円盤戦争バンキッド

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円盤戦争バンキッド』(えんばんせんそうバンキッド)は、1976年(昭和51年)10月3日から1977年(昭和52年)3月27日まで日本テレビ系で毎週日曜日18:30 - 19:00に全26話が放送された、東宝製作の特撮テレビ番組

概要

当時話題だった空飛ぶ円盤をテーマに、地球を攻撃するブキミ星人とバンキッドの戦いを描く。

5人組みの集団ヒーローという設定は『秘密戦隊ゴレンジャー』からの影響を受けている一方で、メンバーが子供だったり、敵勢力が侵略対象を子供に限定して攻撃する、同じ色のヒーローがいるなどの独自の設定も含んでおり、最終回も他作品とは一線を画すものになっている。毎回のラストは場面が暗転し、主人公である天馬昇が視聴者に話しかけて終わるという独特の構成を取っていた。1977年1月2日放送の第14話では番組冒頭でバンキッドの5人が新年の挨拶を行っている。

玩具メーカーのタカトクトイスがスポンサーであり、同社製品の「沈没ゲーム」が秘密基地への扉を開ける道具として使用されていた。

奥田英二が主人公を演じてデビューしたがその後しばらくは役に恵まれず、不遇の時代を過ごした。本人の公式サイトでは、1979年の主演映画と『もっとしなやかに、もっとしたたかに』がデビュー作とされ、本作に主演したことはプロフィールから抹消されている。これは奥田本人の意向ではなく事務所の方針である。

第6話以降のブキミ星人をデザインした成田亨は、ウルトラマンウルトラセブンのデザインを担当していたことでも知られる。毎回登場する奇抜な容姿のブキミ星人のデザインは、いわば成田の独擅場でもあった。

本枠で特撮が放送されるのは、円谷プロ制作の『ファイヤーマン』の第12話以来(第13話以降は火曜19時枠で放送)3年振りだが、裏番組が『サザエさん』(フジテレビ系)だったため、半年で終了。なお、『ファイヤーマン』も本作と同様に打ち切りとなっている。当番組は、奥田瑛二が『男女7人夏物語』(TBS系)で人気を上げたころから知られるようになった。

また、本作以降、東宝の特撮番組では、キャラクターデザインのモチーフに星座や神話を取り入れることが多くなった。

ストーリー

地球への移住を画策するブキミ星人たちは、20年後に開始される移住計画の障害となる子供たちを狙った侵略活動を開始した。

それに気づいた宇崎博士は、5人の少年少女から成る少年円盤遊撃隊・バンキッドを組織した。地球を守るための戦いは今日も密かに繰り広げられているのだ。

スタッフ

  • 原案:高橋薫明
  • プロデューサー:安田暉、高橋昭男、野口光一、滝沢健夫
  • 監督:金谷稔、日高武治、野長瀬三摩地
  • 脚本:長坂秀佳、加瀬高之、やなせひかる
  • 特技監督:真野田陽一
  • ブキミ星人デザイン:木目憲悟(第1 - 5話)、成田亨(第6話以降・EDクレジット表記は「協力」)
  • 音楽:広瀬健次郎

楽曲

オープニングテーマ

エンディングテーマ

  • 『夢の友情飛行』
    • 作詞:能丸武
    • 作曲:広瀬健次郎
    • 歌:天馬昇三、荒川少年少女合唱隊

OP・EDを歌っている「天馬昇三」は奥田英二の変名だと言われているが、後番組の『小さなスーパーマン ガンバロン』の挿入歌「レッツ・ゴー!ダイバロン」も歌っており、2007年にCD化されたガンバロンのサントラのライナーノーツによれば、「当時、東京芸大の声楽科に在籍していた人物」とのこと。EDの歌詞は宇宙人との友好を描いており、物語の結末を暗示させている。

挿入曲

  • 『正義の星バンキッド』
    • 歌:天馬昇三
  • 『謎めく宇宙』
  • 『バンキッド行進曲』
    • 歌:荒川少年少女合唱隊
  • 『まかせてください僕たちに』
    • 歌:荒川少年少女合唱隊

