イリス (列車)
イリス Iris | |||
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ルクセンブルク駅停車中のブリュッセル行きイリス号(2010年) | |||
概要 | |||
種類 |
TEE(1974–1981) インターシティ(1981–1987) ユーロシティ(1987–) | ||
現況 | 運行中 | ||
地域 |
ベルギー ルクセンブルク フランス スイス | ||
運行開始 | 1974年5月28日 | ||
現運営者 |
ベルギー国鉄 ルクセンブルク国鉄 フランス国鉄 スイス連邦鉄道 | ||
路線 | |||
起点 | ブリュッセル南駅 | ||
終点 | バーゼルSNCF駅 | ||
営業距離 | 592km | ||
平均所要時間 |
6時間29分(バーゼル行き) 6時間33分(ブリュッセル行き) | ||
運行間隔 | 毎日運行 | ||
列車番号 | EC96/97 | ||
車内サービス | |||
クラス |
1等車 2等車 | ||
技術 | |||
軌間 | 1,435mm | ||
電化 | 15kV16⅔Hz交流電化(スイス) | ||
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イリス号(ラテン語: Iris)は、ベルギー王国の首都ブリュッセルとスイス連邦バーゼル=シュタット準州バーゼルを結ぶユーロシティ(EC)列車である。ベルギー国鉄、ルクセンブルク国鉄、フランス国鉄及びスイス連邦鉄道によって共同運行されている。
概要
1974年に運行を開始した。列車名の由来はツェンネ川流域に広く群生するキショウブ(黄菖蒲)で、1991年からブリュッセル首都圏地域を象徴する花となっている。イリス号の運行開始当初の種別は全車一等車のTEEであったが、1981年からインターシティとなり、1987年5月31日からはユーロシティとなった。2011年にジャン・モネ号が廃止されたことにより、イリス号はヴォーバン号とともに毎日ブリュッセルとスイスを結ぶユーロシティ列車のひとつとなった。
歴史
TEE
イリス号は、1974年5月26日にエーデルヴァイス号とペアとなるTEE(Trans Europ Express)として、ブリュッセル - チューリッヒ間運行を開始した。これはヨーロッパの三大権力機構が存在するブリュッセル(欧州連合理事会)、ルクセンブルク(欧州司法裁判所)とストラスブール(欧州議会)を行き来する需要が高まったためで、イリス号は朝にブリュッセルを発車し、午後チューリッヒから折り返すダイヤであった。
イリス号は運行開始時の1974年5月から1981年5月までは、スイス国鉄RAe TEE II形電車が使用されていた。これはスイス連邦鉄道が1961年からTEEに投入していた電車で、4種類の電化方式に対応していた(1500V/3000V直流電化、25kV50Hz/25KV16⅔交流電化)。車輛は固定編成で、動力車は編成中ほどの4号車に設けられた動力集中式列車であった。列車の最高速度は時速160kmで、車体はスイスの軽量型車輛設計が採用された[1]。車輌の運用について、運転開始当初のイリス号はエーデルヴァイス号、ゴッタルド号と共通運用だった。[2]
TEE91 | 停車駅 | TEE92 | ||
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運行距離 | 時刻 | 時刻 | 運行距離 | |
0 | 7:01発 | ブリュッセル南 | 22:34着 | 683 |
5 | 7:11発 | ブリュッセル北 | 22:28着 | 678 |
12 | 7:19発 | ブリュッセル=リュクサンブール | 22:20着 | 671 |
68 | 7:50発 | ナミュール | 21:50発 | 616 |
206 | 9:05発 | アルロン | 20:35発 | 478 |
233 | 9:29発 | ルクセンブルク | 20:14発 | 451 |
266 | 9:52発 | ティオンヴィル | 19:47発 | 418 |
296 | 10:13発 | メス=ヴィル(英語版) | 19:27発 | 388 |
455 | 11:32発 | ストラスブール | 18:07発 | 225 |
