ノート:ヒエログリフ/過去ログ1

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改名提案

以下の改名を提案します。

理由を挙げます。

  1. 「ヒエログリフ」「デモティック」「ヒエラティック」の区分は、エジプト中心部で行われた文字体系だけでなくメロエ文字などでもされることがあるので、エジプトのものだけをこれらの記事名で解説すべきでないとおもいます。
  2. ヒエログリフ (聖刻文字) の記事名の例としてほかにクレタ聖刻文字などもすでにあり、整合性をとるほうがいいとおもいます。
  3. エジプトの3種の文字体系については書体差であるとする立場もあるようですが (たとえば『世界文字辞典』では3者を「○○文字」ではなく「○○書体」としています)、「○○文字」とする用例が多いです (たとえば矢島文夫監修の「失われた文字を読む」シリーズなど)。そこで、派生した2体系は「書体」とし、それらも解説の範囲に入ってくる当記事については「エジプト聖刻文字」としてはどうかとおもいます。

提案は以上です。 --Hatukanezumi 2008年7月19日 (土) 11:21 (UTC)

"エジプト聖刻文字"という呼称はそれなりに用いられているようですが、"エジプト民衆書体"、"エジプト神官書体"については、試しにgoogleで検索した限りでは、全く通用していない模様です。また、学界でも"エジプト聖刻文字"より"ヒエログリフ"の方が明らかに広く使われております。よって、新たな記事名の採用はWikipedia:記事名の付け方の方針に反するため、提案に反対致します。--白文鳥 2008年7月29日 (火) 11:46 (UTC)
んと。Google ではなく、文献上での用例典拠を挙げてもらえないでしょうか。こういうマイナーな分野の用語法については、インターネット上での用例はほとんど決め手になりません。
また、「学会でも」と言われても具体的な用例がどういう使われかたなのかわかりません。上に書いたように聖刻書体と民衆書体を区別する意味で「ヒエログリフ」と言っている可能性もあり、そうだとすると古代エジプトの聖刻書体で「ヒエログリフ」を代表させるのはむしろまちがいです。
まあ民衆書体と神官書体については『世界文字辞典』の用語法は筆者の好みがでているようにおもうんで、「エジプト民衆文字」「エジプト神官文字」などでもいいだろうとおもいます。ただすぐ上の理由から「デモティック」「ヒエラティック」とはしたくないんですね。 --Hatukanezumi 2008年8月7日 (木) 14:22 (UTC)

繰り返しになりますが、聖刻書体とそのほかの書体の区別は、古代エジプトの文字だけに見られるわけではないです。だから、以前から当記事の項目名は不適切だと思っていたのですが、実際にクレタ聖刻文字といった記事が立つようになりましたからね。

それはともかく、学界の用例をちょっとしらべてみました。

CiNiiで「ヒエログリフ」をキーワードに検索し、研究論文誌とおぼしき記事をピックアップしました。ヒットした17件のうちの5件です。

小野 文 (2007/04). “19世紀と書記法 (エクリチュール) 研究 : ヒエログリフと漢字の関係を巡って”. 関西大学東西学術研究所紀要 (Vol.40): pp. A157-A178. ISSN:02878151. http://ci.nii.ac.jp/naid/110006559032/. 
アブストラクトでは「Hyeroglyphics」ですし、本文中では古代エジプト文字の3つの類型をまとめて「ヒエログリフ」と呼んでいることがわかります。聖刻書体のことを指していません。
関 和明 (1993/05/30). “古代エジプトにおける「セド祭殿」の建築形式について”. 日本建築学会計画系論文報告集 (No.447): pp. 119-128. ISSN:09108017. http://ci.nii.ac.jp/naid/110004083069/. 
初出で「聖刻文字 (ヒエログリフ)」とし、あとは「聖刻文字」としています。
高津 道昭 (1985/10/30). “古代エジプト文字ヒエログリフについて”. 筑波大学芸術年報 (Vol.1985): pp. 50-51. ISSN:02895315. http://ci.nii.ac.jp/naid/110000258176/. 
本文が公開されていないので用法が不明です。「古代エジプト文字であるヒエログリフ」なのか、「古代エジプト文字のヒエログリフ体」なのか。
齋藤 繁 (2007/03). “発達障害児のための非音声言語的意思伝達方法について”. 弘前学院大学社会福祉学部研究紀要 (Vol.7): pp. 1-7. ISSN:13464655. http://ci.nii.ac.jp/naid/110006406323/. 
p.2 左段の下にある「これらヒエログリフ」という表現でわかるように、表語文字一般の意味で使っています。エジプトのものは「エジプトのヒエログリフ」と限定しています。ただ、聖刻書体とそのほかの書体の区別を明確に意識しているわけではないようです。
満島 直子 (1999). “ディドロ『聾唖者書簡』におけるヒエログリフを巡って”. 年報地域文化研究 (No.3): pp. 325-352. ISSN:13439103. http://ci.nii.ac.jp/naid/40005370139/. 
本文が公開されていないので詳細不明です。ディドロはどんなことを述べているのでしょうか。

というわけで、学界では「ヒエログリフ」が、当記事のテーマである古代エジプトの文字の聖刻書体の意味で「明らかに広く使われて」いるとは言えないんじゃないでしょうか。 --Hatukanezumi 2008年8月9日 (土) 09:43 (UTC)

とりあえず、ヒエログリフについてはエジプト聖刻文字への改名のためのリンク修正作業に入りたいとおもいます。1週間程度後に、実際のリンク修正に着手し、その作業を終了した後に当記事の改名を実施します。

そのほかについては、用例が十分に蓄積されていないという問題はあるとおもいますので、別途適切な記事名を検討すべきかとおもいます (ただ、ヒエログリフを改名する以上、それにみあったなんらかの改名作業が必要と考えます)。 --Hatukanezumi 2008年8月12日 (火) 15:45 (UTC)

改名が濃厚になってきたから出るけど、もう少し一般の用例にも配慮してよ。独自研究だよこれ。どうしてもヒエログリフ=エジプトという構図が嫌なら、ヒエログリフ (エジプト)じゃ駄目なの? 聖刻文字という言葉にこだわる必要はあるの?--122.25.137.12 2008年8月12日 (火) 17:05 (UTC)
あ、それはありかもしれないですね。
ただ、ヒエログリフ (曖昧さ回避なし) という用語についての解説が一定必要になりますが、それをうまく書けますか? ならその案でもいいとおもうんだけど。(加筆) えっと、どこが独自研究なんだろう? --Hatukanezumi 2008年8月12日 (火) 17:20 (UTC) 加筆 --Hatukanezumi 2008年8月12日 (火) 17:26 (UTC)

私はずっと、貴方がヒエログリフという記事を新たに書きたがっているのだと思っていたのですが、実際には、貴方の側ではヒエログリフという記事を新たに書くつもりも、書く準備もないということで宜しいですね? 誰もエジプト以外のヒエログリフの記事を欲していないのであれば、現在の記事の冒頭に、

  1. ヒエログリフ、ヒエラティック、デモティックという区分における文字のひとつ。
  2. エジプトで用いられているヒエログリフ。本項で詳述。

という文言を加えるだけで済む話だと思いますが。あえて改名する必要性とは何でしょう?--白文鳥 2008年8月18日 (月) 13:29 (UTC)