登場人物・キャスト

バンキッドとその家族

ブキミ星人の襲来を知った宇崎博士が編成した少年円盤遊撃隊。それぞれの額部分に黄色い星があり、星の数はそれぞれ異なる。ペガサスは両手を頭の上で交差させて「バンキッド・チェンジ!」の掛け声で、ペガサス以外の4人は両手を胸の前で交差させて「バンキッド・ゴー!」の掛け声で変身する。それぞれのメンバーは日常会話でも互いのことをバンキッドでの名前で呼んでいた。

天馬昇(てんま のぼる)/バンキッドペガサス:奥田英二
バンキッドのリーダーでスポーツ万能の山男。星は1個で、スーツの色はと白。鉄腕十字星という必殺技を持ち、腕の構えは『ウルトラマン』のスペシウム光線と同一である。普段は竜一と純二の家庭教師として宇崎家に出入りしている。あだ名は「ペガさん」。
宇崎竜一(うざき りゅういち)/バンキッドドラゴン:田鍋友啓
バンキッドのサブリーダーで水泳が得意。星は2個で、スーツの色は。部屋の壁に「沈没ゲーム」がかけられており、これを回転させることで畳の下に隠されている暗号解読装置を起動させる。部屋の地下にはバンキッドマザーの格納庫もある。弟・純二をからかうことが多いが本当は弟思いであり、弟に危害を加える者を許さない。
宇崎純二(うざき じゅんじ)/バンキッドラビット:辻辰行
竜一の弟ですばしっこさを身上とする最年少のメンバー。星は5個で、スーツの色はドラゴンと同じく黄。メンバーから「ラビ」と略して呼ばれる。
牛島二郎(うしじま じろう)/バンキッドオックス:梅津昭典
竜一の同級生でメンバー1の力自慢。星は3個で、スーツの色は。宇崎兄弟との連携攻撃が多い。みどり(演:中島朋子)という幼稚園児の妹がいる。
白鳥ほのか(しらとり -)/バンキッドスワン:鈴木美江
竜一の同級生でジャンプが得意なバンキッドの紅一点。星は4個。スワンとなっているが、スーツの色はではなく薄いピンク。情報解析を担当しており、出撃時には巌から送られてくる暗号の解読をするほか、電卓型のブキミ星人探知機を携帯する。スワンジャンプという跳躍及び跳び蹴りの技を持つ。なお、彼女の父親(演:曽我廼家一二三)は宇崎博彦の会社の専務を務めている。
宇崎博彦(うざき ひろひこ):柳生博
宇崎兄弟の父で婿養子。子供たちがバンキッドであることを全く知らないため、家の八木・宇田アンテナが回転するのを目撃して大騒ぎするシーンが毎回のお約束である。殆ど触れられていないが職業は会社員である。
宇崎とき枝(うざき ときえ):塩沢とき
宇崎兄弟の母にして、宇崎博士の実の娘。子供たちがバンキッドであることを知らないため、いつも父や子供たちの行動を怪しく思っている。時折目撃する特殊装備(小型探知機やコンソールなど)は巌が買い与えた「おもちゃ」だと思っている。
宇崎巌(うざき いわお):下條正巳
宇崎兄弟の祖父。見た目は平凡ながらも飄々とした隠居姿のお爺さんだが、実は優れた宇宙科学者。ただ一人、ブキミ星人の侵略を察し、バンキッドを組織した。バンキッドのメンバーからは「ご隠居」と呼ばれている。茶道が趣味で、書斎には囲炉裏があるが、囲炉裏の外枠にはレーダー起動装置(家のアンテナがレーダーになっており、起動時に回転する)と暗号送信装置が組み込まれており、茶釜の内部はレーダーのモニターとなっている。

