アナログ
アナログ(英: analog、英語発音: [ˈænəˌlɔːg] アナローグ)は、類似・相似を意味する。連続した量(例えば時間)を他の連続した量(例えば角度)で表示すること。デジタルが連続量をとびとびな値(離散的な数値)として表現(標本化・量子化)することと対比される。時計や温度計などがその例である。エレクトロニクスの場合、情報を電圧・電流などの物理量で表すのがアナログ、数値で表すのがデジタルである。
長所・短所
情報をアナログ的に扱うことの長所として以下のようなものがある。
対して短所は次の点である。
比喩的用例
二値的なものをデジタルとし、これに対して多値的なものをアナログとみなす用例がある。
- 比喩的に、物事を割り切らず、曖昧さを残しつつ理解する人のことを「アナログ人間」と呼ぶことがある(この呼称は後述の誤用の意味で用いられることもある)。
- ゲーム機において、コントローラからの入力(レバーを倒した角度など)を多値で処理できる場合は「アナログ入力に対応」しているとされる。
また、アナログの「類似・相似」という本来の意味から、あるホルモンと同等の働きをする物質や、ある医薬品と類似した医薬品のこともアナログと呼ぶことがある。→アゴニスト参照
俗用
俗に、「新しい物=デジタル」というイメージとの対比として「古い物=アナログ」という表現がされることがあるが、本来の意味としては正しくない。「アナクロ(anachronismより)」との混同とも考えられる。
これは、デジタルという語に対して漠然と付与された「コンピュータ」「ハイテク」「科学的理論」「理性」「理系」といった印象から、アナログがその対義語として「ローテク」「経験則」「勘」「情緒」「文系」等の概念を象徴するようになったものと考えられる。これらは、本来のアナログの定義とは無関係な用法であり、厳密には誤用である。
コンピュータゲームをデジタルのゲームと見なし、コンピュータなどの電子機器を使わずに遊ぶウォー・シミュレーションゲームやテーブルトークRPG、トレーディングカードゲームなどを「アナログゲーム」と総称するが、これも誤用が定着した一例である。
また、イラストレーションにおいて、コンピューターグラフィックスの技術を用いたものを「デジタル作画」と呼ぶのに対し、筆やクレパスなどの旧来の画材を用いて表現することを「アナログ作画」と呼ぶこともあり、これもアナログをコンピュータを用いないものと誤解した表現と言える。