上野王子 (御坊市)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

上野王子(うえのおうじ)は和歌山県御坊市にある神社。九十九王子の一つ。塩屋王子から国道42号沿いの旧道を進み、上野川を渡る橋の手前、名田町上野の集落のはずれに王子址があり上野王子の標識がある。御坊市指定史跡(1969年昭和44年〉5月8日指定)[1]

中右記天仁2年(1109年)10月20日条に上野坂にて祓をしたとあるが、王子としての初見は「熊野道之間愚記」(『明月記』所収)建仁元年(1201年)10月10日条に「次うへ野王子」とあるもので、『民経記』承元4年(1210年)4月26日条にも参詣の記がある[2]。近世の記録では、小栗街道沿いの畑の中にある仏井戸が王子旧址で(『紀伊続風土記』)、仏井戸の底にある仏像3体(地蔵菩薩阿弥陀如来観音菩薩[3])を王子の本地仏とし、多くの参詣者がいた(『紀伊名所図会』)としている。この仏井戸は国道沿いに現存し、年に2回井戸の水をくみ出して清める[3]。仏井戸は御坊市指定史跡(1969年〈昭和44年〉7月18日指定)[4]

[編集]

  1. ^ 上野王子跡”. 御坊市教育委員会. 2009年9月27日閲覧。
  2. ^ 平凡社[1997: 105]
  3. ^ a b 西[1987: 129]
  4. ^ 仏井戸”. 御坊市教育委員会. 2009年9月27日閲覧。

文献[編集]

  • 西 律、1987、『熊野古道みちしるべ - 熊野九十九王子現状踏査録』、荒尾成文堂(みなもと選書1)
  • 長谷川 靖高、2007、『熊野王子巡拝ガイドブック』、新風書房 ISBN 9784882696292
  • 平凡社編、1997、『大和・紀伊寺院神社大事典』、平凡社 ISBN 458213402-5

関連項目[編集]

塩屋王子 - 上野王子 - 津井王子
九十九王子一覧
城南宮 八軒家船着場 窪津王子 坂口王子 郡戸王子 上野王子 阿倍王子 津守王子 境王子 大鳥居王子
篠田王子 平松王子 井ノ口王子 池田王子 麻生川王子 近木王子 鞍持王子 鶴原王子 佐野王子 籾井(樫井)王子
厩戸王子 信達一ノ瀬王子 長岡王子 地蔵堂王子 馬目王子 中山王子 山口王子 川辺王子 中村王子 吐前王子
川端王子 和佐王子 平緒王子 奈久知王子 松坂王子 松代王子 菩提房王子 藤代王子 藤白塔下王子 橘本王子
所坂王子 一壷王子 蕪坂王子 山口王子 糸我王子 逆川王子 久米崎王子 井関(津兼)王子 河瀬王子 馬留王子
沓掛王子 馬留王子 内ノ畑王子 高家王子 善童子王子 愛徳山王子 九海士王子 岩内王子 塩屋王子 上野王子
津井王子 斑鳩王子 切目王子 切目中山王子 岩代王子 千里王子 三鍋王子 芳養王子 出立王子 秋津王子
万呂王子 三栖王子 八上王子 稲葉根王子 一ノ瀬王子 鮎川王子 滝尻王子 不寝王子 大門王子 十丈王子
大坂本王子 近露王子 比曽原王子 継桜王子 中ノ河王子 小広王子 熊瀬川王子 岩神王子 湯川王子 猪鼻王子
発心門王子 水呑王子 伏拝王子 祓戸王子 本宮大社 湯ノ峯王子 速玉大社 浜王子 佐野王子 浜の宮王子
市野々王子 多富気王子 那智大社 ■Template