シンフォニエッタ (プーランク)

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シンフォニエッタ(Sinfonietta)FP.141は、フランシス・プーランクが作曲した管弦楽作品。「小交響曲」とも訳すが、単に「シンフォニエッタ」と表記される。

概要

プーランクは「フランス六人組」の中では最もフランス的な資質の持ち主であった。カトリックの教義に根差した3幕のオペラカルメル派修道女の対話」のような、感動的なオペラを発表する一方、いかにもパリジャンらしい、洒落た都会的な器楽作品を数多く残した。フランスのある批評家は彼のことを「修道士的なところと、無頼漢的なところがある」と指摘したが、まさにこうした彼の二面性を述べたといえるだろう。

この曲はオペラ・ブッファティレジアスの乳房」から3年後の1947年、彼の脂の乗り切った時期に書かれた。シンフォニエッタ(小交響曲)とはいえ、ビゼー交響曲にも比すべき豊かな内容を持っている。

この曲の元は1945年から47年にかけて作曲を試みた弦楽四重奏曲だった。未完成の状態での試奏の際、他の楽器のイメージが次々と浮かんできたためこれは弦楽四重奏ではない、と判断してプーランクは草稿を下水路に投げ捨ててしまう。その後、弦楽四重奏曲を出版する予定だった出版社の要請で同曲の素材を基に書いたのがこの作品である。当初のタイトルは「交響曲」だったが、出版社の意向で変更された。初演は、1948年10月24日にはロンドンロジェ・デゾルミエールの指揮により行われた。

編成

フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ1、ハープ弦五部

楽曲の構成

全4楽章からなり、全体の演奏時間は28分程である。

第1楽章 アレグロ・コン・フォーコ

極めて自由な書法によって、冒頭からリズミカルで唐突な主題に始まり、やがて管楽器にややメランコリックな主題が現れる。そして最初の部分が再現され、静かなコーダで結ばれる。

第2楽章 モルト・ヴィヴァーチェ

陽気なスケルツォの部分で、タランテラを思わせる軽快でスピーディな主部と、チャイコフスキーの音楽のようなロマンを持つ中間部を持っている。再現部は単純で、すぐに終わる。

第3楽章 アンダンテ・カンタービレ

木管の神秘的な呟きに始まり、素朴で美しい旋律がクラリネットで歌われ、弦と応答を重ねて行く。中間部は弦がゆったりとした旋律をうたい、木管がそれに色々と絡んでくる。

第4楽章 フィナーレ

典型的な終楽章で、飛び跳ねるような軽快な主題が弦に現れ、ホルンの抒情的な旋律を色々な楽器で遊んだ後、新しい主題がクラリネットとヴァイオリンに現れ、ゆっくりと様々な楽器に渡される。