「ヒエログリフ、ヒエラティック、デモティックという区分」について、単独記事として書くつもりは当分はないです (自分の中での優先順位が低いということ)。ただ、何度もいうように、メロエ文字にしろクレタの文字にしろ、これらの区分を持っているんで、古代エジプトの文字のヒエログリフ体がこの記事名になっていると、ほかの記事が書きづらいんです。
もちろん、白文鳥さんが調べて書いてくださるのでもかまわないのですよ。
で、結局、記事名をヒエログリフとすべきだという点については、根拠を示していただけてないようなんですが、なぜそうすべきだと考えるのでしょうか。教えてください。---「自分はそのように呼んでいるから」というのはなしで。 --Hatukanezumi 2008年8月19日 (火) 03:03 (UTC)
普通の人が「ヒエログリフ」と聞いたら「エジプトのアレですね」と答えるであろう、ということについてはおそらく議論するまでもないところだと思います。実物を見せられたら、たいていの人は「ヒエログリフ」とおそらく答えるであろうという気もします。改名に反対の人は、それで理由としては十分であるとみなしているということだと思います。それで、聞きなれない語へ改名されるのに違和感を覚えるということではないでしょうか。要するに「みんなそう呼んでいると思うから」ということになってしまいますが…。改名するにしても、「そういう意味も持っているのだから」というだけではあまりに原理主義的過ぎるというか、改名によるメリットが少ないという主張のように思われます。学会などで使われているといった「正式な名称」への変更、というわけでもないのですよね。デモティック、ヒエラティックについてはまた話が少し違ってくるのでしょうけれども。
論文などでエジプト以外の文字のヒエログリフ体について扱う場合はどのように表記しているのでしょう。もし何かうまい書き方があれば、それを使っていただくということにはできないでしょうか。また、ヒエログリフをエジプト聖刻文字に改名しても、ヒエログリフ全般に関する記事が存在しないままであれば、執筆上どういった利点、書きやすさがあるのか、いまいちよくわからないです。ヒエログリフはエジプト聖刻文字へのリダイレクトとして残るのですよね?
ところで hieroglyph という語は英和辞書をひくと「象形文字」となっていて[1]en:hieroglyph象形文字へ言語間リンクされています。もしも「ヒエログリフ」を新しい独立の記事とすると、言語間リンクがややこしいことになりそうです(仕方がないことですが)。--Calvero 2008年8月19日 (火) 15:52 (UTC)
うーん、なんで皆さん、用例について議論しているのに、用例の典拠を示さずに議論するんですか。少なくとも、いままでわたしが記事を書く上で参考にしてきた書物を見るかぎり (最初に代表的なものを挙げました)、「ヒエログリフ」は不正確だと考えられるのですが。
わたしは繰り返し同じことばかり言ってるんですが。「ヒエログリフ」「ヒエラティック」「デモティック」は、文字学上は書体変種の名前です。「聖刻文字」「神官文字 (書体)」「民衆文字 (書体)」とも言います。「そんな区分があることはわしは知らんかった (または、それが書体の区分であるという知識がなかった) から、そんな区分に注意を払わなくてよい」というのなら、それはたとえて言えば「ジベンゾフランニトロソアミン枯葉剤にまとめときましょうや」、というような話です。
で、言語間リンクですが、特に文字の分野では、英語版中心だとあきらかに音素文字POVなのね (というか、英語版では音素文字にあたる記事さえない。文字といえば音素文字をまず考えるからですね)。だから、言語間リンクはあまり基準にならない。それに、いまどき文字の研究で象形文字なんて言葉は使いません。なにかを象っただけの文字体系なんてものは存在しない (それは文字体系ではない) というのが、言語学や文字学の現在の知見ですから。百科事典の記事を書くのに、手元の字引きに依拠してどうするんですか。
まあ改名提案は 1 年以上前から考えていたので、もう数ヶ月くらい議論するのはかまいませんけどね。とにかく、印象論はやめてもらいたいです。 --Hatukanezumi 2008年8月19日 (火) 16:23 (UTC) 微加筆 --Hatukanezumi 2008年8月19日 (火) 22:26 (UTC)
Google Scholar で検索したところ、CiNii と同じような結果しか得られませんでした。ですので、とりあえず .ac.jp ドメインで見つかった事例を挙げてみます。
どれも参考とする資料としては微妙なものですが、私にはこのあたりがいまのところ関の山です。エジプトが専門の研究ではヒエログリフ=エジプトのもの、他の専門領域の場合ではヒエログリフ=字体、とするという傾向がありえるように思います(また印象になってしまいましたが…)。なお(他の百科事典を引っ張ってきて恐縮ですが)MSNエンカルタのヒエログリフ の項によると、「ヒエログリフ」はエジプトのものが本義で、のちヒッタイト、クレタ、マヤの文字もそう呼ばれるようになった、とありました。のでエジプトのものを中心として他のヒエログリフ項は(言葉の意味として)派生的なものとする立場もなくはないかな、と思いました。
Hatukanezumi さんのおっしゃりたいことも、わかるつもりであります。例えるなら、アルコールの項がエタノールの記述でほとんど占められているような状況、ともいえましょうか。
ともあれ、改名の候補としては「エジプト」の付け方(曖昧さ回避括弧・エジプト○○・エジプトの○○)、ヒエログリフ・神聖文字・聖刻文字の幅があると思います。冒頭の 2 で選択理由は既に示されていますが、122.25.137.12 さんのように、違うものでもよいというのであればそちらの方向で探ってみるのも良いかと思います。一般での使われ方の参考の一助として、Amazon での和書の検索結果は「ヒエログリフ」32件、「神聖文字」2件、「聖刻文字」2件でした。
それからエジプト民衆書体とエジプト神官書体ですが、これらについては「Googleで未見」→「世界文字辞典などで使われている表記である」ということで話はついている、ということで大丈夫なのでしょうか? --Calvero 2008年8月22日 (金) 12:54 (UTC)
「文字の分類案」ですが、文字#分類の節を書くときに参考にしました。もっとも、これは論文ではなくエッセイですので、これ自体を参考文献にしたことはありません。ここで引用されている文献を見て、この分野でどういうものを基礎文献として読めばいいかの参考にしたのです。余談ですが。
それはともかく、このエッセイも、「まず先行する業績について述べ、そのあとに筆者自身の見解を述べる」という学術論文のセオリーに則っています。前半で「エジプト文字」としているのは、「先行する業績」に基づいているためです。引用文献に河野や西田の名が見えることからもわかるとおり、この呼称は彼らが編集した『世界文字辞典』(『言語学大辞典』別巻) によっているのです。
『世界文字辞典』に現れる文字の呼称を利用者‐会話:Hatukanezumi/Drafts/文字体系データにまとめる作業をしていますので参照ください。……で、「『エジプト文字』になっているじゃないか」と言われるとおもいますが、これはまだ、辞典の見出ししか拾っていないためです。「エジプト聖刻書体」「神官書体」「民衆書体」については「エジプト文字」の項目本文中で言及されています (大項目主義ですね)。ほかにも「新ポエニ文字」のように本文の図中にしかでてこないものや、「サゥラーシュトラ文字」のように別の巻にしかでてこないものもあります。これも余談だな。
そのように注意してみると、ある程度学術的に文字体系について論じる書籍や論文では、用語の選択基準を『世界文字辞典』ないしは『言語学大辞典』に依拠した例が多いことがわかります。そういうわけで、最初に論拠として挙げたのです。あと、矢島の影響もつよいので、これも挙げました。
もうちょっと概括的、要約的な参考書も見てみると、歴史学研究会編『世界史年表』第二版 (岩波書店、1994) は「聖刻文字 (ヒエログリフ)」とし、『世界史年表・地図』第14版 (吉川弘文堂、2006) は「ヒエログリフ (聖刻文字)」としています。「エジプト」を冠していないのは、どちらも年表中の「古代エジプト」の欄に現れるので断る必要がないため、および、そもそもほかの文化・民族の「聖刻文字 (書体)」まで紹介するほど詳細なものではないためでしょう。 --Hatukanezumi 2008年8月28日 (木) 14:37 (UTC)
ついでに、下で白文鳥さんが「王道」と述べておられる吉村について。いまのところ、書店の店頭で見つけた彼の著述は啓蒙書、初学者向け教材などばかりです。彼はエジプト考古学が専門だということなんですが、文字学分野の業績はなにかあるのでしょうか。もうちょっと手をひろげてさがしてみます。 --Hatukanezumi 2008年8月28日 (木) 14:37 (UTC)

