ヤマアラシ

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ヤマアラシ科・アメリカヤマアラシ科

Atherurus macrourus
アジアフサオヤマアラシ
分類
界 : 動物界 Animalia
門 : 脊索動物門 Chordata
亜門: 脊椎動物亜門 Vertebrata
綱 : 哺乳綱 Mammalia
目 : ネズミ目(齧歯目) Rodentia
上科: ヤマアラシ上科 Hystricomorpha
科 : ヤマアラシ科 Hystricidae
アメリカヤマアラシ科 Erethizontidae
属・

本文参照

ヤマアラシ山荒豪猪)は、ヤマアラシ科およびアメリカヤマアラシ科に属する草食性齧歯類の総称である。体の背面と側面の一部に鋭い針毛(トゲ)をもつことを特徴とする。

また、日本妖怪としてヤマアラシまたはヤマオロシというものがいるが、この動物との関連性は不明。

目次

[編集] 旧世界ヤマアラシと新世界ヤマアラシ

ヤマアラシという名で呼ばれる動物は、いずれも背中に長く鋭い状の体毛が密生している点で、一見よく似た外観をしている(針毛の短い種もある)。しかし、“ヤマアラシ”に関して最も注意すべきことは、ユーラシアアフリカに分布する地上生のヤマアラシ科と、南北アメリカに分布する樹上生のアメリカヤマアラシ科という2つのグループが存在することである。これらは齧歯類という大グループの中で、別々に進化したまったく独立の系統であり、互いに近縁な関係にあるわけではない。

両者で共有される、天敵から身を守るための針毛(トゲ)は、収斂進化の好例であるが、その針毛以外には、共通の特徴はあまり見られない。齧歯目(ネズミ目)の分類法には諸説があるが、ある分類法では、ヤマアラシ科はフィオミス型下目、アメリカヤマアラシ科はテンジクネズミ型下目となり、下目のレベルで別のグループとなる。

2群の動物が、現在に至るまでヤマアラシという共通の名前で呼ばれているのは、そもそもヨーロッパから新大陸に渡った開拓者たちが、この地で新たに出会ったアメリカヤマアラシ類を、まったくの別系統である旧知のヤマアラシ類と混同して、呼称上の区別をつけなかった名残りに過ぎない。特に区別する必要があるときは、それぞれ「旧世界ヤマアラシ」「新世界ヤマアラシ」と呼び分けるのが通例である。

[編集] 分類

ヤマアラシはヤマアラシ科およびアメリカヤマアラシ科の2つの科からなる。 ヤマアラシ科はアジアとアフリカ(およびヨーロッパのごく一部)に生息する地上性のヤマアラシである。夜行性で、昼間は岩陰や地中に掘った巣穴に潜んでいる。アメリカヤマアラシ科は北アメリカ南アメリカに生息するヤマアラシで、丈夫な爪をもち、木登りが得意である。こちらも夜行性で、昼間は岩陰や樹洞に潜んでいる。

ウィキメディア・コモンズ
  • ヤマアラシ科 Hystricidae
    • アフリカフサオヤマアラシ Atherurus africanus
    • アジアフサオヤマアラシ Atherurus macrourus
    • タテガミヤマアラシ Hystrix cristata
    • ケープタテガミヤマアラシ Hystrix africaeaustralis
    • ヒマラヤヤマアラシ Hystrix hodgsoni
    • インドタテガミヤマアラシ Hystrix indica
    • マレーヤマアラシ Hystrix brachyura
    • ボルネオヤマアラシ Thecurus crassispinis
    • パラワンヤマアラシ Thecurus pumilis
    • スマトラヤマアラシ Thecurus sumatrae
    • ネズミヤマアラシ Trichys fasciculata
ウィキメディア・コモンズ
  • アメリカヤマアラシ科 Erethizontidae
    • オマキヤマアラシ Coendou prehensilis
    • フタイロオマキヤマアラシ Coendou bicolor
    • クープマンヤマアラシ Coendou koopmani
    • ロスチャイルドヤマアラシ Coendou rothschildi
    • メキシコキノボリヤマアラシ Sphiggurus mexicanus
    • ミナミキノボリヤマアラシ Sphiggurus spinosus
    • オグロキノボリヤマアラシ Sphiggurus insidiosus
    • ニシインドキノボリヤマアラシ Sphiggurus pallidus (絶滅)
    • コロンビアキノボリヤマアラシ Sphiggurus vestitus
    • チャイロキノボリヤマアラシ Sphiggurus villosus
    • カナダヤマアラシ Erethizon dorsatum
    • アマゾンヤマアラシ Echinoprocta rufescens

[編集] 針毛(トゲ)による防御

個体から抜け落ちた針毛

他にもモグラ目ハリネズミカモノハシ目ハリモグラなど、体が針で覆われた哺乳類が知られているが、それぞれが独自に進化の過程において針を獲得してきた。

通常、針をもつ哺乳類は外敵から身を守るために針を用いるが、ヤマアラシは、むしろ積極的に外敵に攻撃をしかける攻撃的な性質をもつ。肉食獣などに出会うと、尾を振り、後ろ足を踏み鳴らすことで相手を威嚇する。そして背中の針を逆立て、後ろ向きに突進する。針毛は硬く、空き缶程度のものなら貫く強度がある。

ケープタテガミヤマアラシ Hystrix africaeaustralisなどの針は白黒まだらの目だつ模様をしている。これはスズメバチの腹の黄黒まだらの模様と同じく、警告色の役割をしていると考えられる。

[編集] 生態・形態的特徴

ヤマアラシは通常、頭胴長63~91cm、尾長20~25cm、体重5.4~16kg。夜行性で、穀類果実、木の、樹皮、などの植物を食べる。群れをつくらず単独行動で生活している。1度に出産する子供の数は1~2頭と少ない。

[編集] ヤマアラシにまつわるものごと

ヤマアラシのジレンマ
「自己の自立」と「相手との一体感」という2つの欲求によるジレンマ。寒空にいる2匹のヤマアラシがお互いに身を寄せ合って暖め合いたいが、針が刺さるので近づけないという、ドイツ哲学者ショーペンハウアー寓話による[1]
但し、心理学的には、上述の否定的な意味と「紆余曲折の末、両者にとってちょうど良い距離に気付く」という肯定的な意味として使われることもあり、両義的な用例が許されている点に注意が必要である。

[編集] 日本で見られる施設

[編集] 参考図書 

  • 日本雑学研究会『動物おもしろ性態学 』毎日新聞社, 2005, 284p

[編集] 外部リンク

  1. ^ 実際にはヤマアラシは針のない頭部を寄せ合って体温を保ったり、睡眠をとる。