抒情組曲 (グリーグ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

抒情組曲」(じょじょうくみきょく、Lyriske suite)作品54は、エドヴァルド・グリーグ管弦楽曲ピアノのための『抒情小曲集』第5集(作品54)から4曲を選んで管弦楽編曲し、組曲としたもの。

作曲(編曲)の経緯[編集]

6曲からなる『抒情小曲集』第5集は1891年の作曲で、全10集に及ぶ一連の曲集の中でも最も評価が高いものである。この第5集から4曲が、1895年ハンガリーの指揮者アントン・ザイドルアントニン・ドヴォルザークの『新世界より』の初演者として知られる)によって管弦楽用に編曲され、「ノルウェー組曲」と名付けられた。ザイドルが選んだのは原曲第2曲「ノルウェー農民の行進」、第3曲「小人の行進」、第4曲「夜想曲」、第6曲「鐘の音」である。

ザイドルの没後、ノルウェーの作曲家・指揮者でグリーグの姪の婿でもあるヨハン・ハルヴォルセンがザイドル未亡人から総譜を送ってもらい、1904年にクリスチャニア(現オスロ)の国立劇場のオーケストラで指揮した。グリーグはそのリハーサルを聴いて、自らの手で改訂したいと考え、ザイドル未亡人の承諾を得て同年に改訂を行った。もともとザイドルの編曲はグリーグに無断で行われたものだったにもかかわらず、本来必要のない改訂料まで未亡人側に支払われている。

グリーグの改訂では、「鐘の音」が省かれて原曲第1曲「羊飼いの少年」が新たに編曲して加えられた。他の曲もほとんど全面的にオーケストレーションが改められており、名実ともに「グリーグ編曲」として扱われている。

初演については不明。楽譜は1905年ライプツィヒペータースから出版された。

演奏時間は曲順に約5分、約2分、約4分、約3分で、計約14分である。

楽器編成[編集]

ピッコロフルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、チューバティンパニ大太鼓シンバルハープ弦五部

内容[編集]

  1. 羊飼いの少年 (Gjætergut)
    弦五部とハープのみによる。原曲はト短調だったがイ短調に変更されている。
  2. ノルウェー農民の行進 (Ganger)
    原曲はハ長調だったがニ長調に変更されている。
  3. 夜想曲 (Aftenstemning)
  4. 小人の行進(トロルの行進) (Troldtog)
    後半2曲は原曲と曲順が入れ替わっている。『抒情小曲集』第5集と『抒情組曲』の作品番号は同じであるので注意を要する。

『抒情小曲集』からのその他の編曲[編集]

グリーグは『抒情小曲集』第9集(作品68、1898年)からも、1899年に第4曲「山の夕べ」(オーボエ、ホルン、弦楽合奏)と第5曲「ゆりかごの歌」(弦楽合奏のみ)を編曲している。

グリーグ自身やザイドル以外にも、『抒情小曲集』中の曲を管弦楽編曲した例は少なくなく、独自に組曲を編んでいるケースもあるが、『抒情組曲』のようにオーケストラの一般的なレパートリーとなったものはない。

参考文献[編集]

  • 作曲家別名曲解説ライブラリー18 北欧の巨匠(音楽之友社