宿場
宿場(しゅくば)とは、主に江戸時代、五街道や脇往還において駅逓事務を取扱う為設定された町場をいう。宿駅ともいい、古代、奈良時代・平安時代から駅馬・伝馬の制度によって整備されていった。
また、宿場を中心に形成された町を宿場町(しゅくばまち)と呼ぶ。
歴史
近世の宿場の整備は徳川家康によって関ヶ原の合戦後に始められ、先ず東海道、続いて中山道と順次進められていった。東海道では、1601年(慶長6)に品川から大津迄を53駅と定め、ここに東海道五十三次が始まった。しかし、全部が一度に設置された訳ではなく、順次整備されて最後に庄野宿が出来たのは、1624年(寛文元)だった。 宿場では公用人馬継立ての為定められた人馬を常備し、不足の時には助郷を徴するようになった。また、公武の宿泊、休憩の為問屋場、本陣、脇本陣などが置かれた。これらの公用の為の労役、業務については利益を上げる事は難しかったが、幕府は地子免許、各種給米の支給、拝借金貸与等種々の特典を与えるこ事よって、宿場の保護育成に努めた。他に一般旅行者を対象とする旅籠、木賃宿、茶屋、商店等が立並び、その宿泊、通行、荷物輸送等で利益を上げた。また、高札場も設けられていた。 明治時代以降、鉄道開通等によって交通事情が変わってくると通行する人も少なくなり、衰微していった。
宿場の諸施設
- 問屋場 - 人馬の継立、助郷賦課等の業務を行った。
- 本陣 - 武士や公家用が宿泊・休憩をした。商業的な宿泊施設ではなく、その地の有力旧家の邸宅が本陣として指定される事が多かった。
- 脇本陣 - 本陣に次ぐ武士や公家の宿泊施設だが、空いている時は一般旅行者も泊めた。
- 旅籠 - 一般旅行者用の食事付き宿泊施設。
- 木賃宿 - 一般旅行者用の自炊宿泊施設。
- 茶屋 - 旅人向けの休憩場で、お茶、一膳飯、お酒などを売っている店。
- 商店 - 旅人向けに商いをする店。
- 高札場 - 幕府からの禁制や通達事項などを標した高札を掲げた場所。
- 枡形(ますがた) - 宿場の両端の街道をクランク状に曲げた場所。もともとは有事の際に敵を迎え撃つための設備である。
- 木戸 - 宿場の端(見附付近)に設けられ、木戸と木戸の間(見附と見附の間)が宿場町とされた。木戸の他に常夜灯が設置されている場合もあった。また殆どの場合、夜間は防犯等の目的で閉鎖されていた。
著名な宿場
- 国選定重要伝統的建造物群保存地区
- 旧因幡街道 平福宿 (兵庫県佐用郡佐用町)
- 旧因幡街道 大原宿 (岡山県美作市)
- 旧因幡街道 智頭宿 (鳥取県八頭郡智頭町)
- 旧若桜街道 若桜宿 (鳥取県八頭郡若桜町)
- 旧東海道 石部宿場の里 (石部宿の復元)(滋賀県湖南市)
- 旧室津街道 室津 (海の宿駅)(兵庫県たつの市)
ギャラリー
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野田尻宿
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犬目宿
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海野宿
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奈良井宿
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妻籠宿
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関宿
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熊川宿
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平福宿
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大原宿
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智頭宿
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室津