Hatukanezumiさんが仰る、「古代エジプトの文字のヒエログリフ体がこの記事名になっていると、ほかの記事が書きづらいんです」とは、どのような場合でしょうか。ヒエログリフと書いただけではメロエ文字のことを言っているのだと読者が気付かない、というのであれば、「メロエ文字のヒエログリフ」などと記せば読者が誤解することはないと思います。リンクの問題があるのでしたら、メロエ文字のヒエログリフ、などとしては如何でしょうか。また、私が上述した、記事名は変更せずに、「ヒエログリフはエジプト以外の文字(または書体)を意味することもある」という解説を本文中に加えるという方式は、どの辺りがご不満でしょうか。

出典でしたら、王道ながら、吉村作治氏の著作が、ヒエログリフという言葉をエジプトの文字を表すものとして用いていたと記憶しております。「上に書いたように聖刻書体と民衆書体を区別する意味で「ヒエログリフ」と言っている可能性もあり」と仰るように、内容の解釈の相異もあるかと思いますが、これに関してはHatukanezumiさんご自身に原文を確認していただくほかはないと思われます。その上で、こちらから再び質疑することもあるでしょう。ところで、「だから、以前から当記事の項目名は不適切だと思っていたのですが」という文言から推断すると、特定の有力な学者がヒエログリフという言葉の再定義を行っているわけではなく、ヒエログリフという言葉をエジプトの文字のみを意味するものとして用いるのは不適切だというのは、Hatukanezumiさんの独自のお考えであるということで宜しいでしょうか。

Calveroさんへ。初めまして。ヒエラティックとデモティックの改名については、何か結論が出たわけではなく、現在はヒエログリフの改名の是非だけで独立の争点となっているので、あまり論及されていないだけです。これから併行して議論していくことになるでしょう。ただ、図書館で文献を確認する時間が必要なので、直ちに議論に移ることはできないと思います。--白文鳥 2008年8月23日 (土) 00:39 (UTC)

その後、資料の捜索のほうはいかがでしょうか。
ある程度資料を読まれたとおもいますので、上で答えていなかった点に答えておきます。
「古代エジプトの文字のヒエログリフ体がこの記事名になっていると、ほかの記事が書きづらいんです」ですが、典型的には文字#エジプトヒエログリフ系文字で苦労しました。
  • 「エジプトヒエログリフ」という言葉を使っていますが、単に「ヒエログリフ」としてしまうと、この節とその下位の節で書いてあることの意味が通らなくなってしまいます。例: このほか、クレタヒッタイトで発見されている「ヒエログリフ」と呼ばれる文字体系も、エジプトヒエログリフの影響を受けていると考える研究者もいる。
  • 一方で、個々の文化で発生した文字体系群については、「ヒエログリフ」以外の体系の書体差を「神官書体」「民衆書体」「筆記体」などと記述しています。参考にした文献がそのように書いていたからです。
つまり、「ヒエログリフ」という用語を「古代エジプトの文字の聖刻書体」の意味で使うと不明瞭な解説となりますし、「聖刻書体」のみを「ヒエログリフ」と片仮名書きすると概念の対比が不正確になります。 --Hatukanezumi 2008年9月9日 (火) 04:54 (UTC)

議論のすすめかた関連

賛成。とりあえず、議論の共通の土台となる知識を持たないことには実りある議論にならないとおもうので、改名提案はしばらく (1、2箇月程度かな) 凍結します (取り下げはしません)。その間に図書館なんかに行って、いろいろ調べてみませんか>>皆さん。調べた結果にもとづく情報提供や意見表明は歓迎します。 --Hatukanezumi 2008年8月23日 (土) 04:57 (UTC)

再開した議論の最中に新たな調査の必要性が発見される可能性があり、現時点での凍結・延期は実益に乏しいかと思われます。今は議論を継続して争点をより浮き彫りにしていくべきでしょう。ところで、私の上述の提案と質疑に対しては、如何様にお考えですか。--白文鳥 2008年8月23日 (土) 11:55 (UTC)
改名をするかしないかが争点になってると、冷静な議論ができないかとおもってね。「ヒエログリフという言葉をエジプトの文字のみを意味するものとして用いるのは不適切だというのは、Hatukanezumiさんの独自のお考えであるということで宜しいでしょうか」などと難詰するのは、いかがなもんでしょう。が正しいとかが間違っているとか決めるために、議論をしているのではないですよね。
とにかく、吉村がそう言ってるというんなら、わたしも吉村の著作を見てみましょう。あなたもほかのひとがだした資料を読んだり、図書館でいろいろな資料を読んでみたりしてみてください。お互いの立っている土台が共通にならないと、議論にならんでしょう。 --Hatukanezumi 2008年8月23日 (土) 14:20 (UTC)

再開

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改名提案凍結から1カ月が経とうとしていますが、凍結前とくらべて状況の変化がほとんどありません。このままですと議論が停まっているとみなされて提案が見送り扱いとなる可能性がありますので、提案を再開したいとおもいます。

あらためて、最初の提案で不明確だった点を明確にして、改名を提案します。

改名提案の趣旨ですが、

  • まず「エジプト」は外せません。単なる書体分類としての「聖刻文字」(「ヒエログリフ」) と概念的に区別するためです。
  • そして、「エジプトヒエラティック」「エジプトデモティック」という表現を用いる例は、わたしの見た範囲ではまったく見つけられませんでした。
  • 「-書体」なのか「-文字」なのかについてですが、両者の用例が見られるものの、聖刻文字を「文字」とするのならそれに準じるべきでしょう。
    • とりわけ民衆文字については、略体、続け字、さらには独自の記号も発達していますし、表記している言語変種にも違いがあり、単なる書体差とは言えなくなっているため、読者に誤解を与えないためにも「文字」のほうがよいとおもいます。
  • 以上は記事名についての提案であって、とりわけ「ヒエログリフ」については、リンク元の記事の表記を機械的に「エジプト聖刻文字」に置き換えるわけにはいかないとおもいます。上で議論されたように、「ヒエログリフ」という語がどういう文脈、どういう意味で使われるかはさまざまです。パイプ記法を活用して対応します。

数日待って特に異論なければ、改名作業にとりかかります。 --Hatukanezumi 2008年9月20日 (土) 01:21 (UTC)

ヒエログリフ自体に関してよく知らないので改名の是非については何も言えません。
ただ、単に改名するだけだとヒエログリフエジプト聖刻文字へのリダイレクトとして残ります。リダイレクトで来た読者のために、記事の中にエジプト聖刻文字とヒエログリフの関係を追記する必要があると思います。(en:Hieroglyphの翻訳記事をヒエログリフとして作れば、英語版との整合性が取れてベストですね。)--Freetrashbox 2008年9月20日 (土) 02:48 (UTC)
そうですね。あまり大きな記事になりそうにないですが、ヒエログリフも記事として書きましょうか (とりあえず翻訳で)。聖刻文字はどちらのリダイレクトにすればいいかな。
余談。en:hieroglyphにはなぜ漢字が入っているのだろう。そういう分類をする研究者もいるのかな。調べてみます。
--Hatukanezumi 2008年9月20日 (土) 05:24 (UTC)
タイポ修正ついでの余談。en:hieroglyphでは “hieroglyph or hieroglyphics” であり、エジプトなどのものを “Egyptian hieroglyphs” としてますね。後者は「絵文字の集まり」くらいの意味でしょうか。余談終わり。 --Hatukanezumi 2008年9月20日 (土) 05:35 (UTC)

