三つのジャポニスム

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三つのジャポニスム』(みっつのじゃぽにすむフランス語: Les Trois Notes du Japon)は、2001年真島俊夫が発表した吹奏楽曲である。東京佼成ウインドオーケストラの委嘱作品である。「鶴が舞う」「雪の川」「祭り」の3作品によって構成され、演奏時間は、約16分。日本的な題材を西洋的技法で表現している。

「ジャポニム(スが濁音)」と発音されることもあるが、正確には、フランス語に基づくジャポニスム(スに濁点がつかない)である。

概要[編集]

2001年4月27日東京文化会館大ホールで開催された東京佼成ウインドオーケストラ第68回定期演奏会において、常任指揮者ダグラス・ボストックの指揮により初演された。ボストックは同年5月にドイツスイスでも演奏している。2003年スウェーデンヨンショーピングで開催された第11回世界吹奏楽大会(WASBE)とオーストリアシュラドミングのミッド・ヨーロッパ音楽祭で神奈川大学吹奏楽部により演奏され、今までとは違う日本的テイストを持つ曲として高い評価を得た。

演奏には高度な技術が必要とされるが、人気がある吹奏楽作品であり、全日本吹奏楽コンクールの自由曲やコンサートにおいて中学生高校生が演奏することもある。

タイトルの語感から、作曲者は曲名と各楽章名の欧文表記もフランス語にしている。

作曲者自身によって管弦楽のために編曲され、2010年1月11日オーチャードホールで開催された「渋谷ブラスフェスタ」で、渡邊一正指揮の東京フィルハーモニー交響楽団により初演された。

曲の構成[編集]

「鶴が舞う」「雪の川」「祭り」の3曲で構成される。全曲の演奏時間は、約18分である。全日本吹奏楽コンクールでは、演奏時間の上限という制約のため各団体ならではの編集(カット)がなされる。また、作曲者自身によって約7分30秒の演奏時間に再編集された「三つのジャポニスム コンポーザーズ・エディション」も発売されている。

  1. 鶴が舞う(La Danse des Grues
    丹頂鶴の求愛ダンスを吹奏楽で可憐に表現している。鶴が舞う場面には、うちわの紙を外し2つをたたき合わせ表現される。ピッコロオーボエソプラノサックスなどのソロがある。また途中、鶴の羽ばたきと鳴き声の描写が入る。
  2. 雪の川(La Rivière Enneigée
    冬の渓谷を静かに流れる川に、雪がしんしんと降り続ける墨絵のような光景を描写している。川が流れる音には、高さの異なる竹の筒をウィンドチャイムの吊るし棒に糸で垂らし、手で揺すり表現される。コーラングレソプラノサックスフルートのソロがある。
  3. 祭り(La Fête du Feu
    日本の夏に行われる情熱的な踊りや祭を表現している。途中、入道雲のある夏の空を描写した部分がある。また、ねぶたのリズムが使われている。クラリネットフルート銅鑼ティンパニのソロがある。 

出版[編集]

アトリエエムより楽譜が販売されている。

関連項目[編集]

脚注[編集]

注釈・出典[編集]

外部リンク[編集]