ブキミ星人

母星が20年後に滅亡するため、地球を征服して移住しようと企む侵略宇宙人。そのために将来、確実に邪魔になるであろう存在となる子供を狙った作戦を遂行する。なおグザレ司令は地球侵略の先発隊司令官であり、彼を操る黒幕(首領)については不明である。また、一部の者は人間に擬態する事も出来る。誰か特定の人物に成り切る事も可能で、親しい間柄の者でも見破る事が出来ないが、植物に触れると瞬時に枯れてしまい、飼い犬などは脅えて吠え立てるので正体がバレる。

グザレ司令:平田昭彦/声:小林清志(~第25話)
ブキミ星人を率いる司令官。作戦に失敗した部下を空中からの雷撃で粛清する冷酷な性格だが、その陰には、確実に滅亡するブキミ星の民を(どんな非道な手段を使ってでも)救いたいという悲痛な想いがあった。最終回でその姿を現し、なおかつ意外な行動に出る。なお、最終回は演じた平田本人が声を務めている。
士官
ブキミ星人の行動隊長、ヒーロー番組の所謂「怪人」に相当する。出身星が違うのか、特化した改造を受けているのか、同一の民族とは思えない、様々な姿をしている。当時、実際に世界各地で目撃報告があった「空飛ぶ円盤」で飛来し侵略作戦を展開する。
兵士
士官の命令で作戦を遂行する、所謂「戦闘員」。全身真っ黒なボディースーツ(タイツ)を着込み、目、鼻、口に相当する器官は見えないが、耳と一体化した帽子状の脳の様な部分が露出しており、これを引き抜かれるとドロドロに溶けて死に、黒いスーツだけが残る。粗野で暴力的である反面、簡単な作業にも失敗する描写があり、極端に理解力が低く不器用、または人工生命であると思われる。
ベルーヌ:今井美佐子
第25話と最終回に登場した作中唯一の女性のブキミ星人。第15話に登場したエヌバル少将(何故かナレーションでは「中尉」)の妹。由美という名でバンキッドに近づいたが、バンキッドに命を助けられた事とグザレによる処刑を目の当たりにしたのをきっかけに使命に対して揺らいでいく。最終回ではグザレの偽命令でバンキッドを戦わせてしまった後、彼らをグザレと引き合わせる。その際、グザレから「ブキミ星の掟を破った。掟通り地球に残るのだ」と告げられ、見逃される。「宇崎家に来て欲しい」というバンキッドの願いを敢えて断り、「地球の片隅でひっそりと生きていく」と告げてバンキッドの前から姿を消した。EDテロップでは「今井美代子」と誤表記されていた。

その他

ナレーター:黒沢良

メカニック

バンキッドマザー
バンキッドが乗る合体戦闘機。宇崎巌博士が建造した。エースファイター、ベビーファイター3機、シスターファイターに分離できる。
エースファイター
ペガサスが操縦する小型戦闘機。バンキッドマザーの機首になる。
ベビーファイター
ドラゴン、ラビット、オックスが乗る3機の小型戦闘機。バンキッドマザーの主翼と尾翼に接続されている。
シスターファイター
スワンが操縦する中型戦闘機。バンキッドマザーはこのシスターファイターを中心核にして合体・完成する。
強化服
バンキッドのメンバーがブキミ星人との格闘時に着用する。ペガサスの「バンキッド・チェンジ!」の掛け声でメンバーが「バンキッド・ゴー!」と唱和し着用(変身)する。恐らく、巌が造ったと思われるが、劇中正式名称や能力の説明等は特に無かった。力や跳躍力はかなり強化されるらしい描写がある。
バンキッドガン
強化服のベルトのホルスターに収納されている。使用される事はほとんど無い。ベルーヌが想像したエヌバル少佐の倒されるシーンでペガサスがエヌバルに止めを刺すのに使っていた。飽くまでベルーヌの想像であり、実際に敵を倒すのに使用される事は無かった。「バンキッドガン」の名称は当時販売されたタカトクの合金から。
個々の携行武器
ドラゴンのヌンチャク、スワンのスワンジャンプに使う高飛び用の棒、ラビットのパチンコ等。劇中印象的に使われはするが、アップなる等明確な描写も無く、名称等も不明
ブキミブラッカー
ブキミ星人の侵略先発隊の基地でもある円盤母艦。横から見れば葉巻状の形ではあるが、実際はイトマキエイを模したような形状。さまざまな円盤を格納しているが、実際の大きさなどスペックは不明。
円盤
各隊長が使用する攻撃用円盤。当時、実際に目撃された「空飛ぶ円盤」をモチーフにしており、毎回登場時に、何時、何処で目撃されたのかを説明するナレーションが入った。

