オフヴォーカル

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オフヴォーカル和製英語: off + vocal)は、ヴォーカルのある音源に対して、そのヴォーカルパートだけを消した音源である。カラオケ[1]インストゥルメンタル[2]、バッキングトラック[3]とも呼ぶ。これに対し本来のヴォーカルあり音源をオンヴォーカル[4]と呼ぶ。和製英語

単純にヴォーカルを消しただけとは限らず、音量イコライズ、タイミング調整などが変更されていることも多い。そのため、リミックスの一種としても解釈できる。

厳密に言うと、コーラスパートも消してある音源をインストゥルメンタル、 そして、コーラスパートが含まれている音源をオリジナル・カラオケと呼ぶ。

用途

「カラオケ」とも呼ばれるとおり、カラオケが代表的な用途である。ただし、通信カラオケへの移行により、現在通常のカラオケに使われるのはオンライン配信されるMIDI音源であり、CD等の音源が使われるのは、カラオケ店以外でのカラオケ、自宅での練習など特殊な場面に限られる。

動画投稿サイトへ投稿する歌の伴奏に使われることもある。しかし、オンヴォーカル音源同様、オフヴォーカル音源も著作権実演家著作隣接権原盤権で保護されており、CD音源やダウンロード音源を使った音声を権利者の許諾なくして公開するのは著作権法違反である(著作権については包括契約により許諾されていることが多い)。

流通形態

日本においては、1976年にナイアガラ・レーベルから大瀧詠一プロデュースによる布谷文夫のシングル「ナイアガラ音頭」のB面としてオフヴォーカルの「あなたが唄うナイアガラ音頭」が収録されたものがリリースされた。その後、1990年頃から他のレーベルからもオフヴォーカルの入ったシングルCDが現れた(詳細後述)。呼び名は当初は「オリジナル・カラオケ」が多かったが、現在では「instrumentalインストルメンタル」や「inst.インスト」との表記が主流である(山下達郎宇多田ヒカル竹内電気は現在でも基本的に「Original Karaokeオリジナル・カレイオウキ」)。なお「オリジナル・カラオケ」とは、歌手が録音に使用したカラオケ音源を指す用語である。

他にも以下の例がある。

2枚組アルバムの2枚目を1枚目収録曲のオフヴォーカルとすること(槇原敬之の「SMILING GOLD」、キリンジの「スウィートソウルe.p.」、竹内まりやの「Expressions」など)や、accessのように次作シングルに前作1曲目のオフヴォーカルを収録している(11枚目の「TEAR'S LIBERATION」まで、及び24枚目の「Vertical Innocence」以降)という例もある。

シングルの場合、シングルCDに完全に移行した1990年に、旧来のシングルレコードからの伝統により、A面とB面に対応する2曲を含み、それらのオフヴォーカルをあわせて4曲を収録する形が多い。これは、日本以外ではCDのシングルが8cmから12cm(マキシシングル)に移行し、時間的な余裕が大きくなったことにも対応している。ただし、移行する前からもこのような形態になりつつあった。現在では演歌歌謡曲に限って流通しているシングルカセットも同じような措置だが、曲順がCDと異なり、それぞれの面の2曲目に同じ曲のオフヴォーカルが入っている。

オフヴォーカルのみを(メディアによっては映像とともに)収録したCDビデオCDLDコンパクトカセットなどもある。しかし、主に日本国内では業務用であり、業務用ソフトは通信カラオケの普及により近年は少なくなっている。

音楽配信もされる。通常の音楽配信会社以外に通信カラオケ会社も参入している。

脚注

  1. ^ : karaoke
  2. ^ : instrumental
  3. ^ : backing track
  4. ^ : on vocal
  5. ^ TVは「test vocal」の頭文字。
  6. ^ 21stシングル「I WLL」のみの表記。