魔法の弾丸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

魔法の弾丸(まほうのだんがん)、魔弾(まだん)(ドイツ語: Freikugel、Zauberkugel英語: magic bullet)は、発射すれば必ず狙った標的に当たる弾丸、すなわち「百発百中」の弾丸のこと。もともとドイツの伝説に見られるモチーフであったとされるが、カール・マリア・フォン・ウェーバーオペラ魔弾の射手』(1821年初演)を通して広く知られるようになり、20世紀に様々な分野で比喩表現として用いられるようになった。

エールリヒの「特効薬」[編集]

その後、射手の思い通りに、意図した標的に当たる弾丸という意味から、ドイツ細菌学パウル・エールリヒが、副作用なしに病原体のみに薬効が及ぶ特効薬、といった意味合いで、20世紀初頭から魔法の弾丸ドイツ語: Zauberkugel)を用い、化学療法の概念として医学、薬学などの分野でこの意味が広く定着していった[1]。例えば、抗生物質は、魔法の弾丸のコンセプトを実現した例と見ることができる[2]

この意味での英語の表現としての魔法の弾丸(英語: magic bullet)は、1930年代サルファ剤の開発が進み、第二次世界大戦などの戦場で負傷者の救命に活用されたことを契機として普及が進んだ[3]1940年には、エールリヒの実話を基にした伝記的映画が米国で制作され、一定の成功を収めてアカデミー賞にもノミネートされたが、その原題は『Dr. Ehrlich's Magic Bullet』(「エールリヒ博士の魔法の弾丸/特効薬」の意)であった(邦題は『偉人エーリッヒ博士』)。

都合よく存在してくれないもの[編集]

また、現実にはそのように都合の良いものは存在しない、という意味で「魔法の弾丸」を用いることもある[4]。これもエールリヒが理想の薬は「魔法の弾丸」であると述べたことを踏まえている[5]。また、同様の意味で「銀の弾丸」という表現も用いられる(「銀の弾などない」を参照)。

「魔弾」が登場する創作作品の例[編集]

出典・脚注[編集]

  1. ^ Witkop, Bernhard (12 1999). “Paul Ehrlich and His Magic Bullets—Revisited” (PDF). Proceedings of the American Philosophical Societ (American Philosophical Society) 143 (4): 540-557. ISSN 0003-049X. http://www.amphilsoc.org/sites/default/files/Witkop.pdf 2011年5月11日閲覧。. 
  2. ^ 佐藤健太郎. “☆抗生物質の危機(1)~「魔法の弾丸」の誕生~”. 佐藤健太郎. 2011年5月11日閲覧。
  3. ^ 用語解説:魔法の弾丸とは”. 読売新聞 (1999年6月17日). 2011年5月11日閲覧。
  4. ^
    鈴木聡 (2009年8月10日). “スキル修得の問題を一瞬で解決する魔法の弾丸は存在しない”. 鈴木聡. 2011年5月11日閲覧。
    ファイアウォール/IDS の回避とスプーフィング”. nmap.org. 2011年5月11日閲覧。
  5. ^ メルクマニュアル家庭版:はじめに”. MSD K.K.. 2011年5月11日閲覧。

関連項目[編集]