アリババと40匹の盗賊
アリババと40匹の盗賊 | |
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監督 | 設楽博(「演出」名義) |
脚本 | 山元護久 |
製作 | 大川博 |
出演者 |
大山のぶ代 滝口順平 内海賢二 納谷悟朗 大塚周夫 田の中勇ほか |
音楽 | 宇野誠一郎 |
主題歌 | 「雲がおしえてくれる道」(大山のぶ代、ヤング・フレッシュ) |
撮影 | 井出昭一郎、町田賢樹 |
編集 | 千蔵豊、花井正明 |
製作会社 | 東映動画 |
配給 | 東映 |
公開 | 1971年7月18日 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
前作 | どうぶつ宝島 |
次作 | ながぐつ三銃士 |
『アリババと40匹の盗賊』(アリババとよんじゅっぴきのとうぞく)は、1971年7月18日に「東映まんがまつり」内で公開された、東映動画(現:東映アニメーション)制作の劇場用アニメ映画である。
概要
名作「千夜一夜物語」の「アリババと40人の盗賊」をギャグアニメ化した作品。お話は「40人の盗賊」の子孫同士が戦うというもの。そしてアリババと、盗賊の首領の子孫のアル・ハックの善悪を逆転した発想となっている。
演出はテレビアニメ担当の設楽博。設楽の劇場アニメの演出は初だが、ストーリーが複雑な割にスピーディな演出なので、説明不足になってしまった。またキャラクターも、ピンクでグロテスクなランプの魔物を筆頭に、出アゴのアリババやブルドッグ顔の警察署長といった、それまでの東映動画作品には見られない品の無いキャラクターが多かった。
大川博は本作が封切られた1か月後の1971年8月17日に死去、本作が最後のプロデュース作品となった。
なお本作は、5年後の1976年7月17日封切りの「東映まんがまつり」内でリバイバル上映された。
ストーリー
アラビアのある所に、「アリババ王国」という国があった。国王のアリババ33世は、かつて40人の盗賊団を倒し宝物を手に入れたアリババの子孫であった。ある朝アリババは朝食を取ろうとするが、出た朝食はペットのネコの物だけ。そこで警察署長を呼ぶと、署長はその事で話があると言い、地下の宝物蔵に行った。見ると宝物蔵はもぬけの殻、実はあれだけ大量にあった宝物も、先代国王のアリババ32世の時に半分となり、そして現在全て無くなったというのだ。わずかに残っていたのはランプだけ。汚いので擦ってみると、なんと中から怪物が現れた。だがこの怪物はランプの魔物で、何でも願い事を聞いてくれるという、しかし魔物はネコが大の苦手、そこでアリババは署長にネコ狩りを命じた。やがてあちこちでネコ狩りが行われるが、その様子を見ていた少年アル・ハックは、護送中のネコの中から38匹のネコを救い、小屋に匿う。救い出された38匹のネコの親分・ドラは喜んで、全てハックの部下になると決意、更にその中には、先祖代々ハックの家につかえるネズミのカジルも居た。そしてドラたちは、ハックはかつてアリババに倒された盗賊団の子孫である事を言い、アリババに奪われた宝物を取り戻そうと決意、その時魔物の助けで、兵士たちが小屋を襲ってきた。ハックたちは1か月後の再会を誓って逃げた。
そしてその日が来た。その席上、カジルは古い魔法の絨毯を見つけた。そこで絨毯にハックとカジルが乗り込み、アリババ城に攻め込もうとするが、途中で絨毯の魔力がエンストして、アリババが呼んだ魔物に襲われ大ピンチ、だがその時、マタタビで催眠状態になったネコたちが風船に乗って襲い掛かった。魔物は逃げ出し、更に捕らえられたネコも開放され、遂にハックたちはアリババを追い詰め、「宝物はどこだ!?」と叫ぶ。だがアリババは「宝物はもう無い」と言い残すと、絨毯に乗ってどこかへ逃げ出そうとした。だが途中で再びエンストし、アリババは墜落、結局自力で逃亡した。
やがてハックは魔物を呼び出し、半壊状態のアリババ城を遊園地に改造する事を要求、魔物はそれを叶え、アリババ城は遊園地へ生まれ変わった。すると、やって来た子供たちが喜んで遊びだした。本物の宝は取り返せなかったが、ハックにとってはその笑顔が宝物だったのかもしれない。
声の出演
- アル・ハック:大山のぶ代
- カジル:滝口順平
- アリババ33世:大塚周夫
- ドラ:内海賢二
- ゴロ:納谷悟朗
- ランプの魔物:富田耕生
- 警察署長:田の中勇
- その他:野村道子、永井一郎、今西正男、北川国彦、大竹宏、山田俊司、青二プロ
- 予告編ナレーター:野田圭一
スタッフ
- 製作:大川博
- 企画:高橋勇、茂呂清一、籏野義文
- 脚本:山元護久
- 作画監督:大工原章
- 美術監督:横井三郎
- 原画:奥山玲子、小田克也、菊地貞雄、小田部羊一、森英樹、木野達児、金山通弘、宮崎駿、的場茂夫、阿部隆、角田紘一、池原昭治、森康二
- 動画:生野徹太、山田みよほか多数
- 影絵:劇団かかし座
- 色彩設定:下川忠海
- 背景:穂積勝義、山口俊和、城戸求、原田謙一
- トレース:入江三帆子、谷口恭子
- 彩色:秋月ひろみ、矢野邦子
- 特殊効果:林富喜江、平尾千秋
- ゼログラフィ:福岡秀起、永芳太郎
- 仕上検査:小椋正豊、新納三郎
- 撮影:井出昭一郎、町田賢樹
- 録音:波多野勲
- 録音助手:高橋拓夫
- 編集:千蔵豊、花井正明
- 音響効果:大平紀義
- 記録:高野ヒサ子
- 演出助手:笠井由勝、浦上昭人
- 製作進行:古沢義治
- 現像:東映化学
- 音楽:宇野誠一郎
- 演出:設楽博
主題歌・挿入歌
作詞は山元護久、作曲は宇野誠一郎が担当。
同時上映
- 1971年版
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- 魔法のマコちゃん グラウンドの天使
- アンデルセン物語(『カルピスまんが劇場』版)
- 宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン
- ゴーゴー仮面ライダー(第13話のブローアップ版)
- 1976年版
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- グレンダイザー ゲッターロボG グレートマジンガー 決戦! 大海獣(劇場用新作)
- 秘密戦隊ゴレンジャー 爆弾ハリケーン!(同上)
- ザ・カゲスター(同上)
- 一休さん 虎たいじ(ブローアップ版)
- 母をたずねて三千里
- 宇宙鉄人キョーダイン
参考文献
- 「日本アニメーション映画史」(有文社刊。1977年)
関連項目
- 東映まんがまつり
- アリババと40人の盗賊
- ピュンピュン丸 - 「元首の私利私欲のために猫が捕らえられ、主人公が猫達と結託して反乱を起こす」という設定は、8話「猫ふんじゃった」を思わせる。なおこの話の脚本は、本作の山元護久が井上ひさしと「エンリコ・トリゾーニ」名義で担当した。