ピアノソナタ第11番 (シューベルト)

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フランツ・シューベルトピアノソナタ第11番ヘ短調ドイッチュ番号:D625)は1818年の作品。未完成であり、死後の1897年ブライトコプフ・ウント・ヘルテル社から出版されている。

作曲者の常として緩徐楽章は完成されており、第1楽章と第3楽章は未完成である。後年エルヴィン・ラッツ(ユニヴァーサル版)、パウル・バドゥラ=スコダ(ヘンレ版)、マッシモ・ティリモ(ウィーン原典版)らにより補筆が行われているが、研究者によってホ長調の楽章を第3楽章として加えて4楽章構成にするか、3楽章のままでよいのか見解が分かれている。

またD625の番号がついた作品はピアノソナタ第12番と解する場合もあり、整理が統一されていない。

曲の構成

  • 第1楽章 Allegro ヘ短調 4/4拍子
ソナタ形式の予定であったと考えられている。
ヘ短調はベートーヴェンの大作(第23番)にも使われる調であるが、左手の音型は8分音符4拍目・8拍目を省くなど作曲者の特徴を出す苦心が表れている。
第2主題は3連符の和声が美しい。中間部は3連符のユニゾンベートーヴェンの協奏曲第3番に展開が類似している。展開部以下は未完。
物静かな中に3連符の動きを持つ作品。トリオでは遠隔調イ長調に転じる。演奏は簡単ながら転調の効果もあるすぐれた楽章になっている。
  • 第3楽章 Allegro ヘ短調 4/2拍子
ヘ短調にもどり、ユニゾンによる分散和音の主題が力強い。ショパンの葬送ソナタ最終楽章のようであるが、作曲者とショパンとの関係はないうえ、すぐに和声的書法になる。第2主題にはショパン作品にはない落ち着いた旋律を見せる。展開部以降は未完。

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