W・H・オーデン

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W・H・オーデン
AudenLibraryOfCongress.jpg
誕生 イギリスの旗 イギリスヨーク
死没 1973年9月29日(66歳)
オーストリアの旗 オーストリアウィーン
職業 詩人
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
主な受賞歴 ピューリッツァー賞 詩部門(1948年)
全米図書賞 詩部門(1966年)
オーストリア国家賞(1966年)
ストルガ詩の夕べ金冠賞(1971年)
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ウィスタン・ヒュー・オーデン(Wystan Hugh Auden, 1907年2月21日 - 1973年9月29日)はイギリス出身でアメリカ合衆国に移住した詩人20世紀最大の詩人の一人とみなされている。

生涯[編集]

幼年期[編集]

イングランドのヨークに生まれる。父親のジョージ・オーガスタス・オーデン英語版は医者。ウィスタンは3人兄弟の3番目だった。父方と母方の祖父は二人とも英国国教会の聖職者。オーデンは英国国教会の中でもローマカトリック寄りのアングロカトリックの家庭で育った。後年、幼年期に行った教会での奉仕活動が音楽や言葉への愛にいくらか影響を与えたと回想している。また、オーデンは自身がアイスランド系の末裔であると信じ、生涯を通じてアイスランドの伝説や北欧神話への関心が作品に影響を与えることとなる。一方で、公衆衛生学の講師だった父の蔵書を通して、オーデンは精神分析学に関心を持つようになる。

教育[編集]

最初に入学した寄宿学校は、サリーにある聖エドマンド校だった。3学年上にはのちにオーデンに文学上の助言を多く与えることになるクリストファー・イシャウッドがいた。13歳からノーフォークグレシャム校に通う。ここで友人に詩を作るかどうか尋ねられたことがきっかけでオーデンは詩作への適性を自覚する。1922年のことだった。また、この直後から自分が信仰を失ったことに気付く。これは価値観の決定的な変化というよりも宗教への関心の喪失が、自分でもだんだんはっきりと分かるようになったというものだった。1923年、自作の詩が校内雑誌に載り、初めてオーデンの詩が活字化される。1922年にシェークスピア劇の学校制作として「じゃじゃ馬ならし」のカタリーナを演じ、最終学年の年である1925年には「あらし」のキャリバンを演じた。 1925年に生物学の奨学金でオックスフォード大学のクライスト・チャーチに入ったが、2年次に英語専攻に切り替えた。1928年にクライスト・チャーチを去るまで数多くの友人とめぐり合うが、とりわけセシル・デイ=ルイスルイス・マクニーススティーブン・スペンダーらとの交流は、1930年代における「オーデングループ」の発言へと繋がっていく。また、1925年に友人を介してクリストファー・イシャウッドを紹介され、交流が始まる。オーデンがイシャウッドに自作の詩を送り、イシャウッドが批評を返すというかたちで、イシャウッドは多くの助言をオーデンに与えた。

1928-1938[編集]

1928年の秋にオーデンは9ヶ月間イギリスを離れ、ヴァイマル共和政時代のベルリンに滞在した。当時のベルリンは同性愛に対する抑圧がロンドンに比べるとまだましだったので、これにはイギリス社会での抑圧に対抗という意味合いもあった。そこで彼の中心主題のうちの1つになった、政治的および経済的な不安を最初に経験することになった。日中戦争勃発後の1938年中国を訪問している。1930年代にはマルクス主義を捨ててキリスト教に戻った。

1939-1973[編集]

1939年にアメリカ合衆国に移住し、1946年に国籍を取得した。1973年にオーストリアウィーンで死去した。

オーデンがナチス・ドイツポーランド侵攻及び第二次世界大戦の勃発に際して書いた詩「1939年9月1日」は、2001年9月のアメリカ同時多発テロ直後、時代と社会の実相、人々の置かれたありようを深いところで表す詩としてアメリカを中心に改めて注目され広く読まれた。

主な訳書[編集]

  • 深瀬基寛訳『オーデン詩集』筑摩書房、1955
  • 沢崎順之助訳『怒れる海 ロマン主義の海のイメージ』南雲堂 1962
  • 『世界詩人全集 第19』オーデン詩集(中桐雅夫訳) 新潮社 1969
  • 中桐雅夫訳『第二の世界』晶文社〈晶文選書〉1970
  • 中桐雅夫訳『染物屋の手』晶文社 1973
  • 『筑摩世界文学大系 71 (イェイツ,エリオット,オーデン)』オーデン 工藤昭雄等訳 筑摩書房 1975
  • 風呂本武敏訳『演説者たち』国文社、1977
  • 中桐雅夫訳『オーデン わが読書』晶文社 1978
  • 安田章一郎、風呂本武敏、櫻井正一郎編著『オーデン名詩評釈 原詩と注・訳・評釈』大阪教育図書 1981
  • 風呂本武敏訳『新年の手紙』国文社、詩集 1981
  • 山田良成訳『シェイクスピアの都市』荒竹出版 1984 シェイクスピア論シリーズ
  • 風呂本、櫻井正一郎訳『しばしの間は』国文社、1986
  • 大橋勇、木村博雄、森米二、原千賀子、米本義孝、平林裕子、大橋佳代訳『不安の時代 バロック風田園詩』 国文社 1993
  • 中桐雅夫訳、福間健二編『オーデン詩集』 小沢書店〈双書20世紀の詩人〉 1993
  • 沢崎順之助訳編『W・H・オーデン詩集』思潮社〈海外詩文庫〉1993 
  • 岩崎宗治訳『もうひとつの時代』国文社 1997