デニス・ボーヴェル
デニス・ボーヴェル MBE | |
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2015年 | |
基本情報 | |
出生名 | Dennis Bovell |
別名 |
ブラックベアード デニス・マトゥンビ |
生誕 | 1953年5月 |
出身地 |
バルバドス セント・ピーター教区 |
ジャンル |
ダブ ラヴァーズ・ロック レゲエ |
職業 | ミュージシャン、音楽プロデューサー、マルチプレイヤー、音楽エンジニア |
担当楽器 | ベース (弦楽器)、ギター他 |
活動期間 | 1968年 - |
レーベル | LKJ Records |
共同作業者 |
ザ・ダブ・バンド マトゥンビ リントン・クウェシ・ジョンソン ザ・4thストリート・オーケストラ |
デニス・ボーヴェル(Dennis Bovell, MBE、1953年5月 - )は、バルバドス出身のミュージシャン、マルチプレイヤー(ギター、ベース他)、音楽プロデューサー、音楽エンジニア。レゲエバンド・マトゥンビ (en:Matumbi) のリーダーであり[1]、ブラックベアード (Blackbeard) という別名義でも活動している[2] 。2021年、大英帝国勲章(MBE)叙勲。
来歴
[編集]1953年5月、バルバドスのセント・ピーター教区においてセブンスデー・アドベンティストの家庭に生まれる[3]。12歳のとき家族とともにイギリスのサウスロンドンに移住する。そこでボーヴェルはジミ・ヘンドリックスなどアフロ・ロックに影響を受け、ギターを始める[3]。その後ジャマイカの文化、特にダブに没頭するようになり、1970年にサファラーズ・ハイファイというサウンドシステムを設立する[4][5]。このサウンドシステムの運営中、警察とトラブルが起こり、ボーヴェルは逮捕され6ヶ月間拘留されるが、後に釈放された[6]。 ボーヴェルの通っていた高校にはスタジオがあり、後にミュージシャンやプロデューサーとなるニック・ストレイカー (en:Nick Straker) や、トニー・マンズフィールド (en:Tony Mansfield) が同級生だった。この二人はともに後にボーヴェルと作品を残した[6]。
1971年[7][8][9]、サウスロンドンでマトゥンビを結成。1979年9月にシングル「ポイント・オブ・ビュー」が、全英チャート(レコード・ミラー)35位を記録した。アルバム「ポイント・オブ・ビュー」では、自身に影響を与えたエロール・トンプソンをプロデューサーに迎えている。[10][11] また、マトゥンビの活動と並行し、1976年に、ダブ・グループの4thストリート・オーケストラを、エディ・タンタン・ソーントンらと共に結成した。[12] ライブは行わずスタジオ・レコーディングのみの活動をしていた。[13]
1978年、ボーヴェルは詩人のリントン・クウェシ・ジョンソンによる世界初のダブ・ポエトリー・アルバム『ドレッド・ビート・アン・ブラッド』をプロデュースした。ボーヴェルは以後ジョンソンの作品のほとんどをプロデュースしており、ダブ・ポエトリーというジャンルを音楽面で定義した人物の一人となった[1]。
約10万人が参加したロック・アゲインスト・レイシズムのデモ行進と音楽フェスティバルに、ザ・クラッシュ、トム・ロビンソン、シャム69、スティール・パルスらと出演した[14]。
ボーヴェルはラヴァーズ・ロックの創始者の一人でもある。1979年にはジャネット・ケイ の「シリー・ゲームス ("Silly Games")」をプロデュースし[15]、同楽曲は全英シングルチャート2位を記録するヒットとなった[16]。
1980年には坂本龍一のセカンドアルバム『B-2ユニット』において「ライオット・イン・ラゴス」などの楽曲のエンジニアリングを行った[17]。
彼はイギリスのレゲエ歌手ボビー・クレイとも多くの共同作品や共同プロデュース作品を制作した[18]。また、ボーヴェルは多くのレゲエミュージシャンだけではなく、バナナラマやトンプソン・ツインズ、シャロン・シャノン (en:Sharon Shannon)、ザ・ポップ・グループ、スリッツ、フェラ・クティ、オレンジ・ジュース (en:Orange Juice) 、マッドネスなど様々なジャンルのミュージシャンをプロデュースし、ニュー・ウェイヴムーブメントにも影響を与えた[1][9][19]。
ボーヴェルは映画音楽をも手がけている。1980年のフランコ・ロッソ監督作品『バビロン (en:Babylon (film))』をはじめ、1983年のテレビドラマ『ザ・ボーイ・フー・ワン・ザ・プールズ (The Boy Who Won the Pools)』、2006年の『グローバル・レボリューション (Global Revolution)』で音楽を担当している[20]。
2021年6月、長年の功績を表彰され、大英帝国勲章(MBE)叙勲した[21]。
ディスコグラフィ
[編集]デニス・ボーヴェル及びブラックベアード名義の作品
[編集]アルバム
[編集]- Strictly Dub Wize (1978), Tempus - as Blackbeard
- I Wah Dub (1980), More Cut/EMI - as Blackbeard
- Dub Conference (Winston Edwards & Blackbeard At 10 Downing Street) (1980), Studio 16 - with Winston Edwards
- Brain Damage (1981), Fontana
- Audio Active (1986), Moving Target - as Dennis Bovell and the Dub Band
- Dub Dem Silly (1993), Arawak
- Tactics (1994), LKJ
- Dub of Ages (2003), LKJ
- All Over the World (2006), Virgin Frontline
- Dub Dem Silly Volume 2 (2006), Arawak - Dennis Bovell featuring Janet Kay
- Corean Jamaican Connection, Powerslave - Yoonkee meets Dennis Bovell
- ダブ・ジャズ・ジャズ・ダブ (2009), パワーショベル - デニス・ボーヴェル・ジャズバンド
- Mek It Run(2012), Rama,Pressure Sounds
- Dub 4 Daze (2015), Glitterbeat Records
- Akoustik (2019), Old School
シングル
[編集]- Raindrops (1977), More Cut Records - as Dennis Matumbi
- Don't Let This Good Thing Go Bad (1978), Lightning Records
