笙ヶ岳

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笙ヶ岳

小倉山から望む紅葉の笙ヶ岳
標高 908.30 m
所在地 日本岐阜県大垣市
位置 北緯35度17分01.1027秒 東経136度30分40.3453秒 / 北緯35.283639639度 東経136.511207028度 / 35.283639639; 136.511207028
山系 養老山地
種類 堆積岩(石灰岩
笙ヶ岳の位置(日本内)
笙ヶ岳
プロジェクト 山
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笙ヶ岳(しょうがたけ)は、岐阜県大垣市(旧養老郡上石津町)にある、養老山地最高峰標高908.3m。山頂には四等三角点[1]が設置されており、一帯は揖斐関ヶ原養老国定公園に指定されている。

概要[編集]

山頂部には、ミズナラブナなどの広葉樹林が広がっている。北側の斜面は、一之瀬林道などの敷設に伴い、自然林が伐採され、などの針葉樹の植林地となっている。山頂からは北側の展望が開け、美濃の市街地(大垣市岐阜市)や白山が、裏山と表山の奥に見渡せる。山頂の東側にある小ピークからは、西側の展望も開け、琵琶湖北部そして間近に伊吹山を望むことができる。

地質[編集]

養老山地は、石灰岩質の山であり、南部の石津御嶽の北側などの場所では、石灰岩の採掘が行われている。周辺の山の藤原岳伊吹山でも、盛んにセメント材料となる石灰岩が採掘されている。

気候[編集]

笙ヶ岳は、養老山地の北端に近い位置にあり、気象観測点のある関ヶ原に近い。このため、特に冬は、太平洋側の気候というよりは、日本海側に近い気候となっている。年によっては、山頂部で1mを越える積雪量となることもある[2]

登山コース[編集]

養老公園からのコース[編集]

養老の滝の上の駐車場入口の脇の林道ゲートが登山道の入口で、この林道に沿って登っていく。

この養老の滝の下流には、日本の名水百選に指定されている菊水泉がある。

標高610m辺りまで登っていくと、旧道(もみじ峠への近道)への入口分岐がある。

林道を直進した場合は、林道終点のアゼビ平で養老山頂遊歩道に合流する。2つのコースはもみじ峠で合流する。

もみじ峠から一旦下ると休憩用のベンチがあり、さらにその先で、大洞谷からの登山道に合流する。大洞谷を上流に向かってしばらく進むと、大洞谷源流部の渡渉点がある。

このあと、笙ヶ岳の南側を回り込むように進んでいけば、東西2つのピークをもつ鞍部に到着する。その途中には、岩を積み上げた炭焼き窯の跡がある。鞍部から西に少し登れば、三角点のある笙ヶ岳頂上へ到着する。大多数のハイカーが、この養老公園からのルートを利用している。

一等三角点のある養老山へも足を運ぶ例がある。もみじ峠と養老山の途中にある小倉山の頂上園地の東屋からは、笙ヶ岳鈴鹿山脈霊仙山などを望むことができる。11月の初旬頃には、笙ヶ岳の山腹は広葉樹林が鮮やかに紅葉する。

春先には、笙ヶ岳の山頂付近では、スミレカタクリイワカガミなどの花々が見られる。このコースは、初級から中級者向き。

大洞谷林道コース[編集]

西側の国道365号の旧上石津町役場のすぐ北側から、大洞谷林道へ入る。途中に林道のゲートがあり、一般車両は進入できない。林道終点である標高540mの地点が、登山道入り口である。

何度かの大洞谷の渡渉を繰り返すと、東側から来た養老公園側からの登山道に合流する。以後は養老公園コースと同様。このコースは中級者向き。

また大洞谷林道の途中から、笙ヶ岳の南側の斜面をトラバースするバリエーションルートも存在している。[3]

一之瀬林道コース[編集]

大洞林道のさらに北側の一之瀬から一之瀬林道を進む。林道終点(標高815m)からは、南南西に向かって踏み跡の少ない稜線を進む。稜線に西側が、針葉樹の植林地となっている。

最初のピークは、標高約890mの笙ヶ岳の東側の小ピーク。西側へ一旦下ると、大洞谷からの登山道と合流する鞍部がある。 さらに鞍部から西に少し登れば、三角点のある笙ヶ岳頂上へ到着する。このコースは上級者向き。

表山-裏山コース[編集]

表山(標高838.5mの三角点がある山)の東尾根を、養老公園側から取付く[4]

表山から一旦西に向かって下り、標高870mの裏山まで登り返す。この表山〜裏山間は、クマザサなどの笹やぶに覆われ、ルートの見極めが難しい。

この裏山の頂上は、周囲に高い木がないため、360度の展望が得られる。裏山の頂上から南南西に進むと一之瀬林道コースの終点に合流して以後は一之瀬林道コースと同様。このコースは上級者向きで、最も難易度が高い。

登山道の動植物[編集]

山腹では、ニホンジカニホンザルノウサギなどの動物が生息している。

ニホンジカ ノウサギ ミズナラ カタクリ シハイスミレ アセビ

地理[編集]

周辺の山[編集]

山容 名称 標高
m
三角点 笙ヶ岳との
距離(km
備考
伊吹山 1,377.31  一等  17.7 日本百名山
表山  838.53  三等  1.3
笙ヶ岳  908.30[5]  四等  0 養老山地の最高峰
小倉山  841  2.1 山上園地
東屋やベンチなど
養老山  859.31  一等  2.5
霊仙山 1,083.45  二等  12.4 カルスト台地
御池岳 1,247  14.6 鈴鹿山脈最高峰
カルスト台地
藤原岳 1,044  二等  14.8 (標高未確定)
多度山  402.74  二等  18.7 山頂に園地

源流の河川[編集]

交通・アクセス[編集]

養老公園のすぐ東側には、養老鉄道養老線養老駅がある。 

最寄りのインターチェンジは、名神高速道路大垣インターチェンジである。 

養老公園から養老の滝の途中には、株式会社養老ロープウェーの一人乗りの観光用リフトがある。

脚注[編集]

  1. ^ 国土地理院)点名:笙ヶ岳、所在地:岐阜県大垣市大字一之瀬字奥山2284-1
  2. ^ 平成18年豪雪の冬には多くの積雪があった。
  3. ^ 『名古屋から行く 隠れた名山64』七賢出版、ISBN 4-88304-249-9、P122
  4. ^ 『こんなに楽しい 岐阜の山旅100コース 美濃(上)』風媒社、ISBN 4-8331-0114-9、P21
  5. ^ 基準点成果等閲覧サービス(国土地理院)

参考文献[編集]

関連項目[編集]