社会福祉援助技術

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社会福祉援助技術(しゃかいふくしえんじょぎじゅつ)は、社会福祉における要援助者(福祉サービス利用者・クライエント)に対してソーシャルワーカーの用いる技術の総称であり、その体系。ソーシャルワークとも表記される。学問としては社会福祉学の一分野。

ソーシャルワークを用いてクライエント(依頼者)を援助する者をソーシャルワーカーと呼び、日本のソーシャルワーカーは資格として福祉系資格の最上位である社会福祉士[1]、もしくは社会福祉士の精神科限定版の資格である精神保健福祉士国家資格となっている。

概要[編集]

  • 様々な社会福祉制度・政策上において専門的な技術・知識を相互活用し、クライエントを援助するための技術。特に『ソーシャルワーク』の用語を用いる時は、この技術を用いた活動の総称(日本語に直すと『社会福祉実践』などとなる)としても使われる場合がある。
  • 源流は19世紀末におけるイギリス慈善組織協会の各種慈善活動とされる。アメリカに概念が渡って後、同国にてメアリー・リッチモンドフェリックス・P・バイステックヘレン・ハリス・パールマンらによって理論が体系化されていく。
  • 当初は慈善活動による実践主義・前例主義的な体験の積み重ねでしかなかったが、後にそこから心理学社会学の影響を受けて発展していく。なお、その過程で援助に対する様々な考えや姿勢が生まれ、現在においてそれらは『主義(派)』として大きく3つに分けられている。(後述)

代表的な構成技術[編集]

直接援助技術[編集]

  • ケアワーク(直接介護)- 別体系として取り扱われることもある

間接援助技術[編集]

  • 調査データ収集(調査方法)
  • 調査データ分析(分析方法)
  • 社会診断(社会総体の現状把握)
  • ニーズキャッチ(地域におけるサービス需要の把握)

主義派[編集]

クライエントに対するワーカーの立場・見方によって、技術の利用法の傾向が大きく3派に分けられる。

診断主義[編集]

社会福祉援助技術において最も伝統的な主義でS.フロイト精神分析に強く影響を受けた一派。クライエントという個人の持つ問題に対して医学的解釈をもち、クライエントの状態からその問題点を診断し、ピンポイントな解決方法を提示する事でその解決を成そうとする傾向を持つ。(医学モデル

ただし、この考え方が行き過ぎるとクライエントは患者でワーカーは医者という関係が成り立ち、対症療法のごとく直接的な指示に陥る事があり、クライエントの成長に結びつかないという援助の落とし穴を呼び込む。また、クライエントへの安易なラベリング(決め付け)やカテゴライズ(分類主義)に陥りやすい。また問題が広範囲(精神的問題・制度的問題・人間関係的問題)に派生しやすい、日常に密接した『生活空間』という様々なケースを扱う社会福祉という現場では理想論に終わり実効性に乏しい援助となる危険性があると他派より発せられる場合がある。

一方で精神分析を取り入れているため、精神面に大きな問題を持つクライエントに対しては絶大な効果を発揮する。

病院などの医療機関精神障害知的障害が密接に関わってきた福祉現場で勤務してきたカウンセラー系のワーカーに多いタイプ。

機能主義[編集]

診断主義の精神医学的立場による問題(対症療法化・ラベリング・カテゴライズ・理想論化)を解決するため、クライエントを生態学的な『関係という観点』から見つめ直し(エコロジカル・アプローチ)クライエントの持つ問題を『クライエントを取り巻く(もしくは自身の)関係機能の不全』として捉え、その外部よりの調整によって問題の解決を成そうとする一派。

クライエント自身ではなく、それをとりまく制度や環境の問題から、解決の糸口を見つけようとする一派とも言える。この主義に基づくと、クライエントには元より自らの問題を解決する能力が備わっており、それを補佐する(サービスの提供・情報の提供・それらの取捨選択を考えさせる、など)事で問題の解決が図れるとされる。(生活モデル

ただし、この考え方が行き過ぎるとクライエント自身の内面的問題を見落としがちになる。またクライエントや社会への働きかけによる自然な変化を待つ事例も出るため、診断主義よりも実効性はあれども即効性には乏しく、機能主義による福祉技術の活用は長丁場を強いられる事も少なくない。

一方で機能論の取り入れにより、よりクライエントを中心として広範囲に派生した各種問題に対して柔軟に対応できる利点を持つ。

福祉事務所隣保館、街中の社会福祉施設など地域生活に密接し多岐にわたるケースを扱う場所において勤務してきたケースワーカー系のワーカーに多いタイプ。

混合型[編集]

診断主義のクライエント個人への診断的アプローチと、機能主義のクライエントの周囲関係への機能的アプローチを同時に取り入れ、即効的な効果と継続的な援助を行い、問題の効果的解決を成そうとする一派。

効果的な半面で継続的な援助を必要とするため完結的解決が存在しない。そのために『本当の解決に至っていない』とする批判が出ることもある。一方で『より日常に対して密接で現実的な援助が可能になる』という考え方もある。

現在のワーカーはこのタイプを選択する者も多い。主に日常生活を地道かつ継続的に援助するため、まさしく即時援助と継続援助の双方が求められるケアワーカー系のワーカーに多いタイプ。

関連項目[編集]

  • 福祉 (教科) - 教職課程を履修するにあたり、「教科に関する科目」の中で、「社会福祉援助技術」という科目区分が存在する。


註釈[編集]

  1. ^ 2008年までの指定科目では、ケースワーク・グループワーク・コミュニティワーク・社会福祉調査法の大きく4つに分類されて、一つの指定科目とされていた。2009年以降の指定科目としては、社会福祉調査法の部分が「社会調査の基礎」として独立し、残るケースワーク・グループワーク・コミュニティワークの3つについては、「相談援助の基盤と専門職」、「相談援助の理論と方法I」、「相談援助の理論と方法II」に再編統合された。