公正取引
この記事は中立的な観点に基づく疑問が提出されているか、議論中です。(2010年3月) |
公正取引(こうせいとりひき、英: Fair trade、仏: Commerce équitable、西: Comercio justo、フェアトレード、公平貿易)は、発展途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することを通じ、立場の弱い途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す運動である。オルタナティブ・トレード(Alternative Trade)とも言う。連帯経済の一翼を担う活動でもある。「公正取引」という表現は政府との関係がある組織(例:公正取引委員会)にも使われているので、誤解対策のために「適正な報酬での取引」という交代表現も使われている。
概要
国際的な貧困対策、環境保護を目的としアジア、アフリカ、中南米などの発展途上国から先進国への輸出において、こうした取引形態が採用される場合がある。主な品目としてコーヒー、バナナ、カカオのような食品、手工芸品、衣服がある。
需要や市場価格の変動によって生産者が不当に安い価格で買い叩かれ、あるいは恒常的な低賃金労働者が発生することを防ぎまた児童労働や貧困による乱開発という形での環境破壊を防ぐことを目的としている。最終的には生産者・労働者の権利や知識、技術の向上による自立を目指す。
考え方
国際貿易における先進国と途上国の公平さを図り立場の弱い途上国の生産者・労働者により良い取引状況を提供し、彼らの権利を強化することで持続可能な開発が実現できるように貢献する。また、従来の国際貿易の規則と実態を変化させるために働きかける。
- フェアトレードは以下の戦略を持っている[要出典]。
- 取り残された生産者と労働者を助けるため共に働き、脆弱な立場を経済的に持続可能で経済社会発展が可能なように支える。
- 利害関係者としてフェアトレード機構は生産者と労働者に権限を与えようとする。
- 国際競争市場で公平さを達成するために広い役割を果たす。
フェアトレードの支持者のなかには、次のような意見を持つ者もいる[要出典]。
- 仲買人や国際的な流通業者が不当な利益を得ており、そのために途上国の生産者や労働者が搾取されている。
- 途上国の商品を先進国に輸出する際、最高400%以上の関税がかかる国や分野があり途上国がこの関税障壁に費やす費用は年間1,000億米ドルに達する。
- さらに商品価格の激しい変動により途上国の生産者は生産のためにかかった経費、労働力、環境負荷、再生産コストに見合わない市場価格で商品を売らざるを得ない場合が多く、生産者は生活に必要な賃金が保証されない。
歴史
第二次世界大戦後の東欧の経済復興のため手工業品の輸入を行ったのがフェアトレードの考えの始まりと言われる。1960年代に経済的、社会的に立場の弱い生産者に対して通常の国際市場価格よりも高めに設定した価格で継続的に農産物や手工芸品などを取引し、発展途上国の自立を促すという運動としてヨーロッパから始まった。イギリスのトレードクラフトやドイツのゲパのような団体が生まれた。
その後、フェアトレードの考えに共感した流通ビジネスを巻き込みより一般市場向けの製品の販売を始めた。また、フェアトレード認証マークも生まれた。現在、イギリスやカナダを中心とした欧米ではフェアトレード認証製品の販売や利用を促進している街を認定する「フェアトレード・タウン」制度が広がっているほか、スターバックスに代表されるような一般の企業も参入している。
日本のフェアトレードは、1986年に株式会社プレス・オルターナティブの「第3世界ショップ」に始まる。1989年にオルター・トレード・ジャパン(ATJ)が設立され、主として生協内でフェアトレードを広げた。1990年代にはいくつもの団体が生まれ、日本各地でフェアトレードショップができた。2000年代に入り2002年にスターバックスコーヒーの販売を始めたことを筆頭に、2003年にイオンがコーヒーの販売を始めるなど特にコーヒー製品で大手企業が参入している。
関連文献
- マイケル・バラット ブラウン、青山薫、市橋秀夫 『フェア・トレード ― 公正なる貿易を求めて』(新評論、1998/04) ISBN 4-7948-0400-8
- オックスファムインターナショナル、渡辺龍也訳 『貧富・公正貿易・NGO ― WTO に挑む国際 NGO オックスファムの戦略』(新評論、2006/03) ISBN 4-7948-0685-X
- オックスファムインターナショナル、村田武・日本フェアトレード委員会訳 『コーヒー危機 ― 作られる貧困』(筑波書房、2003/11) ISBN 4-8119-0238-6
- 村田武 『コーヒーとフェアトレード(筑波書房ブックレット ― 暮らしのなかの食と農)』 (筑波書房、2005/01) ISBN 4-8119-0275-0
- デイヴィッド ランサム、市橋秀夫 『フェア・トレードとは何か』(青土社、2004/11) ISBN 4-7917-6151-0
- マイルズ・リトヴィーノフ、ジョン・メイドリー(著)、市橋秀夫(翻訳) 『フェアトレードで買う50の理由』(青土社, 2007/11) ISBN 4-7917-6379-3
- ニコ・ローツェン、フランツ・ヴァン・デル・ホフ(著)、永田千奈(翻訳) 『フェアトレードの冒険 草の根グローバリズムが世界を変える』(日経BP社、2007/11) ISBN 4-8222-4624-8
- ジョセフ・スティグリッツ、アンドリュー・チャールトン(著)、高遠裕子(翻訳) 『フェアトレード ― 格差を生まない経済システム』(日本経済新聞出版社、2007/03) ISBN 4-532-35251-7
- FLO編、フェアトレード・リソースセンター(翻訳) 『これでわかるフェアトレードハンドブック ― 世界を幸せにするしくみ』(合同出版、2008/06) ISBN 4-7726-0421-9
- 長尾弥生 『フェアトレードの時代』(コープ出版、2008/4) ISBN 4-87332-267-7
- 清水正 『世界に広がるフェアトレード ― このチョコレートが安心な理由 ―(創成社新書(26))』(創成社、2008/6) ISBN 4-7944-5026-5
- 長坂寿久(編) 『日本のフェアトレード ― 世界を変える希望の貿易』(明石書店、2008/05) ISBN 4-7503-2793-X
- ジャン=ピエール・ボリス、林昌宏(訳) 『コーヒー、カカオ、コメ、綿花、コショウの暗黒物語』(作品社、2005/11)
関連項目
外部リンク
フェアトレードの主張
国際的なフェアトレード組織
- IFAT:International Fair Trade Association
- EFTA: European Fair Trade Association
- FLO:Fairtrade Labelling Organizations International
- NEWS!:Network of European Worldshops
フェアトレード商品のラベルを管理する組織
オルタナティブ・トレード・オーガニゼーション(ATOs)
- Oxfam - Fair Trade
- Global Exchange
- Traidcraft
- Ten Thousand Villages
- Trade Aid
- Lutheran World Relief - Fair Trade
- World of Good: Development Organization