恐怖の頭脳改革

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恐怖の頭脳改革
エマーソン・レイク&パーマースタジオ・アルバム
リリース
録音 1973年
ジャンル プログレッシブ・ロック
時間
レーベル マンティコア
プロデュース グレッグ・レイク
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 2位(英国・オフィシャルチャート)
  • 11位(米国・ビルボードチャート
  • ゴールドディスク
  • Gold(英国・BPI)
  • Gold(米国・RIAA))
  • エマーソン・レイク&パーマー アルバム 年表
    トリロジー
    (1972)
    恐怖の頭脳改革
    (1973)
    レディース・アンド・ジェントルマン
    (1974)
    テンプレートを表示

    恐怖の頭脳改革(きょうふのずのうかいかく、Brain Salad Surgery)は、エマーソン・レイク・アンド・パーマーアルバム(収録時間は各バージョンによって異なるため、右表は初期盤CDの収録時間)。

    収録曲

    基本的な収録曲

    A面
    1. 聖地エルサレム:Jerusalem
    2. トッカータ:Toccata
    3. スティル...ユー・ターン・ミー・オン:Still...You Turn Me On
    4. 用心棒ベニー:Benny The Bouncer
    5. 悪の教典#9-第一印象パート1:Karn Evil 9: 1st Impression-Part 1
    B面
    1. 悪の教典#9-第一印象パート2:Karn Evil 9: 1st Impression-Part 2
    2. 悪の教典#9-第二印象:Karn Evil 9: 2nd Impression
    3. 悪の教典#9-第三印象:Karn Evil 9: 3rd Impression

    Rhino盤ボーナス(1996)

    1. The Making Of Brain Salad Surgery

    DVD-A盤ボーナス(2000)

    1. Lucky Man

    リマスター盤ボーナス(2001)

    1. Brain Salad Surgery (single ver.)
    2. When the Apple Blossoms Bloom in the Windmills of Your Mind I'll Be Your Valentine (Single)
    3. Excerpts from Brain Salad Surgery (Flexi Disc)

    リマスター盤ボーナス(2007)

    1. Jerusalem(Alternate Mix)
    2. Karn Evil 9 (Instrumental Mix)

    デラックス・エディション(2009)

    VICP-64644~5 Disc-2 ボーナス・ディスク

    1. あなたのバレンタイン
    2. 恐怖の頭脳改革
    3. 悪の教典#9 第4印象 (オリジナル・バッキング・トラック)
    4. 聖地エルサレム (ファースト・ミックス)
    5. スティル…ユー・ターン・ミー・オン (ファースト・ミックス)
    6. トッカータ (オルタナティヴ・ヴァージョン)
    7. 悪の教典#9 第1印象 パート1 (アンリリースド・アンティル・35THアニヴァーサリー・ヴァージョン)
    8. 悪の教典#9 第1印象 パート2 (アンリリースド・アンティル・35THアニヴァーサリー・ヴァージョン)
    9. 悪の教典#9 第2印象 (アンリリースド・アンティル・35THアニヴァーサリー・ヴァージョン)
    10. 悪の教典#9 第3印象 パート1 (アンリリースド・アンティル・35THアニヴァーサリー・ヴァージョン)
    11. 恐怖の頭脳改革 (NME付録ソノシート収録1973)
    12. 「恐怖の頭脳改革」抄録 (NME付録ソノシート収録1973)

    内容

    1973年初頭にELP自身がレコード・レーベル「マンティコア」を設立した。本作は、そのマンティコアから初めてリリースされたELPのアルバムである。前作の『トリロジー』から約1年半ぶりの新作であり、全盛期ELPの最後のスタジオ録音作品でもある。

    それまでELPは、大概は2~3ヶ月でアルバムを仕上げていた。そのため、約半年程度で新作をリリース出来ていたが、本作は9ヶ月かかったと伝えられている。レコーディングの途中でツアーが開始されたり、キース・エマーソンが音楽的に行き詰ったり、といったトラブルに相次いで見舞われたものの、11月の全米ツアーには間に合う形で発売された。

    特徴としては、まず新型のポリフォニック・モーグ・シンセサイザーポリ・モーグの試作品と推定される)を初め、新しい機材が大幅に導入された事。それまでは脚色の範囲でしか使われていなかったシンセサイザーが、作曲/編曲の段階から使用を前提として考えられている事が挙げられる(例えば、アルベルト・ヒナステラピアノ協奏曲第1番終楽章をアレンジした「トッカータ」などは、シンセサイザーの機能があって初めて実現しうる構造になっており、「悪の経典#9」でも、随所にそういった要素が存在する)。

    さらに「悪の経典#9」の一部で、グレッグ・レイクがエレキ・ギターを弾き、本来ならグレッグ・レイクが担当するベース・パートを、キース・エマーソンがシンセサイザーで弾く、という構造が成立している。

    協力者の顔ぶれも豪華である。この年、新たに設立されたマンティコアと契約したピート・シンフィールドが作詞で参加。さらにアルバム・ジャケットは、当時は(世界的には)まだ無名に近かったH・R・ギーガーが原画を担当している。最初に描いた絵ではペニスのようなものが見えたため、見えないように修正依頼したことを、Rhino版CDのインタビューでエマーソンが笑いながら話している。ちなみに原題の「Brain Salad Surgery」というのは「非常に性的な意味を含んだスラング」のことである、とキース・エマーソンが語っていて、その性的な意味とはフェラチオであるとされる。(英語版などに画像あり。) 2005年11月5日に、このアルバムの原画二枚がプラハ(チェコ)で開催されたギーガーの個展で盗難に遭い、それ以来行方不明となっている。現在も尚ギーガーの公式サイトでは情報を募ると共に、発見者に対して懸賞金を提示している。

    また、以後定番になる、疑問符(クェスチョン・マーク)を象ったELPロゴが初めてジャケットに使われたアルバムでもある。

    なお、録音エンジニアは、前作までエディ・オフォードだったが、本作からはジェフ・ヤングとクリス・キムジィに交代している。

    評価

    イギリスでは最高2位(1位はイエスの海洋地形学の物語)、アメリカでは最高11位まで上昇している。ELPの最高傑作に挙げられることもあるが、セールス的にはそれほど大きな成功は得られなかった。新装盤やリマスター盤が発売される頻度も高く、ELPのスタジオ作品の中でDVDオーディオ盤が出ているのも本作だけである。

    DVD-AUDIO盤

    2000年に、RhinoからDVD-AUDIO盤がリリースされている。オリジナルのマルチ・テープから5.1chにリミックスされ、96kHz/24bitでサンプリング収録されている。音質も音場効果も非常に優れているが、音響システムを選ぶ傾向があり、よほど優れたオーディオ・サラウンド・システムで無い限り、バランスの良い再生音が得られない。

    脚注