モチュール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

モチュール: MOTUL )は、フランスに本社を置く潤滑油・カーメンテナンスケミカルメーカー。1853年に設立され、現在は世界80カ国以上で展開している。日本では特に高価格帯のオートバイ用オイルでシェアが高く、モータースポーツのサポートも積極的である。

歴史[編集]

今から約150年前の1853年、ニューヨークで設立。 当時は電灯用の燃料として鯨油を生産していた。 その後、ロックフェラー・グループのスタンダード石油の一部門として活動。1919年に財閥が解体されるとスワン・フィンチとして独立した。

スワン・フィンチの時代にアメリカでのビジネスを確立し、ヨーロッパへの輸出を開始。フランス市場の代理店であったゾウグ・ファミリーは1932年、モチュールブランドをスワン・フィンチ社より買収。以来フランスのモチュールとして展開してきた。

日本におけるモチュール製品は、テクノイル・ジャポンK.K.(本社:神奈川県横浜市 1989年設立)が総輸入販売元となっている。 鈴鹿8時間耐久ロードレースにおいてヨシムラジャパンをスポンサードし、抜群の性能を示したことから二輪レース業界での高い信頼と評価を得た。最近は四輪レース活動も活発で、ニッサン・モータースポーツ・インターナショナルホンダ・レーシングなどと組んでレーシングオイルを初めとするオイルの開発を行っている。特にスーパーGTではモチュールを使用しているチームは多く、最近ではフォーミュラ・ニッポンでもM-TECと組んでレース活動を行っている。 また、WRCラリーではスバルテクニカインターナショナルと活動を行っており、ダカール・ラリーではトヨタ車体ランドクルーザーにて参戦をしている。 この様にモータースポーツとの繋がりが深いオイルメーカーであるが、ディーラーでの個人販売も活発に行われている。プレミアムオイルとしてのブランドイメージが確立しており、価格設定も比較的高めである。

主な製品(エンジンオイル)[編集]

300Vシリーズ[編集]

基油にコンプレックスエステルを進化させ、ポリマーエステルを配合したダブルエステルを用いた、モチュールのフラッグシップ的エンジンオイルであり、同社の代名詞的な存在である。以前は二輪/四輪共用オイルであったが、現在ではそれぞれ別の処方となっている。 シェアレスゼロを謳い、「せん断による粘度低下がない」とアピールしているが、実際には燃料希釈(ダイリューション)などの影響で粘度低下は避けられない。 正規輸入の他に、数多くアジア、アメリカ経由の並行輸入品も日本国内で流通しており、正規輸入品に比べてかなり安価で販売されている。それらの並行輸入品と、正規輸入されている300Vとではブレンドが異なるといわれ、総輸入販売元のテクノイル・ジャポンK.K.は「日本仕様は湿度対策が強化されている」とアナウンスしている。 正規輸入のものは樹脂ボトル入りであるが、並行輸入品は金属缶に入れられている。モチュールでは、日本向け300V以外の容器の裏には「日本での保障は対象外となります。」と注意書きを添えている。

300Vが二輪と四輪とで区別化された際、実際に処方が変更されたのは四輪用のみであり、当初二輪用として販売された300Vは二輪/四輪共用時代と同じであった。その後二輪用300Vもファクトリーラインとして処方が変更され、クラッチの滑りを抑えた高摩擦特性を持たせたため、燃費、レスポンスではマイナスになってしまう。そこでクラッチ力に余裕があり、JASO T903のMB(低摩擦特性油)も使用可能なCBRや、競技用バイク向けに、低粘度かつ低摩擦特性に処方した300V RACING KIT OIL 2172H 0W-30もラインナップに揃えている。(ただし、ヤマハワークスなどに供給しているオイルと市販品とでは処方が異なる。300Vはフルエステルベースであるが、ワークス向けはPAOを配合している。)

尚、より高摩擦特性に処方したオフロード用300Vはダブルエステルではないが、価格はダブルエステルの300Vと同じである。

300Vは純コンペ仕様オイルのように極端に寿命が短くはない。しかし基本的は競技向けでマニアをターゲットにしたオイルのため、寿命もそう長くはない。300Vシリーズは異なる粘度を組合せ、任意の粘度に調合できるが、5W-40のみブレンドは不可としている。これは調合後の粘度がどうなるか販売元が掴めていないだけの問題であり、実用上はトラブルが生じることはない。

8100シリーズ[編集]

ACEA規格の認証や、欧州自動車メーカーのロンクライフ規格の認証を得たPAOにポリオールエステル(POE)を配合した100%化学合成オイル。但し、粘度によりメーカーアプルーバルや、API、ACEA規格グレードは異なる。基本的には欧州市場向けであるため、API規格は相当表示でEolcsの認証は得ていない(ただしAPI認証のある製品も存在する)。

H-TECHシリーズ[編集]

テクノイル・ジャポンK.K.が企画した国産のライセンス生産された100%化学合成油であり、ハイVIオイル(グループIIIベース)である。整備工場向けのオイルでドラム缶やペール缶での販売となる。同じようなグレードのオイルで、バイクチェーンショップのレッドバロン専売の200-4TR/Sという銘柄も揃えている。


※300V以外ではアメリカ製のモーターサイクル用モチュールのオイルも並行輸入されているが、モチュールはブランド戦略が成功し、舶来・レーシーな高級イメージ高く保てているために、正規輸入品と比較して価格はそう安くはない場合が多い。アメリカ製のモチュールも樹脂ボトルに充填されているが、フランス製のボトルに比べて材質が軟らかく、内容量も1QT(946ml)となっている。

外部リンク[編集]

  • MOTUL (テクノイル・ジャポンK.K.)
  • EOLCS (MOTUL 唯一のAPI認証オイル)
  • MOTUL (MOTUL本国のページ)