この改名案には反対です。他言語リンクをたどってみました。「エジプト・ヒエログリフ」が英独系、「ヒエログリフ」が仏語系というような感じになっています。エジプト学がフランス主導、ヒッタイト学がドイツ主導だった名残じゃないかとちょっと勘ぐりたくもなる分布です。本来(欧州側で)「ヒエログリフ」がエジプトのを指したことは間違いないのですが、その転用の基準は英語版の曖昧回避ほど単純ではないです。単に表語体系を含む文字体系、ということになると楔形文字まで含まれてしまいますが、楔形文字をヒエログリフと呼ぶことはまずないでしょう。アナトリア(旧ヒッタイト)の場合は、同じ地域から出土する楔形文字との区別、クレタの場合は線文字との区別、というように、図像形態的特徴を元に転用されて、文字体系名として使われています。アメリカ大陸のは区別のためではないですが、やはり同じ特徴を捉えたものです。大雑把にいえば、「象形文字」のような意味で「ヒエログリフ」を使ってしまっているわけです。(メロエの場合は、エジプトのものの直接の継承ですから話が違います。)つまり、「ヒエログリフ(直訳が聖刻)」には、図像形態的特徴を捉えて文字体系名の一部に用いる用法、古代エジプトの文字体系を指す用法、古代エジプトの文字体系の一書体を指す用法の3つがあるわけです。日本語では第一の用法には「象形文字」を使うことが多いでしょう。(文字の歴史参照。クレタ聖刻文字クレタ象形文字への移動が望ましいと思います。)第二、第三の用法の区別は、ロシア語版のように「エジプト文字」(あるいは「エジプト象形文字」)とやってしまえれば楽なんですが、「ヒエログリフ」への思い入れは世界的に強いようです。なお、英語の曖昧回避でわからないのは、a Chinese character ですが、漢字のことをヒエログリフと呼んだ用例があるんでしょうか。ヒエログリフとかつて呼ばれた書体名?--218.219.130.85 2008年9月20日 (土) 06:35 (UTC)

「聖刻文字」が “hieroglyph(s)” の訳語であることは議論の大前提ですよね。そして、これはさまざまな用法や意味を帯びさせられてきた「ヒエログリフ」という語にくらべて、特定の文字体系を指すことが明確です。わたしは「エジプト聖刻文字」ほかを提案しているのですから、反対の趣旨がよくわかりません。
en:hieroglyphに「聖刻文字」以外のものが紛れ込んでいる、つまり、「象形文字」のような素朴な類型論に基づく文字体系も混じっているというのなら、この記事は日本語版では象形文字であるべきなのでしょうから、そのまま翻訳して使うことはできないでしょう。そこは注意する必要がありますね (先日もちょっと述べましたが、英語版をはじめとした西洋語版は、表音文字特に音素文字の記事の充実に対して、表語文字一般をエキゾチックなものとして脇役扱いしているところがあります)
いずれにしても、もしも議論するのなら、外部の資料に基づいた議論を望みます (もちろん、Googleのヒット数とか、マスコミへの露出が多いという意味で高名な学者〔ただし畑違い〕の文章とかを根拠にするのではなく、です)。 --Hatukanezumi 2008年9月20日 (土) 10:24 (UTC)
反対の趣旨を明確にさせましょう。英語の"hieroglyph(s)"とその等価な訳語である「聖刻(文字)」はさまざまな用法や意味を帯びてしまうが、日本語「ヒエログリフ」は古代エジプト以外の文字・書体に使われることは~文字専門家の間では~ありえない。あえてエジプトを冠するとすれば、「エジプト象形文字」がより適切である。
手元に今資料がないのですが、日本のヒッタイト語研究者は「象形文字」という語を使っていますし、マヤ文字も英語版ではMaya hieroglyphsなんて表現も出てますがマヤ聖刻文字なんて表現は聞いたことがありません。文字コレクターの故・中西亮氏が使ってました。彼もヒッタイトやクレタは象形です。
要するに、西洋には「象形文字」という分類が無くて、固有名を普通名にあてているわけです。文字分類には、表されているものによる分類と表している図形による分類があるはずで、たとえば「楔形文字」は後者ですので、「楔形文字による音素文字体系」なんてものもありうる。ウガリット文字とか。じゃあワディ・エル・ホル文字と原シナイ文字は「象形文字による音素文字体系」か、と日本語ではいえますが、これを「表語的性質をいくらか保持した「原始音素文字」」なんて言わなきゃならない。絵文字だと表されているものと表しているものの関係の臨時性が入ってきますのでまたうるさくなります。(「象形文字」もたまに「表語的」なんて余分な定義がつきますが。)「エジプト聖刻文字」はそういうところまで背負い込みそうな気がします。「漢字」を中国文字と言わないのと同じです。--218.219.130.85 2008年9月20日 (土) 12:31 (UTC)
えーと。とにかく図書館へ行ってください。あなたは「hyeroglyphは象形文字と訳す」というところから出発して、持論を述べているにすぎません。図書館に行けば『エジプト聖刻文字』というタイトルの本はすぐにみつかる (当提案の最初に言及しました。何度このことを言ったか……) でしょうが、「エジプト象形文字」などというタイトルの本はみつからないでしょう。
なお、中西は『世界の文字』(1990年改訂版) で「聖刻文字」とし (p.86)、その英語版 “Writing Systems of the World” (1990) では “Hieroglyphics” としています (p.104)。いずれにしても、彼は在野の研究者として文字資料の収集には功績がありますが、用語法についてはほかの専門家の文献に基づいているようにおもわれます (中西の用語法については、かつて別件でこちらで分析したことがあります)。 --Hatukanezumi 2008年9月20日 (土) 12:54 (UTC)
私にはどちらの主張が正しいかわからないけれど、改名に積極的なのがHatukanezumiさんだけなのが気になります。ウィキペディアの議論は多数決で決めるものではないけれど、少なくとも2,3人の賛成意見が必要ではないでしょうか。--Freetrashbox 2008年9月20日 (土) 13:22 (UTC)
翻訳書なら『エジプト聖刻文字』と訳してしまっても不思議はないです。「等価な訳語」としての用法。日本語では、数ある「聖刻文字」の中の一つ、という解釈は避けなければならないはずです。私なら、タイトルだけで避けそうですが。--218.219.130.85 2008年9月20日 (土) 13:28 (UTC)
うーん。しかし、つぎから次にでてくる反対意見のかた (非ログインユーザ含む) って、資料に基づく議論をしてくれないじゃないですか (率直に言うと、自分の独自の研究について演説してるにすぎないとおもう)。そういうものを反対意見に数える必要があるのかどうか……。これなら、わざわざ提案しないですすめちゃったほうがよかった、とさえおもいます。どっちみち記事の内容が変わるわけではないのだから。 --Hatukanezumi 2008年9月20日 (土) 13:41 (UTC)

賛否はまだ曖昧なのですが、みつかった文献の紹介中心に。 まず「エジプト聖刻文字」という用語は、Hatukanezumiさんが挙げられた他でも、次のように使われている例があります。このように題として使われている例は、百科事典の項目名として採用するのに強めの根拠になると思います。

