赤と黒
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
| 文学 |
|---|
![]() |
| ポータル |
| 各国の文学 記事総覧 |
| 出版社・文芸雑誌 文学賞 |
| 作家 |
| 詩人・小説家 その他作家 |
| お知らせ |
| このテンプレートの解説ページができました。使用されるべき記事が決まりましたので一度ご確認ください。 |
『赤と黒』(あかとくろ) (Le Rouge et le Noir)とは19世紀中期フランスの作家・スタンダールが実際に起きた事件などに題材をとった長編小説である。
目次 |
[編集] 概要
この作品の副題は「1830年代史」であり、当時フランスを支配していたブルボン朝復古王政による抑圧された社会と復活した旧来の支配階層に対する作者スタンダールの批判が込められていた。しかし執筆途中の1830年に七月革命が勃発、スタンダールが批判の対象とした体制は打破される事になる。
青年の青春や恋愛を描いた作品ではあるが、背後には「少数の幸福な人」にむけたメッセージも含まれている。
この作品は幾度も映画化、舞台化されている。
[編集] あらすじ
貧しい木こりの子として生まれた主人公ジュリアン・ソレル(ジュリヤン・ソレルとも)はナポレオンを崇拝し、野心に満ちた美しい青年である。初めはナポレオンのように軍人としての栄達を目指すが、王政復古の世の中ではその願いもままならない。そこで、今度は王政復古の世の中で羽振りの良い聖職者を目指している。
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。
ある日、ジュリアンはその頭脳の明晰さを買った町長・レナールによって子供たちの家庭教師に雇われる。やがてジュリアンはレナール夫人と恋におちるが、レナールは2人の関係を疑うようになる。そこでレナール夫人はジュリアンをかばって、彼を神学校に送り込む。神学校に進んだジュリアンはそこでも頭脳の明晰さと記憶力のすばらしさを校長のピラール神父に買われ、大貴族のラ・モル侯爵の秘書に推薦される。
ラ・モル侯爵家令嬢のマチルドに見下されたジュリアンは、マチルドを征服しようと心に誓う。マチルドもまた取り巻きたちの貴族たちにはないジュリアンの情熱と才能に惹かれるようになり、2人は激しく愛し合うようになる。
マチルドはジュリアンの子を妊娠し、2人の関係はラ・モル侯爵の知るところになる。侯爵は2人の結婚に反対するがマチルドが家出も辞さない覚悟をみせたため、やむなくジュリアンをとある貴族のご落胤ということにし、陸軍騎兵中尉にとりたてる。そして、レナール夫人のところにジュリアンの身元を照会する手紙を送る。
そのころレナール夫人はジュリアンとの不倫の関係を反省し、贖罪の日々を送っていた。そして、彼女は聴罪司祭の言われるままに「ジュリアン・ソレルは良家の妻や娘を誘惑しては出世の踏み台にしている」とラ・モル侯爵に書き送る。侯爵は激怒し、ジュリアンとマチルドの結婚を取り消す。レナール夫人の裏切りに怒ったジュリアンは、彼女を射殺しようとする。レナール夫人は一命を取り留めるがジュリアンは捕らえられ、裁判にかけられる。マチルドはジュリアンの助命のために奔走するがレナール夫人がジュリアンを愛しており、ラ・モル侯爵への手紙は本意ではなかったということを知ったジュリアンは自ら望んで死刑を受け入れる。
野心的な青年、ジュリアン・ソレルの目を通して来るべき革命(七月革命)を恐れながら堕落した生活を送る、王政復古下の聖職者・貴族階級の姿をあますところなく表し支配階級の腐敗を鋭くついている。
なお、ジュリアンが終生愛するレナール夫人は作者・スタンダールの母がモデルと言われている。
[編集] 題名の由来
題名の「赤と黒」は主人公のジュリアンが出世の手段にしようとした軍人(赤)と聖職者(黒)の服の色を表していると言われている。又ルーレットの回転盤の色を表し、一か八かの出世に賭けようとするジュリアンの人生をギャンブルにたとえているという説もある。しかし、作者は題名の由来について何も説明をしていない。
[編集] 誤訳論争
日本においては、東京大学文学部准教授の野崎歓が、2007年に新訳版を著した[1][2]。ところが、立命館大学文学部教授の下川茂らが、この訳書には誤訳が多すぎると批判したことから[3]、論争となっている[4]。
詳細は「野崎歓」を参照
[編集] 関連作品
[編集] 映画
- 1954年、クロード・オータン=ララ監督で映画化された。
[編集] テレビドラマ
- 1993年、イギリスで、テレビドラマとして映像化された。
- 1997年、フランスでテレビドラマとして再び映像化された。
[編集] 舞台
- 宝塚歌劇団で複数回に渡り舞台化。詳細は赤と黒 (宝塚歌劇)を参照のこと。
[編集] 参考文献
[編集] テキスト(日本語)
[編集] 評論・研究書
- 松島雅典『「赤と黒」の解剖学』朝日選書、1992年。