- Emotion/Castro Brown Speaks (1978), D.E.B. Music
- Bertie (1981), Fontana
- Oh Mama Oh Papa (1993), LKJ Records
コンピレーション
[編集]- Dub Master (1993), Jamaican Gold
- Decibel: More Cuts and Dubs 1976-1983 (2003), Pressure Sounds
- The DuBMASTER: The Essential Anthology (2022), Trojan Records
マトゥンビの作品
[編集]アルバム
[編集]- Seven Seals (1978), Harvest
- Point of View (1979), EMI
- Dub Planet Orbit 1 (1980), Extinguish
- Matumbi(1981), EMI
- Testify (1982), Solid Groove
コンピレーション
[編集]- The Best of Matumbi (1977), Trojan Records
- Empire Road - the best of Matumbi (2001), EMI
- Music in the Air (2005), Trojan Records
シングル
[編集]- Brother Louie (197?), Trojan
- Wipe Them Out (1972), Trojan
- After Tonight (1976), Trojan
- Man In Me (1976), Matumbi Music Corp
- Chaingang (1977), Matumbi Music Corp
- Music In The Air (1977), Matumbi Music Corp
- Bluebeat & Ska (1978), Harvest
- Empire Road (1978), Harvest
- Rock (1978), Harvest
- Point of View (1979), Harvest - UK #35[22]
- Nothing At All (1980), EMI
- In Daylight (1982), Solid Groove
- Alive & Kicking (1984), Break Records
4thストリート・オーケストラの作品
[編集]アルバム
[編集]- Ah Who Seh (1976), Rama
- Leggo! Ah-Fi-We-Dis (1976), Rama
- Scientific, Higher Ranking Dubb (1977), Rama
- Yuh Learn! (1978), Rama
ザ・ダブ・バンドの作品
[編集]シングル
[編集]- Reggae High (1983), EMI
フィルモグラフィ
[編集]- Reggae In A Babylon (1978)
- Dread Beat An' Blood (1979)
- Bob Marley Spiritual Journey (2003)
- Dub Echoes (2007)
- The Story Of Lovers Rock (2011)
- White Riot 白い暴動 (2019)
出典・脚注
[編集]- ^ a b c Veal, Michael E. (2007). Dub. Wesleyan University Press. pp. 231–233. ISBN 9780819565723 2009年5月26日閲覧。
- ^ Thompson, Dave (2002) "Reggae & Caribbean Music", Backbeat Books, ISBN 0-87930-655-6
- ^ a b 「デニス・ボーヴェル インタビュー」『レゲエ・マガジン』26号、1991年、株式会社タキオン。
- ^ デニス・ボーヴェル他『ラヴァーズ・ロック・ストーリー』日本盤ライナーノーツ
- ^ 『ザ・ブリティッシュ・ルーツ・ロッカーズ』日本盤ライナーノーツ
- ^ a b Larkin, Colin (1998) The Virgin Encyclopedia of Reggae, Virgin Books, ISBN 0-7535-0242-9, p.35-36
- ^ 「マトゥンビ」『レゲエ・マガジン』55号、P35。
- ^ デニス・ボーヴェル『デシベル』日本盤ライナーノーツでは「1971年」と記載
- ^ a b Cumming, Tim (31 March 2006). “Dennis Bovell: The dub master - Features, Music - The Independent”. www.independent.co.uk. 2010年4月1日閲覧。
- ^ 「デニス・ボーヴェル ダブ・マスターの生の声」『ミュージック・マガジン』1991年12月号、P100。
- ^ マトゥンビ『ポイント・オブ・ビュー』日本盤ライナーノーツ
- ^ 「デニス・ボーヴェル インタビュー」『レゲエ・マガジン』55号、P37。
- ^ デニス・ボーヴェル『ストリクトリー・ダブワイズ』日本盤ライナーノーツ
- ^ [1] 70年代英国で人種差別と闘った若者達の運動ロック・アゲインスト・レイシズムの音楽ドキュメンタリー『白い暴動』 日本版予告編映像公開 amass 2022/5/21
- ^ Dennis Bovell『Arawak Label Showcase』ライナーノーツより、2008年、P-Vine。
- ^ Roberts, David (2006). British Hit Singles & Albums (19th ed.). London: Guinness World Records Limited. pp. p. 297. ISBN 1-904994-10-5
- ^ Dennis Bovell『The British Core Lovers』ライナーノーツより、2008年、P-Vine。
- ^ Lester, Paul (13 June 2007). “No 122: Bobby Kray”. The Guardian (Guardian News and Media Limited) 2009年5月6日閲覧。
- ^ “Barbican - Dennis Bovell and the Dub Band”. www.barbican.org.uk. 2010年4月10日閲覧。
- ^ “Dennis Bovell (I)”. www.imdb.com. 2010年4月1日閲覧。
- ^ “アラン・パーソンズ、リック・ウェイクマン、アリソン・モイエ、デニス・ボーヴェル、スキンに大英帝国勲章”. amass (2021年6月12日). 2022年6月29日閲覧。
- ^ Matumbi, ChartArchive