放送リスト

  • ブキミ星人の名前はアルファベットをもじったものに階級を付けるというパターンでほぼ統一されており、基本的に話数が進むにつれて順番がAに向かってさかのぼっていき、階級も上がる。
話数 放送日 サブタイトル 登場怪人
1 1976年10月3日 エンバン編隊“13”の謎
2 1976年10月10日 モングッチ型落雷の謎
3 1976年10月17日 ハマキ型母船出現の謎
4 1976年10月24日 バラウナ型誘拐事件の謎
5 1976年10月31日 テルーン型宇宙記号の謎
6 1976年11月7日 アダムスキー型消滅の謎
  • ダブリュス中尉(声:沢りつお)
7 1976年11月14日 アベック型蒸発光線の謎
8 1976年11月21日 ボール型落下物の謎
9 1976年11月28日 二重型吸水パイプの謎
10 1976年12月5日 にせものは誰だ!
11 1976年12月12日 ラビよ自信を持て!!
  • オーダコフ大尉(声:市川治)
12 1976年12月19日 おヘソを狙う宇宙人
13 1976年12月26日 名犬オックス危機一髪
14 1977年1月2日 スワンの正月大騒動
  • キューガ大佐(声:梶哲也)
15 1977年1月9日 暴走宇宙人エヌーピィ
  • エヌーピィ軍曹(演:金子吉延
  • エヌバル少佐(声:辻村真人)
16 1977年1月16日 罠にかかった兄弟飛行
  • ケイタボ少佐(声:沢りつお)
17 1977年1月23日 音楽バクダン青黄赤!
18 1977年1月30日 ブキミ会議をぶっ壊せ
  • アイビルン大尉(声:朝戸鉄也)
19 1977年2月6日 パパの変身·SOS!
  • エイッチドバ中佐(声:山下啓介)
20 1977年2月13日 ママがブキミ星人に?
  • ジードウ中佐(声:辻村真人)
21 1977年2月20日 よわむし父さん大活躍
  • エフゾロ中佐(声:市川治)
22 1977年2月27日 ママの魔女にご用心!
23 1977年3月6日 ヘンね、パパの超能力
  • ディーゲル大佐(声:沢りつお)
24 1977年3月13日 危し! 隠居の誕生日
25 1977年3月20日 来るなら来い! グザレ
  • ビイゴメス少将(声:池水通洋)
  • ベルーヌ
26 1977年3月27日 さらば、バンキッド
  • エーガリン中将(声:梶哲也)
  • ベルーヌ
  • グザレ司令

劇場版

『円盤戦争バンキッド』
1977年東宝チャンピオンまつりで公開された。第4話「バラウナ型誘拐事件の謎」の再映版。

その他

ほかの変身ヒーロー作品と異なり、序盤では変身後の各キャラクターは変身前の役者たちがそのまま演じていた。主演の奥田瑛二によれば「スタッフには吹き替えの役者さんを使うというアイディアがなかった」。そのため、途中から吹き替えのアクターが起用されるようになるまではアクションなどで苦労があったという。実際に作品を製作した東宝の子会社である日本映画新社は記録映画の製作が本来の業務であり、ドラマ、しかも高度で特殊な撮影技法が必要とされる特撮アクション映画に対する技術と経験が全くなかった。さらに同社のスタッフたちが特撮番組を製作することに対し偏見を持っていたことが致命的となった。

奥田はかつてテレビ番組で、主演だったことから喜びもあり、また誇りも持っていたが、その後の仕事の際には「所詮ジャリ番」と鼻で笑われとても悔しかったこと、人気番組にできなかったのは自分の力不足であり、残念に思っていることなどを語った。

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