋回窓も紹介されている。