テンジクネズミ科

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テンジクネズミ科
テンジクネズミ
テンジクネズミ Cavia porcellus
地質時代
中新世中期 - 現代
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 齧歯目 Rodentia
亜目 : ヤマアラシ形亜目 Hystricomorpha
下目 : ヤマアラシ顎下目
Hystricognathi
小目 : テンジクネズミ型類 Caviomorpha
: テンジクネズミ科 Caviidae
学名
Caviidae Fischer, 1817[1]
和名
テンジクネズミ科[2][3]
亜科・属

テンジクネズミ科(テンジクネズミか、Caviidae)は、齧歯目に含まれる科。

分布[編集]

南アメリカ大陸[3]パナマ[4]

形態[編集]

最大種はカピバラで体長106 - 134センチメートル、体重オス35 - 64キログラム、メス37- 66キログラムと現生の齧歯類でも最大[4]ヤマクイ属は体長22センチメートル、体重0.3キログラムと小型[3]。カピバラ亜科とテンジクネズミ亜科には尾がない[3][4]

歯列は門歯上下2本ずつ、臼歯上下2本ずつ、大臼歯上下6本ずつの計20本[5][6]。前肢の指は4本、後肢の趾は3本[3][4]

分類[編集]

カピバラ属のみでカピバラ科Hydrochoeridaeを構成する説もあった[4]。2002年に発表されたGHR遺伝子のエクソン・TTF遺伝子のイントロン・ミトコンドリアDNAの12S rRNAの塩基配列を決定し最大節約法最尤法によって行われた分子系統推定では、カピバラ属がモコ属と単系統群を形成するという解析結果が得られたため本科に含める説が有力とされる[7]

以下の分類・英名はMSW3(Woods & Kilpatrick, 2005)、和名は川田ら(2018)に従う[1][2]

生態[編集]

草原砂漠森林などの様々な環境に生息する[3][4]

食性は植物食で、植物の茎、葉、果実などを食べる[3][4]

繁殖様式は胎生。生後1 - 3か月で性成熟する種が多い[3]。カピバラは生後18か月で性成熟する[4]。早成性[3][4]

人間との関係[編集]

生息地では食用とされることもある[3][4]。特に南米エクアドルペルーなどでは、クイ(上記のクイではなく、モルモットのこと)の丸焼きが郷土料理の一つとなっていた。

テンジクネズミはインカ帝国時代には家畜として飼育されていた[3]。19世紀以降は実験動物としても利用されている[5]。ペットとして飼育される可愛いらしい小動物で、人間の良きパートナーとして実績がある。

参考文献[編集]

  1. ^ a b Charles A. Woods, C. William Kilpatrick, "Order Rodentia". Mammal Species of the World, (3rd ed.), Volume 2, Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (ed.), Johns Hopkins University Press, 2005, .
  2. ^ a b 川田伸一郎, 岩佐真宏, 福井大, 新宅勇太, 天野雅男, 下稲葉さやか, 樽創, 姉崎智子, 横畑泰志世界哺乳類標準和名目録」『哺乳類科学』58巻 別冊、日本哺乳類学会、2018年、1-53頁。
  3. ^ a b c d e f g h i j k Thomas E. Lacher Jr. 「テンジクネズミ」伊澤紘生訳『動物大百科5 小型草食獣』今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編、平凡社1986年、106-108頁。
  4. ^ a b c d e f g h i j David W. Macdonald, Emilio. Hererra 「カピバラ」伊澤紘生訳『動物大百科5 小型草食獣』今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編、平凡社、1986年、112-115頁。
  5. ^ a b Gorog, T. and P. Myers 2000. "Caviidae" (On-line), Animal Diversity Web. Accessed October 01, 2015 at http://animaldiversity.org/accounts/Caviidae/
  6. ^ Myers, P. 2000. "Hydrochoerinae" (On-line), Animal Diversity Web. Accessed October 01, 2015 at http://animaldiversity.org/accounts/Hydrochoerinae/
  7. ^ Diane L. Rowe & Rodney L. Honeycutt, "Phylogenetic Relationships, Ecological Correlates, and Molecular Evolution. Within the Cavioidea (Mammalia, Rodentia)", Molecular Biology and Evolution, Volume. 19, Issue. 3, Oxford University Press, 2002, Pages 263-277.

関連項目[編集]