  • 高津春繁、関根正雄(1954)『古代文字の解読』p.31 では、章題として「エジプト聖刻文字の解読」を用いています。文中でも何度もそれを用いており、エジプトの文字という文脈がかなり長く続いた後で、はじめて「聖刻文字」に切り替わっています。

一方、改名に否定的になる根拠も見つかりました。(内容的にはIPユーザーさんがおっしゃっていることと同じなのですが)以下の文献では、欧米でhieroglyphが広すぎる意味に使われていること指摘し、自著ではヒエログリフを狭義で用いています。

  • 加藤一朗(1962)『象形文字入門』pp.37-38「欧米では、ヒエログリフという言葉をひろく象形文字一般の意味にもちいている。つまり、ヒッタイトのヒエログリフ、マヤ・アズテックのヒエログリフとか、ときには中国のヒエログリフ(漢字のこと)などといわれる。それゆえ、ヒエログリフは象形文字の代表といってもよいであろう。しかしこの本のなかでは、この名称をエジプトの象形文字に限ってもちいることとする。」
  • 世界の文字研究会編(1993)『世界の文字の図典』p.17「欧米ではヒエログリフという言葉を、象形文字一般に用いることが多いが、本書ではこれをエジプトのそれに限定した。」

迷うところではありますが、私は、これらの用語の使い方をそのまま採用するのはよくないんじゃないかと思っています。かならずしも系統が証明されていなくても、提唱者(「欧米」であることが多いですよね)の用語を考慮して「ヒエログリフ」「聖刻文字」と呼ぶ場合があるので、そのときに、当記事にもそれらとの区別のつけやすい記事名が必要になるからです。もちろん、記事中で系統が証明されてないこと、否定論があることなどはぜひ記載すべきですが。 ただし、現時点での日本語版ウィキペディアをみると、実際に区別がつけづらいのはクレタ聖刻文字のみで、さらに当該記事は改名すべきじゃないかともいわれています。英語版にはhieroglyphのつく記事が多くありますが、このうちどれだけが(系統の真偽はともかくとして)紹介すべきものなのか、私には判断がつきかねます。 ついでですが、en:Hieroglyphに書かれていた a chinese characterの根拠になる情報として、高津春繁、関根正雄『古代文字の解読』(p.36)で、コレジュ・ドゥ・フランスのシリア語教授ドゥ・ギーニュが漢字の祖先はエジプト聖刻文字であると推定した、というのがみつかりました。--ɯhɥm 2008年9月21日 (日) 08:46 (UTC) 上の発言とあまり関連していなかったので、インデント戻しました--ɯhɥm 2008年9月22日 (月) 11:10 (UTC)

(賛成寄りのコメント)上記で「賛否は曖昧」と言ったあとで考えた結果です。記事名として何を採用するかを考える場合、他の記事との区別のしやすさは重要です。その点を重視して、「エジプト聖刻文字」への改名に賛成寄りです。整理してみますと、
  • 当記事の内容(エジプトのヒエログリフ)を「ヒエログリフ」と呼ぶ文献もあり、「エジプト聖刻文字」と呼ぶ文献もある
  • ヒエログリフ(聖刻文字)が「単なる書体分類」かどうかについても、文献で論がわかれている
どちらが有力な説か明らかでないように思われますので、記事名としての利便性で選ぶべきではないでしょうか。より限定されている名前の方が区別には便利です。ただし改名の際は、この議論で出てきたような用語法についての説明と出典を、新しいヒエログリフエジプト聖刻文字に反映させるべきです。--ɯhɥm 2008年9月22日 (月) 11:10 (UTC)

2

議論が止まりましたが、エジプト聖刻文字については改名を実施したいとおもいます。ヒエログリフについてですが、これまでの資料提示によると、エジプト聖刻文字象形文字の曖昧さ回避ページとするあたりが妥当かとおもいます。

民衆書体/文字と神官書体/文字については、「文字」が古くからある用法であることがわかってきたようにおもいますが、記事名としては説明的なものとして「エジプト聖刻文字民衆書体」「エジプト聖刻文字神官書体」あたりが落としどころかとおもいます。英語版ではen:Cursive hieroglyphsとかいうのも立ってますので (ここまで分ける必要はないと個人的にはおもうが)、書体差として処理してもよいようにおもいます。

前者に関しては、これまでの経緯から見ると強い反対はないようにおもいますので、数日待って特にストップがかからないようなら改名作業にはいります。後者についてはしばらくまってみて、特にいい案がなければこの線で改名作業にはいります。 --Hatukanezumi 2008年9月30日 (火) 16:45 (UTC)

強い反対を出しておきます。まず前者について。

  1. 外来語の固有名(歴史的概念を含む)は訳さないで音写する慣行は普通にみられる。マグナ・カルタレコンキスタなど。特に、訳語に定訳がない場合は、NPOVを満たす上でも音写が便利。ヒエログリフの場合は、『世界文字辞典』でリダイレクトとなっている「象形文字」「聖刻文字」のほかに、高校教科書などで使われている「神聖文字」がある。こちらはロゼッタ碑文の「hier(ois)」、ヘロドトス『歴史』の(demoticに対する)「hira」に基づくものである。『世界文字辞典』「エジプト文字(塚本明廣氏)」に言及あり。原文もネット上で読める。
  2. 改名提案で「聖刻文字」が類別を示すとすれば、固有名を類別に用いることをなるべく避ける、という『世界文字辞典』の項目選択(下記総括参照。索引から網羅的にあげたものです。)などで採用されている慣行に反する。たとえば、類別名として用いられる英語 alphabet に対し、アルファベットはラテン・アルファベットに対する固有名として使われるため、固有名としても正当と思われるギリシャ文字でさえ「ギリシャ・アルファベット」と呼ぶことが学問的にも稀である。「ハングル・アルファベット」に至っては意味不明になると思われる。(英文では用例が見つかる。)ルネサンスのように類別に用いられる場合でも、日本語版の曖昧さ回避項目は、英語版と比べて「古典回帰の文化的運動」という類別の定義を満たさないものが排除されていることがわかる。ハーレム・ルネサンス南部ルネサンスは「ルネサンス」ではないわけである。
  3. 改名提案で「聖刻文字」が固有名であるとすれば、項目名に「エジプト」を冠することは避け、記事内で説明すべきである。ローマ・カトリックのリダイレクトやギリシャ正教会の導入部参照。用例があるかどうか、書名になっているか、といった基準が必ずしも項目名選択の基準にならないことに注意。
  4. ホラポロヒエログリュピカノストラダムスホルス・アポロがすでに立項されており、将来的に「en:Monas Hieroglyphica」やen:Piero Valeriano Bolzaniの「Hieroglyphica」のようなところにまで記事が書かれるとすれば、それらとの関連でルネサンス期から近代前期にかけてヨーロッパで純然たる表意文字だと誤解されていた「ヒエログリフ」とその影響に関してもこの項目内で触れる必要があると思われる。項目名としてはヒエログリフのままが適当ではないか。

