ラクダ科
ラクダ科 | ||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
フタコブラクダ
| ||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||
|
ラクダ科( - か)は、哺乳類・偶蹄目(ウシ目)の生物分類単位。世界各地で家畜として利用されるラクダやラマなどが含まれる。
哺乳類の赤血球は無核で丸く、鳥類や爬虫類の赤血球は核があり楕円形なのが普通であるが、哺乳類の中でもラクダ科の動物だけは無核で楕円形をした赤血球を持っている。また、他の哺乳類とは異なり、重鎖だけで構成されるサイズの小さな抗体(ナノ抗体)を持つことが知られている[1][2]。
ラクダ科の生物の進化
ラクダ科の生物の現在の分布は、過去の分布とは全く異なっている。ラクダ科の生物は約4500万年前、始新世後期、偶蹄目の進化のごく初期に現在の北アメリカ大陸に現れた。ラクダ科に近縁の、最も古いラクダ亜目の生物にはウサギほどの大きさのプロティロプスがおり、四肢に4本の指を持っていた。漸新世までには側指が失われ、ヤギほどの大きさのポエブロテリウムなどが現れた[3][4]。
その後ラクダ科の生物は北アメリカ大陸で分化を続けた。2〜300万年前ごろにはラクダ科の生物が初めてアジアに現れ、パナマ地峡の形成とともに南アメリカ大陸にも移動した。北アメリカ大陸のラクダの仲間は、最初のヒトが移住するのと同時に姿を消した。絶滅の理由は狩り尽くされたためとも環境の変化に適応できなかったためとも考えられる。ユーラシアではラクダ属の生物が分化を続け、南アメリカでは互いに近縁の4種、ラマ、アルパカ、グアナコ、ビクーニャが生き残った。
化石種の生物は、現存するラクダ科の生物よりもはるかに多様な形態を持っていた。北アメリカのティタノティロプスは肩までの体高が3.5mもあり、最高でも2mほどの現在のラクダよりもはるかに大きかった。ステノミルスはガゼルのように華奢な生物で、蹄を持っていた。アエピカメルスやオキシダクティルスは木の葉を食べるのに適したキリンのような背の高い生物だった[3]。
ヒトコブラクダとラマの間には人工授精によって属間雑種ができ、キャマ(カマ)と呼ばれる。
ラクダ亜目の分類
「†」は絶滅した系統を示す。
- ラクダ亜目
- †Agriochoeridae†
- †オレオドント科 Merycoidodontidae†
- †カイノテリウム科 Cainotheriidae†
- †クシフォドン科 Xiphodontidae
- †プロトケラス科 Protoceratidae
- †オロメリクス科 Oromerycidae
- †プロティロプス属 Protylopus
- ラクダ科 Camelidae
- †ポエブロドン亜科 Poebrodontinae
- †ポエブロテリウム亜科 Poebrotheriinae
- †ポエブロテリウム属 Poebrotherium
- †ミオラビス亜科 Miolabinae
- †ステノミルス亜科 Stenomylidae
- †ステノミルス属 Stenomylus
- †フロリダトラグルス亜科 Floridatragulinae
- ラクダ亜科 Camelinae
- †カメロプス属 Camelops
- †プロカメルス属 Procamelus
- †アエピカメルス属 Aepycamelus
- †ティタノティロプス属 Titanotylopus
- †オキシダクティルス属 Oxydactylus
- ラクダ属 Camelus
- ヴィクーニャ属 Vicugna
- ラマ属 Lama
現存するラクダ科の系統樹
ラクダ科の祖先 | 北アメリカ
1200-2500万年前 |
ラマ類 | 1040万年前 | 640万年前 | 140万年前 | ラマ | 南アメリカ |
グアナコ | |||||||
ヴィクーニャ | |||||||
アルパカ | |||||||
ラクダ類 | 800万年前 | フタコブラクダ | アジア | ||||
ヒトコブラクダ | アジア、アフリカ |
ギャラリー
-
アエピカメルス
-
ヴィクーニャ
-
オキシダクティルス
-
カイノテリウムの頭骨化石
-
カメロプス
-
ヒトコブラクダ
-
ポエブロテリウムの化石
-
ラマ
脚注
- ^ Hamers-Casterman, C. et al., " Naturally occurring antibodies devoid of light chains", Nature 363, 446−448 (1993) doi:10.1038/363446a0
- ^ W.W.ギブズ, 「開発進むナノ抗体医薬」, 日経サイエンス 2006年1月号
- ^ a b Savage, RJG, & Long, MR (1986). Mammal Evolution: an illustrated guide. New York: Facts on File. pp. 216-221. ISBN 0-8160-1194-X
- ^ Palmer, D., ed (1999). The Marshall Illustrated Encyclopedia of Dinosaurs and Prehistoric Animals. London: Marshall Editions. pp. 274-277. ISBN 1-84028-152-9