520 | 12:07発 | コルマール | 17:32発 | 164 |
561 | 12:30発 | ミュルーズ | 17:08発 | 123 |
595 | 12:54発 | バーゼル | 16:47発 | 88 |
683 | 13:54着 | チューリッヒ中央 | 15:37発 | 0 |
イリス号の利用率は、想定した需要に対し、利用率を大きく下回り、片道50人に満たない日もあった。このため、経済的な運用は全く不可能となり、ベルギー国鉄とフランス国鉄は1974/75年のダイヤ改正時すでに編成を5両への短縮する提案を行い、その直後にはイリス号とエーデルヴァイス号の廃止を呼びかけていたほどだった。その後2回のダイヤ改正実施後でも利用率の改善が見られなかったため、1976年のヨーロッパ時刻表会議で両列車の廃止が決定された。[2]
1979年5月27日より、イリス号の停車駅について、チューリヒ発にアールガウ州バーデンが追加された。[4]
インターシティ
1981年5月30日より、イリス号に初めて2等車が連結され、イリス号はインターシティに降格された。列車番号はIC394/395が使用され、使用車輌は電車からスイス連邦鉄道の客車Eurofima型客車に切り替えられている。
ユーロシティ
1987年5月31日のダイヤ改正でユーロシティが発足した。イリス号は新設されたユーロシティに編入され、同時にイリス号のスイス側起終点駅がグラウビュンデン州クールまで延長された。
ユーロシティ編入後、イリス号の列車番号はEC94/95となったが、インターシティ時代と運行路線に変化はなかった。その後、イリス号の列車番号はEC96/97に改められた。2013年12月にダイヤ改正が行われ、イリス号の運行区間が往復ともブリュッセル - バーゼル間に短縮された。
2015年時点でスイス国鉄所属の車輛で運行され、列車の編成は7両編成で、食堂車の連結は無かった。
2016年4月3日ダイヤ改正により、前日の4月2日にイリス号及びヴォーバン号の運行終了。
時刻表
以下に2014年夏季の時刻表を示す[5]。なお、各国の間に時差はない。
EC97 (バーゼル行き) |
停車駅 | EC96 (ブリュッセル行き) | ||
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運行距離 | 時刻 | 時刻 | 運行距離 | |
0 | 13:09 | ブリュッセル南 | 22:51 | 592 |
2 | 13:13 | ブリュッセル中央 | 22:47 | 590 |
4 | 13:18 | ブリュッセル北 | 22:41 | 588 |
9 | 13:27 | ブリュッセル=シューマン(英語版) | 22:33 | 583 |
10 | 13:29 | ブリュッセル=リュクサンブール | 22:29 | 582 |
68 | 14:14 | ナミュール | 21:48 | 524 |
155 | 15:13 | リブラモン | ↑ | 437 |
201 | 15:42 | アルロン | 20:20 | 391 |
229 | 16:15 | ルクセンブルク | 20:00 | 363 |
263 | 16:36 | ティオンヴィル | 19:29 | 329 |
293 | 16:57 | メス=ヴィル(英語版) | 19:10 | 299 |
407 | ↓ | サヴェルヌ | 18:13 | 185 |
452 | 18:19 | ストラスブール | 17:50 | 140 |
495 | 18:41 | セレスタ | 17:19 | 97 |
517 | 18:53 | コルマール | 17:07 | 75 |
558 | 19:16 | ミュルーズ | 16:46 | 34 |
592 | 19:38 | バーゼルSNCF | 16:18 | 0 |
脚註
参考文献
- 窪田太郎(1961年). 『トランス・オイロープ・エクスプレス(TEE)の交直両用電車』, 『鉄道ピクトリアル』所収, 鉄道図書刊行会.
- 「地球の歩き方」編集室編(2014年). 『ヨーロッパ鉄道時刻表 日本語解説版 2014年夏号』, ダイヤモンド社. ISBN 9784478045909
- Cooks Continental Timetable June 21-July 11 1974
関連項目