後者について。『世界文字辞典』「エジプト文字(塚本明廣氏)」に基づく議論です。

  1. 「書体」という概念が実は曖昧。「聖刻書体」のほかに「筆記聖刻書体」(Cursive Hieroglyph)があり、「神官書体」の中に「行政用」と「文芸用」の書体があって、前者の一種が「民衆書体」として公式行政文書に採用された、という説明になっており、「書体」の中の「書体」という二段階の構成があってその下位のものが時代が下って上位区分に昇格、という形になっている。上位3区分を「文字」ではなく「書体」と呼ぶ根拠として「対応関係」があることが挙げられているが、これは少し弱い。(例「ひらがな」と「かたかな」や「大文字」と「小文字」も対応するが書体差とは呼ばない。)しかも、塚本氏自身、デモティックを書いていた書記が必ずしも対応関係を意識していなかった可能性に言及している。
  2. 「3区分」対「2区分」についても同書に言及あり。つまり、ヒエラティックという名称はアレクサンドリアのクレメンス『ストロマテイス』に文字習得の順序としてエピストログラフィケー(書簡体)とヒエログリフの間に言及されているものから取られている19世紀以降のエジプト学での区分と名称だと考えるべきである。同書内でhieraticaは神聖文書の意味でも使われている。「民衆書体」以前は「神官書体」の行政用書体が同じ機能をもっていたのだとすれば、これを「神官書体」と訳して呼ぶのはややミスリーディングではないか。エジプト学上の概念の固有名だとすれば、これらも「訳さない」という選択肢がある。

蛇足になりますが、「ヒエログリフ」という名称自体、ヨーロッパ側での名称で、しかも用例が比較的遅いように思われます。私が確認したのはプルタルコスの『イシスとオシリス』、マルケリヌス・アンミアヌスの『歴史』、上述の『ストロマテイス』ぐらいですが、もっと古い例もあるんでしょうか。ホラポロのヒエログリュピカでさえ本文では「エジプトの文字 grammata」です。デモティックはヘロドトスからで、ロゼッタ碑文ではenchori(al/ois)。いずれもそれなりの歴史がある語だと思いますし、ヨーロッパのエジプト学自体が研究対象になりそうな分野なので、そのまま音写にして、純粋に文字学的な記述は別に「エジプト文字」でも立てて整理するほうがよろしいのではないか、という反対意見です。--218.219.130.85 2008年10月2日 (木) 13:19 (UTC)

おっしゃりたいことがよくわかりません。そういった (適切な表現でないかもしれませんが) 薀蓄は、信頼できる資料を付して記事の編集に役立ててください。
また、先日も言いましたように、継続的な議論に参加したいのでしたら、アカウントを取得してログインして編集をお続けください。
それともう1点。もっぱら議論を目的としてウィキペディアに参加するのはおやめください。
今回のこの議論については、参加を見合わせていただけないでしょうか。将来また、あなたの意見に基づいて改名や整理をする機会はあるでしょう。
以上です。 --Hatukanezumi 2008年10月3日 (金) 23:10 (UTC)

3

現在までに、ヒエログリフという語の用法が歴史上かなり幅広いものである (そのため日本語の文献でも用法に揺れがある) ということは明らかになっているようにおもいます。また、「書体差」という概念が実は曖昧であること (当然ですが) も明らかになっているとおもいます。

やはり当記事はエジプト聖刻文字への改名が適切であろうと考えます。すぐ上でのべたように、ヒエログリフでは記事の対象を明確に指していません。

残り2つですが、「神官文字」「民衆文字」とするのは比較的古い用法 (日本語で) であることはたしかのようです。もともとの聖刻文字とは、個々の文字の単位で対応が見られることから書体差にとどめる意見があり、こうなると独立した文字体系としての呼称はないことになります。ですので、もとの聖刻文字との関連性を想起させないような記事名は避けるべきでしょう。

エジプト聖刻文字自体が3者を包括する表現としても用いられることから、便宜的にエジプト聖刻文字神官書体エジプト聖刻文字民衆書体とすることでどうでしょうか。この場合、冒頭定義文ではエジプト聖刻文字神官書体は、…である。」ではなく、エジプト聖刻文字神官書体では、…について解説する。」として、これが用例のある語ではなく記事の標題であることを明示すべきです。

なお、関連する記事をエジプト文字に統合整理するという案もでていますが、提案者としてはそこまでの余裕は現在もてません。改名された後の3記事をもとに、作業してくださるかたがいるのなら、歓迎します。

エジプト聖刻文字については異論が少ないとおもいますので、改名作業を開始します。 --Hatukanezumi 2008年10月12日 (日) 01:42 (UTC)

いくらなんでも強引すぎるでしょ。まずは合意を取ってください。今の状態では合意を取ったとは言えず、はっきりと反対です。--Freetrashbox 2008年10月12日 (日) 01:47 (UTC)
では、上の案について、あなたも意見を述べてください。 --Hatukanezumi 2008年10月12日 (日) 02:08 (UTC)
前にも書いたように、私はヒエログリフについて詳しく知らないので、改名すべき、すべきじゃないといった意見を述べる立場にはありません。(皆さんの議論で大分勉強できましたが。)しかし客観的に見て、「改名に反対」「改名するのであればそれにあった記事の訂正が必要」という意見が多数を占めていることはHatukanezumiさんも気付いているでしょう。今のままではとても「合意を得た」とはいえません。「ノートでの合意の上、改名」とするためには、Wikipedia:コメント依頼で広く意見を求めるとか、別記事で有意義な加筆をしている人に意見を請うとかして、改名賛成の意見を増やすべきでしょう。--Freetrashbox 2008年10月12日 (日) 02:21 (UTC)
じゃあせっかくですから (皮肉でないです)、「改名するのであればそれにあった記事の訂正が必要」にはどんな意見があるのか、まとめてみていただけないでしょうか。改名の提案者として、できそうなことはやりたいとおもいます。 --Hatukanezumi 2008年10月12日 (日) 03:23 (UTC)
お返事がありませんね……。活動はされているようなので、読んでいらっしゃるはずなのですが。
  • これまででた明確な反対意見としては、根拠をもとめたが示さなかったかたがおひとり、根拠を示されたかたがおひとり、そして「反対が多い」(大意) という理由がおひとりだと理解しています。
  • このうち、根拠を示して議論に参加してくださった218.219.130.85のIPのかたですが、新規立項されたエジプト文字を拝見しました。多くの資料にあたったご努力が見られます。今後の加筆にあたっては、同項目で挙げられた資料も参考にしていこうとおもいます (ただ、『世界文字辞典』での用語法を最初に挙げながら、そのあとは日本語の用語法について用例典拠のない独自のものを採用しているのが気になります。当ノートでの議論の影響でしょうか)。
  • これら明確な反対を除くと、提案者以外は、改名に対しては積極的に賛成というほどではないが、反対もしないというスタンスかとおもいます。
議論も尽きたようです。基本的に多数決などできめたくありませんので、これまで出た意見を読み直して、加筆をしてみようとおもいます。そのうえで、適宜改名を実施します (その際は、ヒエログリフにも単なる曖昧さ回避以上の分量が求められそうだとも考えています)。
お付き合いをいただき、ありがとうございました。大変参考になりました。 --Hatukanezumi 2008年10月21日 (火) 13:27 (UTC)
加筆から始めるのは良いことだと思います。今のところは、申し訳ありませんが、合意が無い以上、改名にははっきりと反対であるという立場には変わりがありません。一方で、Hatukanezumiさんによる加筆内容によって、この記事が改名するのに相応しい形になれば、熟柿が落ちるが如く、皆さんが反対することはなくなるのではないかと思います。加筆内容に期待しております。--Freetrashbox 2008年10月21日 (火) 14:59 (UTC)

(改名に反対) 初版執筆者です。こんな提案がされていることを知らず、議論への参加が遅れてすいません。反対の理由ですが、たとえば世界大百科事典では、「ヒエログリフ」という記事名です。改名の理由を認めますと、たとえば「漢字」という記事名は、漢の時代の文字でないという理由で「明字」に変更しなければなりません。それは著しく不合理です。「ローマ数字」だって恐らくローマ人の発明ではないし、アラビア数字もそうでしょう。Modeha 2008年11月30日 (日) 11:33 (UTC)

そういう定義と実質の一致を問題にしているのではなく、実際の文献でよく用いられる用語法を使おう、という提案のつもりでした。Modehaさんの論でいくと、仮名はかりそめの文字などではないですから、ほかの呼びかたを考えなければなりません (ちょっと極端なたとえですが)。
で、現在、IPさんの立てたエジプト文字の内容をうまく取り入れようとして、文献を読み漁っているところです。年末に入り、作業ははかがいっていません。ゆっくり加筆作業していきますので (場合によっては年がかわります)、それをも見ながら議論していければとおもいます。 --Hatukanezumi 2008年12月3日 (水) 12:19 (UTC)

それは、改名の理由にしている「ヒエログリフでは記事の対象を明確に指していません。」という部分をとりさげるという意味にとってよろしいですか? そうすると改名の理由はなくなりますが。「世界大百科事典」が「ヒエログリフ」という記事で項目を立てているというのは、実際の分野でよく用いられる用語法であるという意味にほかならないと思いますが。ちなみに、世界大百科事典の「ヒエログリフ」の記事には「加藤一朗」氏の署名があります。Modeha 2008年12月4日 (木) 14:03 (UTC)

うーん。これまでの議論も読んでください。あと、『世界大百科事典』が解説していることが、当記事のなににあたるかも注意してみてください。
いずれにせよ、ぼちぼちやっていきたいとおもいます。 --Hatukanezumi 2008年12月4日 (木) 15:06 (UTC)

世界大百科事典での「ヒエログリフ」の項目は、「古代エジプトの象形文字」についての記事でした。参考までに。Modeha 2008年12月5日 (金) 11:24 (UTC)

「独自研究」の意味

私の言ってることが独自研究かどうかはともかくとして、「象形文字」と「聖刻文字 hieroglyphs」を区別しない英語式の用語法が、研究上の中立性を欠くことになる場合を紹介しておきます。クレタ象形文字と線文字Aのケースです。いずれも未解読ですが、解読のための仮説として、両者がエジプトのヒエログリフとヒエラティック(線文字ですよね)に対応する関係にあるとみて、象形文字の字形を線文字Aに結びつける、という試みが盛んに行なわれています。クレタ島はエジプト文明圏に近いので有望ではあるでしょうが、現時点ではまだ独自研究と言わざるをえません。これを最初から「聖刻文字」と呼んでしまうと、予断を与えることになってしまいます。

なお、(表されているものによる分類が確定できない)未解読文字にも適用できる、ということからも、この場合のhieroglyph(象形文字)が、第一義的に、文字の図形的特徴による分類であることがわかると思います。この点で面白いのがインダス印章文字です。インダス文字をヒエログリフと呼ぶことはほとんどありません。この文字(?)は幾何的にみえる字形が多く、「象形」の可能性が論じられる場合でも研究者によってまったく異なる解釈が行なわれているからです。--218.219.130.85 2008年9月21日 (日) 05:08 (UTC)

えーと、「独自の研究」というのはウィキペディアの方針で用いられる用語でして、ウィキペディアで記事を執筆するひとがやってはならないとされていることです。外部の研究成果に対しては使いません。
詳しくは、Wikipedia:独自研究は載せないおよびWikipedia:検証可能性を参照ください。
  • ウィキペディアで記事を書く者は独自の研究を行ってはならないのであって、信頼できる外部の資料に示された研究に基づいて記事を書くことははっきりと奨励されます。今回の場合、「仮説に基づくのであれ、『聖刻文字』と呼ばれているということが信頼できる資料で確認できるのであれば、そのように呼ぶ」ということになります。
  • いっぽう、古代オリエントの文字はいまここでは問題になっておりませんから、それに対して述べてなにか類推することには、意味がありません。資料から読みとれる別々の事実を結びつけて自明でない説を得ることは、独自の研究です。
  • 要するにわたしとしては、「言語学大辞典』とか矢島文夫のような〈権威〉の用法に準拠した命名にしときましょう。それが簡単で確実にウィキペディアの方針を守れる方法だから」と言っているにすぎません。つまり、そのような方法が独自の研究を避け、検証可能性を満たすということだと理解しています。
ところで、継続的に議論されるおつもりなら、アカウントを作成してログインしてお願いします。非ログインでは、発言するひとが常に同じひとなのかどうか客観的に確認できません。つまり、これまでの218.219.130.85と記された (および今後IPアドレスが記される) 複数の投稿は、一貫した個人の意見表明とはみなせないということです。詳しくは、Wikipedia:説明責任などを参照ください。
よろしく。 --Hatukanezumi 2008年9月21日 (日) 08:36 (UTC) 修正 --Hatukanezumi 2008年9月21日 (日) 08:39 (UTC)
えー、私も、吉村作治氏のようなエジプト研究の<権威>を持ち出して、ヒエログリフという現在の名称を支持しているのですね。これも独自研究とは呼べませんよね。Hatukanezumiさんは、「資料に基づかない発言を繰り返している」と評しておられますけれど。ただ、そうすると、私を含め、改名に消極派の方々の援用する<権威>の学説と、Hatukanezumiさんの援用する<権威>の学説のどちらが優れているのか、どうすれば決められるんでしょうね。
現在、私生活のため準ウィキブレイクの状態に突入しているので、本日はこの辺りで失礼します。--白文鳥 2008年9月22日 (月) 12:17 (UTC)

『言語学大事典』(別巻『世界文字辞典』)総括

エジプト以外について「聖刻文字」が使われている例をまとめておきます。

  • 「クレタ聖刻文字」(項目名) 松本克己氏執筆。エヴァンスによる発見からの研究史を中心に詳述。特に、エヴァンスがCretan hieroglyphを命名したこと、エヴァンスがエジプトのヒエログリフとの関連を想定したことを述べ、その想定に対して現時点での判断は否定的、という見解を提示、という記事です。特に注目すべきなのは、同じ記事内で、同じ文字の別名としてのMinoan hieroglyph に対しては「ミノア象形文字」という訳語を用いている点です。松本氏はこの記事以外の分担項目では、英 hieroglyph に対しては「ミノア文字」「ヒッタイト象形文字」「象形文字ルウィ語」の各項目で、ほぼ一貫して「象形文字」を用い、エジプトのhieroglyphについては、エジプトの「聖刻文字」、という括弧付の表現を用いています。つまり、この英単語の訳として、エジプトとの関連がある場合にのみ「聖刻文字」そうでなければ「象形文字」という訳し分けで一貫しています。
    • この立場では、「エジプト聖刻文字」への改名提案は、いわば銀座を「東京銀座」に改名せよ、というのと同等に映ることでしょう。
  • 「メロエ文字」項目中の「ヒッタイト聖刻文字」(矢島文夫氏)。なお、この記事ではメロエ文字の2書体については「楷書体」「草書体」、書体としてのヒエログリフについては「記念碑体」の訳語を充てています。
  • 「フェニキア文字」項目中の「ヒッタイト聖刻文字」(松田伊作氏)。この記事内には、ほかに「エジプト神官文字」「エジプト聖刻文字」という用語が現れます。結果的に、後者が文字名なのか書体名なのかが判断できない、という状態になっています。フェニキア文字の字形名(アレフ「牛」など)から想定される(原)フェニキア文字の「象形性」への言及があります。
  • 「ビブロス擬似聖刻文字」(「ビブロス文字」へのリダイレクト)。ヒエログリフに似ているが異なる文字、という名称ですので、この場合の「聖刻文字」はエジプトのものを指すと判断できます。
    • ところが、「古代オリエントの文字」(吉川守氏他)では、「ビブロス擬似象形文字」という名称が用いられています。この記事内では、エジプトのものについても「聖刻文字」という表現を用いず、「エジプトの象形文字」という表現で一貫しています。hieroglyphの訳語として「象形文字」に統一、という意思が窺えます。
  • 「象形文字」「聖刻文字」「ヒエログリフ」はすべて「エジプト文字」へのリダイレクトです。

「象形文字」については今まで話題になっていない点について少し。

  • 「ナシ象形文字」「リス音節文字」(西田龍雄氏)。前者では、「絵画文字」という用語法への批判的言及、後者では、字形による別名としての「リス象形文字」に言及。
  • 沖縄でかつて用いられた「カイダー字」(体系はなしていないが、個々に象形性のある象形文字)への言及があります。--218.219.130.85 2008年9月22日 (月) 13:54 (UTC)

以上、名前の挙がった方は日本言語学会会長歴のある2名を含む、いずれも権威のある研究者です。

おお。図書館へ行ってくれたのですね。手もとに断片的なコピーしかないもので、早起きして行くつもりでした。順不同にいくつかコメント。
  • 「エジプト文字」にリダイレクトがたくさんあるのは、この項目が大項目だから当然でしょう。同辞典には「エジプト文字」のほか「エチオピア文字」「小アジア文字」といった項目も見えますが、これらが文字体系の名称として通用しているのか、辞典の項目名として便宜的に名づけられたのかは、別途調べてみる必要があるとおもっています (だからゲエズ文字の改名はまだ提案してない)。
  • 「記念碑体」は書字媒体への (結果的に書体への) 言及でしょう。他項目では「碑文体」「碑文○○文字」といった呼称も見られますね。ナヴェー『初期アルファベットの歴史』(法政大学出版局、2000) では、序論で書字媒体の違いについて触れ、研究者であってもその媒体に通暁しているかどうかによって、字画の模写などに巧拙が生じることを述べています。
  • 「象形文字」という命名は、文字の造字法がもっぱら象形によっていることを強調するために用いられているように見えます。「ナシ象形文字」が典型的ですね。「絵文字」に類する表現は「文字体系ではない」というニュアンスを含んでしまいますし (たとえば「ラパヌイ文字」)、表語文字は象形以外の造字法や運用法が発達した洗練されたもの、という意味合いになるでしょう。
  • 古代オリエントの文字については、Gelbによる象形-音節-単音の発展説に見られるように、象形性と表音性の区別が重視されてきたという伝統があります。「聖刻」に対する「筆記」/「民衆」のような、書字媒体 (書体) や言語変種による命名区分をする伝統があまりない、ということとおもいます。いっぽうで松田などは、古代エジプトの文字の系統の (と考えられる) 文字の研究者であるためか、ほかの系統の文字にも「聖刻」の語を当ててしまっているようです。
  • ビュブロスの文字は系統が定かでないものですが、上の両者の立場によって呼称が分かれていますね。
そういうわけで、「聖刻文字」と言えばエジプトの文字だろう、というのは、古代オリエントの文字の研究者の側に立ってみたときの印象ではないかとおもいます。専門分野によって概念の区分や命名法には違いがあり、不整合と感じられる場合もあるかもしれませんが、それを統一しようとすると独自の研究になってしまいます。ですから、それぞれの専門分野内で妥当な使われかたをしている表現を採る、というのがよいとおもうのです。
わたしもせっかくだから、図書館へ行ってきます。『世界文字辞典』以外も見てみます。 --Hatukanezumi 2008年9月22日 (月) 23:35 (UTC)add cite --Hatukanezumi 2008年9月22日 (月) 23:55 (UTC)

矢島の用語法について

で、行ってきました。矢島の用語法について (彼はオリエント学から入ったはずですが)。ちょっと長いです。
  • やや古くなりますが、ドーブルホーファー (佐藤牧夫との共訳)『失われた文字の解読』(山本書店、1963年初版、1980年9版) 第I巻2章「スフィンクスの謎 --- エジプト文字の解読」では、古代エジプトの文字一般としては「エジプト文字」とし、具体的に解読の対象となったものを「聖刻文字」(初出のみ「(ヒエログリフ)」と小書き)、「民衆文字」、「神官文字」(初出のみ「ヒエラティック」とルビ振り) としています。
  • で、提案冒頭で触れたデイヴィズ (矢島監訳)『エジプト聖刻文字』(學藝書林、1996) では、少なくとも用語の監修は矢島がやっているようです。また同書は『世界文字辞典』の「エジプト文字」の項にも参考文献として挙がっていましたので、同項での用語法や分類法は同訳書によっている可能性があります。読み返してみると、つぎのようでした。
    • 矢島による序文では「聖刻文字」「民衆文字」「神官文字」という用語が現れます。
    • 1章「エジプト語」ではエジプト語の時代区分を概説する中で「デモティック」を民衆書体で書かれるエジプト語、つまり「新エジプト語の口語の末裔」としています。本章以降でも、「デモティック」が文字体系の呼称として使われることはありません。
    • 2章「書体」では「聖刻書体」「民衆書体」「神官書体」です。これらに併置して「コプト文字」が解説されていますので、エジプト語の表記体系のうち前3者は書体差であるという立場をとっていることになります。
    • 3章「表記の原理」では「エジプト文字体系」と総称した上で、文字体系の構成要素を「表語文字」「表音文字」「限定符」に分けて解説しています。
    • 5章「解読」では「聖刻書体」/「聖刻文字」、「民衆書体」/「民衆書体文字」の両方が出現します。どうも、文字そのものや文字資料を指す場合は「-文字」としているようです。「神官文字」については引用文中に現れるのみ (「神官書体」はこの章には見えず)。
    • 6章「伝搬」では、「メロエ文字」などほかの文字体系と対比する形で「エジプト文字」「エジプト聖刻文字」「エジプト文字体系」といった表現が用いられます。ちなみにメロエ文字では「聖刻書体」と「筆記書体」(または「筆記体」) の区別を述べています。
長くなってしまいましたが、わたしの個人的な印象では、
  • 「エジプト」を冠する用例は、ある。
  • 3つの書体変種ともに、「-文字」の用例は、ある。書体差であることを明記したい場合は「-書体」となる。
とおもいました。 --Hatukanezumi 2008年9月23日 (火) 15:26 (UTC)

「文字類型」としてのhieroglyphの用法

思いのほか古いのかもしれません。アタナシウス・キルヒャー#中国学の一次資料がマックス・プランク・インスティテュート科学史図書館蔵書(1667年初版)の画像番号288あたりからだと思います。節表題 Characteres Hieroglyphici Sinensium は「中国のヒエログリフ風文字」です。マヤ文字やアステカ文字をどう呼んでいるのか気になりましたが、章冒頭のMexicanosぐらいしかそれらしい部分が見つけられませんでした。後のほうでは「中国(の)文字とエジプト(の)ヒエログリフの違い」という節もあります。--218.219.130.85 2008年9月23日 (火) 19:38 (UTC)

キルヒャーまで遡りませんが、『百科全書』第8巻 (1765刊) の「HIEROGLYPHE」の項でも、あらゆる民族は最初は絵と象形文字にたよって (par peinture & par hiéroglyphes) 文字を運用したなどと言っています (p.205右) ので、hiéroglypheを一般的に「象形文字」のような意味で使うことはかなり昔からあるのでしょう。
で、少々話が脱線ぎみになってきたようです。に戻って、記事名をどうするか考えませんか。 --Hatukanezumi 2008年9月24日 (水) 11:12 (UTC)